【ボルボ XC60試乗】受注の半数を占める人気者。“ディーゼル+4WD”が待望の新上陸!

■室内に収まり走り始めればディーゼルであることを忘れる

現行XC60が日本に導入されたのは、昨2017年10月のこと。まずはガソリンモデルのデリバリーから始まりました。2リッター直4ターボ(254馬力)を積むグレード「T5」と、2リッター直4ターボ+スーパーチャージャー(320馬力)の「T6」、そして、T6のパワープラントに、さらに電気モーターを追加した「T8ツインエンジン」という、充実の品ぞろえです。

一方、注目のディーゼルモデル「D4」は、2018年からの導入とアナウンスされ、先頃ようやく実現の運びとなりました。実は、日本でのXC60の受注台数のうち、すでに約半数はディーゼルだったといいますから、いかに待ち望まれていたモデルかが分かります。

そんな熱心なユーザーに、うれしいニュースが! ボルボ自慢の“Drive-E”クリーンディーゼルに“AdBlue(アドブルー/高品位尿素水)”こと尿素SCRシステムが装備されました。これは、ディーゼルエンジンが排出する有害物質のNOx(窒素酸化物)を、水と窒素に分解して無害化する装置。具体的には、マフラー内で専用の尿素水溶液を噴出し、NOxを化学的に処理します。

ボルボのスタッフによると「AdBlueなしのディーゼルエンジンでも、法規的には問題なかったが、よりクリーンなエンジンを求めて装着した」そうです。また「高温多湿の日本の気候にも合わせた」とのこと。環境コンシャスな人が多いボルボユーザーの心に、大いに刺さるコメントですね。

特殊な尿素水溶液たるAdBlueは、専用のタンクに収納されます。気になるのは、その補給時期と費用。もちろん、走行状態によってタイミングは左右しますが、目安として1万5000〜3万kmごと。メーター内のインジケーターの表示にしたがって補給します。最寄りのディーラーで給尿素水(!?)してもらうほか、最近では、ガソリンスタンドでもAdBlueを用意しているところもあります。

XC60の場合、給油口の隣に給水口があるので、自分で補給することも可能。XC60のAdBlueタンク容量は約11.5L。試しに、AmazonでAdBlueを検索してみると、10L相当で2000円前後の製品が多いようです。ご参考までに。

XC60 D4に積まれるディーゼルエンジンは、2リッターのガソリンユニットと同じ、ボア×ストローク=82.0×93.2mmのロングストローク型。DOHC 16バルブのヘッドメカニズムを持ち、ターボチャージャーの過給を得て、最高出力190馬力/4250回転を発生します。

最大トルクは40.8kg-m。これは、ターボにスーパーチャージャー加えたガソリンモデル、T6の最大トルクと同スペックですが、T6のそれが2200回転から得られるのに対し、D4ではさらに低回転の1750〜2500回転で維持します。エンジンの回し始めから力持ちな、ディーゼルターボの面目躍如ですね。

ちなみに、XC60 D4は1880kgと、T6より10kg軽い車重です。ディーゼルエンジンのフラットに出力特性と併せ、街中ドライブではT6 AWDより力強く「オッ!」と思わせる機会が多いかもしれません。もちろん、速さを競うクルマではありませんが、SUVらしい粘り強い走りを求めると、積極的にディーゼルを選ぶのもアリでしょう。

最新のディーゼルエンジンらしく、静かでスムーズ。車外にいるとディーゼルだと気がつきますが、室内に入って走り始めれば、そんなこともすっかり忘れてしまいます。シリンダーごとに精緻な燃料噴射を行い、大小ふたつのタービンが滑らかな過給を…といったもろもろも、もしかしたら意識する必要はないのかもしれません。ボルボのパワーユニットらしい、黒子に徹するエンジンです。

SUVを求めるユーザーとしてうれしいのは、低回転から力強く“粘る”ディーゼルに、4WDシステムが組み合わされていること。いわゆる“ヨンクの走破力”が求められる機会は意外に少ないものですが、日常使いにおいても、電制制御によって必要に応じて後輪に駆動力を流してくれる4WDは、ありがたいもの。密かに走行時の安定性を高め、安全性向上に寄与してくれます。

デリバリーが始まったばかりのXC60 D4 AWDのラインナップは3種類。ベーシックグレードの「モメンタム」が599万円。これは、ガソリン版のT5と同価格で、装備も同等です! スポーティに装った「Rデザイン」は649万円。先に紹介したとおり、最大トルクが等しいT6のRデザインより75万円も廉価。装備は同等です。

そして、ナッパレザー内装や“ドリフトウッドパネル(流木を模したパネル)”、マッサージ機能付きのフロントシートなどがおごられ、専用フロントグリルやクロームトリムなどで外装が豪華に飾られた「インスクリプション」が、T5と同じ679万円となります。

いずれのモデルも、各種の運転支援技術や予防安全装備を搭載し、この点においての差異はありません。優しく、頼りになるファミリーカーの選択肢にも挙がりましょう。そうそう、細かいことですが、インスクリプションには後席用のシートヒーターが標準装備されています(モメンタムとRデザインにはオプション)。リッチで気配りの行き届いた“イクメン”を目指す方に、いいかもしれませんね!

<SPECIFICATIONS>
☆D4 AWD インスクリプション
ボディサイズ:L4690×W1900×H1660mm
車重:1880kg(エアサス搭載車は1910kg)
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:190馬力/4250回転
最大トルク:40.8kg-m/1750〜2500回転
価格:679万円

(文&写真/ダン・アオキ)


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