【初参戦】ビギナー歓迎の耐久カートレース・エディフィスカップ、体の芯から面白い!

001152とはいえ、サーキットに着くとヌルい雰囲気は皆無。どちらかといえば、やる気マンマンの空気が漂ってます。冠スポンサーはCASIOで、そのブースに腕時計「エディフィス」の最新モデルが並んでいることに親近感を抱く以外は、完全にアウェー。

何せ我らが自動車部は、現在、部長を含めてメンバーは3人しかおりません。本戦はその3人をフル投入するのはもちろんとして、ひとり40分走るのがノルマ。初エントリーにしては、かなりの長丁場。だ、大丈夫か?

しかし、勝利の女神はいるものです。この日はモータースポーツ界の御大、高橋国光氏に加え、スーパーフォーミュラに参戦している中山雄一選手やF3ドライバーの山下健太郎選手、ニック・キャシディ選手が来場。なんと、希望チームには助っ人として参画してもらえるというのです。やった!

え? 助っ人は断るの?
え? いきなりの他力本願とは何ごと?

部長の厳しい運営方針により、部員3人のみによる総力戦となりました。ちなみに我が部のカート乗車経験率は、33.3%。カートのレース経験に至っては0%です。だ、大丈夫?

ちなみに、先にお断りしておきますが、今回は28チームのエントリーがありました。トップチームのベストラップは54秒台。それに対して我がチームのベストラップは58秒台。これは無念にもビリでありました…。

さて、基本的にはビギナーを対象とする大会だけあって(どう見ても上級者がいたが胸を借りられるのでむしろ好都合)、レースを進行する上で重要となるフラッグの意味、ペナルティの種類、そしてカートの扱い方など、レース前に詳しいブリーフィングがあります。こういう時は聞いているフリをして他のことを考えていることが多いワタシも、真剣に聞きました。「なるほど、ブレーキペダルを踏んでいる間はスロットルは強制オフになるのか」。独特の操作系にドキドキ感が高まる。

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レース開始前、ウォームアップ走行がスタート。着座してシートベルトを探す動揺を見せながら(もちろん、ない)、拙速気味にコースイン!

ピットロードからコースへと飛び出します。低い視線から見るアスファルトが、すさまじい勢いで後ろへと流れていきますー。

コーナーでハンドルを切ると、横Gが強烈。カラダをホールドできない。シートの上をお尻が滑って、右へ曲がると左へ、左へ曲がると右へ…。おっとっと。

このドラポジの不安定さが、ドライビングを困難に。これじゃあタイムを削るどころか、満足に走ることもままなりません。

「イイワケは聞きたくない!」と部長がコースイン。ですが、戻ってきた横顔を見ると、苦痛にゆがんでます。どうやら、滑った拍子に横腹をシートの角へぶつけたようですね(ザマアミロ)。

ん? 嗅覚鋭い部員 兼 マネージャーが、何かを持ってきましたよ。

ウレタン製のシートクッション!

なるほど、体格の違うドライバーが座るレンタルカートでは、このシートクッションでドラポジを調整するのか。

おお! ようやくカラダを支えられるようになりました。

なんてことをしていたら、レーススタート!

スタートラップからブッチギリで置いてきぼりに…。読めていた展開とはいえ、つらい。

5周もすると腕がパンパンになってきました。実はコレ、遅い証拠であることに後から気づきましたフロントタイヤを強引に押さえつけるために腕力を使ってしまっていたのです。これだとフロントタイヤに抵抗が生まれ、カートが前へ進む際の抵抗になるのです。

そんなこととはツユ知らず、フロントタイヤを押さえつけたまま、20分を連続走行。なんとかピットレーンに逃げ込みます。各チーム最低6回のドライバー交代が義務付けられており、3人でエントリーしてピットストップを2回だけにする(ロスタイム最小化)…という姑息な戦略を防いでいます(汗)。

ブチョーが2スティント目に安定した走りでラップを稼ぐ中、急いで水分補給。

クールダウンとともに少し冷静になります。速く走らせるには、非力なクルマを走らせる時と同じようにグリップ走行に徹するべきなのか、それとも、コーナー入口のブレーキングをきっかけに、一気に向きを変えてドリフトしながら駆け抜けるべきか。はたまたコーナーによって、その2とおりを使い分けるのか。

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考えているうちに部員 兼 マネージャーへとドライバー交代。3人でドライバー役、ピットストップを伝える役、そして水分補給と、思った以上に慌ただしい。

二巡目に突入。かなりスムーズに走らせられるようになりましたが、まだ他チームのカートにはついていけません。ついていけないんですが、抜かれた後に少しでも食らいついて、どんなラインを走っているのか、どのタイミングでブレーキングを踏むのか盗もうと試みます。

そんな“ドラテク盗賊”を相手に、他チームのジェントルぶりが印象的。プチ白熱したバトルの中にも無理な追い抜きはナシ。しかも追い抜いた後に、さりげなく手を挙げていく。「抜いちゃってゴメンね、大丈夫?」みたいな感じです。

力みが取れてくると、少しずつ周りが見えてきました。コーナーの攻略に手こずりながらも、どんどんカートの世界に引き込まれていく。

攻めるようになると度々スピンしてしまう。そんな時は手を挙げ、後続車両に自車の存在をアピール。同時に「また回りやがったな!」的なブチョーの厳しい視線も気になりますが、追突防止には代えられません。

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さて、2時間も走りきれるか不安だったものの、終わってみればアッという間の120分。全身の疲れとともに、完走による達成感と充実感に包まれます。気持ちだけをいえば、これから2時間でも4時間でも走れそう。もっともっと走って攻略したくなる。

記念すべき我らが自動車部初のモータースポーツ活動は、28チーム中24位という結果に(メディアは賞典外)。ベストラップこそ最遅でしたが、チームワークと団結力が順位を押し上げたに違いありません。決して満足できる結果ではないものの、カートの面白さを体の芯から感じられた最高のイベントでした。

最後に、75歳でカートレースに助っ人として参戦した高橋国光さんのお言葉を。

「動くものに乗るのって、やっぱり楽しいですね!」

我らが自動車部のモットーにしたくなるくらい、力強く、そして真理を突くものでした。さすがでございます!

さて、次戦は今秋に開催予定。アナタも職場の仲間や友達を誘ってエントリーしてみませんか。間違いなく団結力がアップします。我らが自動車部の進化した姿に、タジタジしないように(ハハハ、んなわけないか)。

(文/ブンタ・写真/折原弘之・取材協力/CASIO)

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