ストリートを愛する料理研究家の足元に履かれた“あの頃”の俺らのフマラ

【スニーカーとヒト。Vol.9】

「この連載ですが、全10回で一旦終了です」。担当編集者から届いたLINEのメッセージには、そう書かれていた。『&GP』といういわゆるモノ系メディアの連載でありながら、モノではなくヒトにフォーカスする奇特な内容ゆえ、突然の余命宣告も致し方なし。それよりも、急遽残り2回の登場者を決めねばならない。ここで改めて述べておくが、本連載は“レアなスニーカーを取り挙げる”でもなく、“旬の人物に登場してもらう”わけでもない。人の数だけ人生があり、そこに寄り添う一足のスニーカーがある(はず)という考えのもと、「この人はどんなスニーカーを履いているんだろう?」というフトした疑問の答え合わせ。それがテーマである。

ゆえに、これまでも様々な職業の人々に登場してもらったのだが、やはり足元のパブリックイメージがない人の方が面白くて興味深い。そこで今回オファーしたのが、料理研究家の「きじまりゅうた」さん。

NHKで冠番組も持ち、著書多数とメディアに登場する機会こそ多いが、上半身しか基本的に映らない職業ゆえどんなスニーカーを履いているのか知らない人も多いはず。まさに企画意図にドンズバ打ってつけだ。話はトントン拍子で進んで取材当日。訪れたのは彼の仕事場。その玄関先で筆者を出迎えてくれたのが、NIKE(ナイキ)の「AIR HUMARA QS」であった。では、スニーカーの話題は後に譲るとして、まずは彼のキャリアからディグっていくとしよう。

【次ページ】自身のルーツを足元に。ゲーム翻訳家が選ぶこだわりの一足

この記事のタイトルとURLをコピーする