波頭を描き張り線で精密度を高めたら、いよいよ完成!【達人のプラモ術<米海軍空母エンタープライズ>】

■リアルな波をドライブラシで再現!

海面はタミヤ缶スプレー「TS-44ブリリアントブルー」とタミヤラッカー塗料「LP-6ピュアブルー」で塗装することで太平洋の青い海を再現しています。さらにベース全体に透明メデユウムを塗布することで、透明感と海面のうねりと波頭(はとう)を再現。今回はこの波頭をドライブラシ技法で塗装することで、よりリアルな波立つ海を再現していきます。

▲透明メデュームで描いた海面の凹凸(波の表現)の波頭をドライブラシ塗装でよりリアルな海に近づけていく

ドライブラシはAFVモデルや飛行機モデルでもお馴染みのウエザリング(汚し)塗装のひとつで、ディテールのエッジ部分の塗装の剥がれやハイライトを表現するための塗装技法のひとつです。これを使って波頭を表現していきます。

やり方は簡単と言えば簡単で、平筆に塗料(波頭の白を再現するので艶消し白を使用)を含ませて、それをキッチンペーパーなどでしっかりとぬぐい取ってから(コレ大事!)、透明メデュウムで表現した海面の表面に筆で塗料を乗せていくだけです。上手く仕上げるコツは、色を塗るというより波頭の凸部分にザッザッというイメージで筆をこすりつけること。筆が塗料を含んでいる、またコシのない穂先だと凹部分にも塗料がついてしまうので不自然な仕上がりになってしまいます。今回使った筆は、使い込んだ平筆の穂先を3分の1程度カット(穂先が短くなることでコシが強くなる)した筆を使っています。

▲筆に含ませた塗料(フラットホワイト)を、筆の腹を擦りつけるように波頭の凸部分にのせていく。筆が塗料を含み過ぎているとべったりと色がついてしまうので、穂先が乾くくらいまでキッチンペーパーなどで塗料をふき取るのがコツ

塗料は水性アクリル塗料(タミヤアクリル塗料「XF-2フラットホワイト」)を使用。海面はラッカー塗料で塗装しているので、筆で塗料をこすりつけても下地の青が溶けだしてきません。

初めてだと感覚が掴みづらいと思うので、目立たない部分、あるいは塗料のフタなどで試し塗りをすると良いでしょう。ドライブラシを施して波頭が白くなると、海を割って航行するエンタープライズがよりリアルに見えてきます。

▲ドライブラシの練習に使ったロゴが凸でモールドされているMr.カラーのフタ

▲塗料をふき取った筆の腹で塗料を擦りつけていくと、凸モールドのエッジ部分にのみ塗料が付着して、ディテールが際だっていくのが分かる

 

■張り線でディテールアップ

波頭の塗装を乾燥させる間に、艦船モデルを引きたてる張り線(マストに張られているワイヤー類の再現)にチャレンジしてみましょう。

近年では艦船モデルの張り線専用に極細のメタルリギング(金属線)なども発売されていますが。今回は昔ながらの伸ばしランナーを使って張り線を再現してみました。不要となるランナー(パーツの枠部分)を使うので、手軽に簡単に張り線を再現できます。艦船モデルの張り線だけではなく、飛行機モデルのアンテナ線や配線の自作等で良く使われる工作テクニックです。

作業は簡単。10センチ前後にカットしたランナーを、ライターやロウソクなどで熱で折れ曲がるまで炙って、手早く左右に引き伸ばします。すると熱で柔らかくなったランナーがすーっと細く伸びて細いワイヤーが出来上がります(火を使うので作業は十分注意して行ってください)。今回のエンタープライズは1/700スケールなので、0.1ミリ~0.05ミリくらいの細さで良いと思います。

マストへの接着は瞬間接着剤を使います。慣れれば蜘蛛の糸のようにも細くできますよ。

▲不要になったランナーを柔らかくグニャリと曲がるまでライターで軽く炙る。炙りすぎると燃えてしまうので注意

▲ランナーが柔らかいうちに手早く左右に引き伸ばす。この際、早く伸ばすと細い、ゆっくりと伸ばすと太いワイヤーが作れる。 炙った部分は熱いのでやけどに注意

▲ボックスアートや資料写真などを参考にマストに伸ばしランナーを瞬間接着剤で取り付けていく

▲張り線を取り付けた艦橋まわり。伸ばしランナーで作った張り線はもうワンサイズ細くても良かったかも

*  *  *

張り線の工作をしている間に波頭のドライブラシ塗装も乾きました。マストに張り線が追加されたことで、より精密感がアップしました。最後にケースをかぶせれば、CV-6エンタープライズの洋上ジオラマの完成です!

ボックスアートのイメージのまま洋上ジオラマで再現できました!

 

★達人流製作のポイント

①ドライブラシ塗装で波立つ海を再現

②波の再現は塗るのではなく描くイメージで

③張り線の追加工作で精密感アップ

 

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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