【プロダクトヒストリー】マツダ ロータリーエンジン車〜50周年の軌跡と未来への展望〜

往年のロータリーエンジン車をご紹介する前に、ここで改めて、ロータリーエンジンについておさらいしておきましょう。

マツダは1960年に、ロータリーエンジンの調査・研究をスタート。’63年には社内に“ロータリーエンジン研究部”を発足させ、歴史的な技術革新への挑戦を本格的に始めました。実用化へ向けての開発は困難を極めましたが、マツダの技術陣は多彩なアイデアと多くの工夫により、数々の問題を克服したのです。

一般的なレシプロエンジンは、出力を得る際に一度、往復運動を回転運動に変換する必要があるのに対し、ロータリーエンジンは回転運動をそのまま、出力として取り出せるのが特長。ガソリンの爆発力により、おむすびのような形をした三角形の“ローター”を回し、その回転力をレシプロエンジンのクランクシャフトに相当する“エキセントリックシャフト”などを介して、駆動輪へと伝えます。

ロータリーエンジンの魅力は、高回転域までスムーズな回転フィールと、同出力のレシプロエンジンより部品点数が少なく、軽くコンパクトに仕上がること。そのため、パワーはもちろん、前後重量配分などに起因する軽快なフットワークも重要視されるスポーツカーには、最適なエンジンといわれています。

そんなロータリーエンジンですが、かつてマツダは、軽自動車の「シャンテ」から高級車、そしてマイクロバスまで、“ロータリー・フルラインナップ”化を図ろうとしていた時期があったといわれています。当時の技術力においては、レシプロエンジンよりも高出力/高トルクで、排出ガスがきれいという美点を備えていたからです。

しかし、オイルショックなどの影響で、そうした計画は頓挫したようで、ロータリーエンジンは結果的に「RX-7」を始めとするスポーツカー用として進化・発展を遂げていくことになります。2012年を最後に、(一時的に)マツダ車のラインナップから姿を消しているロータリーエンジン車。近い将来、最新技術をフィードバックした新ユニットが、「RX-VISION」のような美しいFRスポーツカーの心臓部として復活することを期待したいですね。

【次ページ】近い将来、マツダのロータリーエンジン車が復活する!?

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