皆に愛されて30年。ザ・ノース・フェイス「ヌプシジャケット」の歴史と3つの新作

■「NUPTSE JACKET」誕生から30年。その歴史をひも解く

▲提供:ザ・ノース・フェイス

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1992年、吸汗・保温・断熱・防風といったデスゾーンでの即応力が実装された“サミットシリーズ”のプロダクト群の一つとしてデビューしたのが「ヌプシジャケット」。なお、ヌプシジャケットは1980年代半ばの“エクスペディションシステム”と呼ばれる、ウエアを連結させるレイヤリングシステムの開発による成果のひとつでした。

ちなみに、「ヌプシ」のネーミングはヒマラヤ山脈エベレスト南西に連なる山嶺から着想。チベット語で「西の頂上」を意味する“ヌプツェ”に由来しています。

▲90'sに発売された古着のヌプシジャケット。 デビュー当初から完成されたデザインであることを物語っています。2万3000円/HYBRID 25

1990年代になると、メジャーチャートに台頭してきたヒップホップクルーがMVなどで「ヌプシジャケット」をに取り入れたことをきっかけにファッションアイテムとしてもフィーチャーされ始めました。諸説ありますが、マンハッタンやブルックリンの冬場でのMVのロケ撮影では、「ヌプシジャケット」の防寒性が重宝されたことや、「フードが収納できる襟型のおかげで、パーカのフードと干渉せずに着こなせた」などといわれています。

ヒップホップミュージックをきっかけに90年代後半には日本のストリートシーンに浸透。“裏原系”にも波及していき、日本においても憧れのファッションアイテムになったのです。この頃、素材面ではゴールドウインの“光電子ダウン”を採用するなど、日本の技術が反映されたモデルも誕生しました。

▲「ヌプシ ダウン ブーティ II ウォータープルーフ」(1万9190円)※2022年モデル

2006年、「Nuptse Bootie(ヌプシブーティ)」が本国アメリカで発表。積雪期のキャンプ用に開発された中綿入りの靴下のようなテントシューズにアウトソールを付け、雪上で履けるようにデザインされた防寒性に優れたブーツです。アウターだけにとどまらない、幅広いラインナップも魅力のひとつ。2008年には日本企画も発売されるようになり、日本での人気も上昇。その後、セレクトショップとの別注モデルやコラボが生まれるなど、“ヌプシ”の中でも人気のアイテムとなっていきます。

2018年はダウンジャケットの中綿に、再資源化したリサイクル素材“グリーンダウン”を使用。ブランドの設立からモットーとしている、自然を保護・復元、破壊抑止・改善する“トゥルーノース”の精神をさらに進化させています。

そして2022年、デビューから30周年を迎える「ヌプシジャケット」は、テキスタイルの染色工程を省くことで環境負荷にも配慮した「アンダイドヌプシジャケット」を発売。また、ヘリテージモデルである「ヌプシジャケット」は表地・裏地もそれぞれリサイクル素材にアップデートするなど、よりサステナブルな製品へと進化しています。

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