ドローンはどうなる?最先端はここまで来た「国際ドローン展」

●セコムの小型飛行監視ロボット

セコムの小型飛行監視ロボット

ドローンを活用したサービスを提案するセコム

6月からセキュリティサービスのオプションとして、ドローンを使った警備を提案していく。レーザーセンサーで不審者や車の侵入を検知すると、敷地内の格納庫からドローンが発進! 侵入者を追って顔や車のナンバーを撮影し、同社のコントロールセンターに画像を送信するというもの。その場の状況を迅速かつ正確に把握できるため、早期の対応を可能にするという。

●フカデン 点検用マルチコプター FD-06P-01K-J

赤外線サーモグラフィを搭載する

メガソーラーを点検するために生まれたドローン。ソーラーパネルの上空を、あらかじめ設定したルートで自動飛行。搭載する赤外線サーモグラフィカメラでパネルを撮影し、異常なホットスポットがないかを点検していく。同様の機体を使った検証飛行では、これまで作業員2人で2−3日かかっていた点検作業を、数時間で完了させたという。そのほか、風力発電のブレード点検や、高所コンクリート壁面の検査などに使われることを想定する。

1.注目を集めた自立制御システム搭載機

会場で最も勢いを感じたのは、野波健蔵教授が率いる(株)自律制御システム研究所のドローンブランド「ミニサーベイヤー」だった。着用型ロボット「マッスルスーツ」を開発した、菊池製作所での量産態勢も整い、国内メーカーとしては最も注目すべきドローンメーカーと言える。

●ミニサーベイヤー 量産型 MS-06LA

ミニサーベイヤー 量産型 MS-06LA

福島県南相馬市にある菊池製作所の工場で作られることになった量産モデル(13インチ)。モーター軸間の直径が680mmで全高は360mm。離陸時の総重量は9kgで、推奨ペイロードは3kg。ミラーレス一眼などのカメラであれば、余裕を持って運べそうだ。もちろんバッテリー低下や無線が耐えた場合、異常が検知された場合には離陸ポイントに自動で帰還する。

●原発調査用ミニサーベイヤーとバッテリー自動交換機

 原子力発電所の建屋内を探査するために作られたモデルで、レーザースキャナーや放射線測定器、LED照明、操縦用のカメラなどを搭載する。機体総重量は7.7kg。バッテリーが少なくなると、自動交換機(台)に帰還。人の手を介することなくバッテリーを交換し、再び任務に戻れる。ミニサーベイヤーは、実際に福島原発5号機の建屋内を試験的に飛んでいる。(当初は、同原発の1-3号機のいずれかを調査する予定だったという)

●ミニサーベイヤー 高速遠距離飛行型ドローン

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ミニサーベイヤーで開発中の、垂直離着陸と高速飛行が可能な、固定翼を搭載したドローン。全長2400×全幅3000mmの機体はフルカーボン製で、機体重量は8kg。目標速度は時速150kmで、航続距離100kmを目指して開発中だという。火山活動の観測や海上監視活動、遠方測量で活躍できるようにする。さらに設計値での最大ペイロードは15kgとし、物資の輸送にも役立てられる。

2.“ハイブリッド化”という発展軸

ドローンを他の機材と複合利用する動きも見られた。日立製作所は災害調査用に、無人車両とのハイブリッドなシステムを提案。プロドローンは、報道用の送信機材を搭載した三輪バイクを参考出品していた。

●日立製作所ほか 災害調査用 地上/空中連携ロボットシステム

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日立製作所やエンルートが共同開発した無人車両(UGV)とドローン(UAV)を連携させるシステム(写真はドローン部分のみ)。災害調査を想定して作られている。ドローンを載せた無人車両で災害エリアに急行。有線給電型ドローンを離陸させて上空から映像を撮影するというもの。無人車両には大容量バッテリーを載せられるため、ドローンの長時間飛行が可能になる。

●プロドローン PD-C01

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ドローンを搭載した三輪バイク。バイクには映像/音声を中継するためのシステムを載せている。災害現場や交通事故などの緊急時に、バイクで駆けつけドローンを飛行させる。周辺の様子をドローンで生中継できるという。

加速する開発スピード

ここで紹介したのはごく一部。他にもさまざまのドローンが展示され、具体的な用途が提示されていた。世界的にドローンを対象とした法整備が遅れる中、ドローン業界は、開発スピードを加速させている。「国際ドローン展」は、そんな勢いを感じさせる展示会だった。

第1回国際ドローン展
日程:2015年5月20日〜22日
会場:幕張メッセ
http://www.jma.or.jp/tf/drone/

(文/河原塚英信)

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