いまだ新商品が続々!“大河原メカ”は作りやすくて男前!【ニッポンの精密キャラホビー】

■組み立てやすさと精密さを両立したボトムズシリーズ

ガンプラの大ヒットに続こうと試みたアニメの中でも『装甲騎兵ボトムズ』のAT(アーマードトルーパー)ほど「全機種のプラモデル化」が待望されているシリーズはほかにない。

「放送当時、タカラ(現タカラトミー)さんのプラモデルでは物語終盤で活躍したラビドリードッグとベルゼルガDTは発売されませんでした」

ウェーブの開発部長・高沢浩一さんは、そう当時を振り返る。未発売に終わったATを再現できる改造パーツをレジン製キットとして1985年に発売したのが、まだ小さな企業だったウェーブ。『ボトムズ』との付き合いは、模型メーカーの中でも非常に長い。時は流れ、2014年3月に満を持して発売された完全新設計のプラモデル第1弾はラビドリードッグ。2016年11月にはベルゼルガDTもプラモデル化した。

▲ウェーブが初めて『ボトムズ』のガレージキットを発売した当時から勤務している高沢浩一さん(右)と、『ボトムズ』放送の年にタカラ(現タカラトミー)に入社した朝比奈 祥和さん(左)。『ボトムズ』の再プラモ化にはなくてはならないスタッフだ

「番組終了当時、誰もが欲しかったのにプラモデル化されなかったATを早い時期に発売した方が、ファンの長年の夢をかなえられるのでは?」

高沢さんはそう考えたという。ウェーブが新たに展開し始めた『ボトムズ』シリーズは、組み立てやすさと精密なギミックを両立させている。

「このサイズで可能なギミックはギリギリまで組み込んであります。だけど、組み立てた後にパーツが外れては、台無しですからね。そこが最も難しい点でした」

そう開発の苦労を明かすのは、開発担当の朝比奈祥和さん。一方、形状は「とにかく、自分の好みや個性を入れない」とキッパリ。現代的なアレンジを加えず、番組放送時に描かれた設定画の立体化に尽力しているとか。

「1983年に大河原さんが描かれたデザインをアップデートすることは、ファンも送り手も望んでいないと思う」

朝比奈さんは『ボトムズ』の魅力を次のように話す。

「架空のロボットではあるけど、あたかも実在した戦車や装甲車のような感覚で “ずっと形が変わらないもの” として愛されている。地味だけど存在感があるミリタリープラモに近いんでしょうね」

 

■“これこそ決定版”と認められているウェーブのボトムズシリーズ

ウェーブ
「スコープドッグ ターボカスタム[ST版]」(4536円)

足裏から加速用ブースターユニットが展開する複雑なギミックを、限界ギリギリのサイズで再現しているのが最大の特徴だ。背部の巨大なウェポンラックは取り付け構造の工夫により強度を確保。簡単には外れないようになっている。

▼多色パーツ仕様だから塗装せずとも満足できる

▼機体と同色のポリキャップで関節部分の見栄えも◎

▼スライド金型成型により複雑な形をワンパーツで

▼合わせ目の出ない効率的なパーツ構成

主役ロボのスコープドッグは量産兵器なので、武装の異なるバリエーションを複数並べて楽しめるのも魅力だ。劇中設定をイメージしながら、いくつ組み立ててもストレスにならないよう、コクピットと脚部ギミックを省いたST版も発売されている。

【次ページ】プラモデル界にロボット兵器ブームを呼んだ大河原さんの作品

この記事のタイトルとURLをコピーする