急がないと買えなくなるかも!? ホンダ クロスロード【遊べる絶版車図鑑】

■小さくても3列シート!

本題に入る前に、まずは歴史的な部分を紐解きましょう。

1982年に三菱がパジェロを発売。ランドクルーザーを販売していたトヨタは1980年にステーションワゴンシリーズとなるランクル60、1985年にはライトデューティーシリーズの70系ワゴン(現在のランドクルーザープラド)、1983年にピックアップトラックであるハイラックスをベースにしたハイラックスサーフを発売しました。日産はテラノを1986年に発売します。

日本に空前の好景気が訪れ、冬になると週末はスキー場に向かう高速道路が大渋滞。雪道を走る人たちからRV車が注目を集めるようになり、RVブームが沸き起こります(ここには映画『私をスキーに連れてって』のヒットやパジェロのパリダカでの活躍なども絡んでいます)。

そんな中、ホンダは自社ラインナップにRV車がなかったため、最初はジープチェロキー、1993年からはランドローバーディスカバリーを販売しました。ディスカバリーはホンダのエンブレムをつけて“クロスロード”という名称で販売されていたのです。

その後、ホンダは1995年に自社開発のSUVとして初代CR-Vを発売。CR-Vはアメリカ市場を見据えてモデルチェンジのたびにボディサイズが拡大されていきました。

また、ホンダは1998年に5ナンバーサイズのコンパクトSUV、HR-Vを発売。ただ、HR-Vだと小さすぎるため、CR-Vからの乗り換えユーザーを繋ぎ止めるのは難しい。そこで2006年にフルモデルチェンジした3代目CR-Vよりひと回り小さなSUVを開発します。それが2007年に登場した2代目クロスロードです。

2代目クロスロードは当時トヨタと熾烈な販売競争をしていたコンパクトミニバン、2代目ストリームをベースに開発されたモデルです。そのため、全長4285mm、全幅1755mmというコンパクトサイズながら3列シートを備えた7人乗りになっているのが大きな特徴でした。

全長が短いこともあり3列目の空間はお世辞にも広いとは言えないものの、駅まで友人を送ったり、旅先で仲間と1台のクルマで移動するなど、短距離のドライブなら対応できるスペースは確保されています。

ストリームがステーションワゴン風のデザインだったのに対し、クロスロードは箱型ボディにオーバーフェンダーをつけた往年のタフなクロカン4WDを連想させるデザインを採用し、ストリームとの差別化が図られています。

また、最低地上高も高められているので、キャンプ場など凸凹した場所を走行する際に床下をぶつけにくくなっています。背が高い分見晴らしがいいので、高速道路をラクに走行できるのもクロスロードならではの利点でした。

インテリアも直線基調のデザインになっていて、骨太なイメージを強調。インパネ周りは立体造形で力強さが強調されています。

ラゲッジスペースはスクエアなデザインになっているため、3列目シートを格納すれば荷物をたっぷり積むことが可能。オプションで、汚れがつきにくい撥水シートと2列目席の背もたれ裏のハードボードが備わるユーティリティパッケージも用意されました。

パワーユニットは1.8Lと2Lの2種類で、どちらもi-VTECになります。トランスミッションは5ATで、駆動方式はFFと4WDが用意されました。4WDは当時のホンダが採用していたデュアルポンプ方式にワンウェイカムユニットを組み合わせたリアルタイム4WDで、ヒルスタートアシスト付きのVSAが搭載されています。

 

■アースカラーにオールペンされたクロスロードがブームに

そんなクロスロードですが、新車販売時は残念ながらあまり注目されませんでした。理由としては当時はスライドドアのミニバンブームが最盛期だったので、ヒンジ式ドアの3列シート車は全般的に不人気だったことが挙げられます。SUVも日産 エクストレイルより大きなものが主流で、コンパクトSUVはまだ盛り上がっていませんでした。

それもあり、2007年2月にデビューしたクロスロードは2010年8月に生産終了。販売期間はわずか3年半しかありませんでした。

絶版後は中古車相場が安めで推移していたので、中古車関係者の間ではお得な中古車として密かに注目を集めていました。

そんなクロスロードは数年前からじわじわと人気が高まるように。きっかけとなったのは、今流行のアースカラーにペイントするカスタムのベース車両になったことでした。

イマドキのクロスオーバーSUVにはない四角いゴツゴツしたデザインは逆に新鮮味があり、サンドベージュやオリーブドラブといったカラーが綺麗にハマりました。

2021年11月現在、2代目クロスロードの中古車は220台ほど流通。価格帯は30万〜180万円となっています。

まだ相場がそこまで上がっていないこともあり、オールペンされたカスタムカーは車両本体価格100万円を超えたあたりから見つかります。この価格帯なら走行距離も10万km未満のものが中心に。

今はまだ相場が落ち着いているものの、今後流通台数が少なくなってくると相場が上昇に転じる可能性も否定できません。気になる方は早めに購入を検討することをおすすめします!

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<文/高橋 満(ブリッジマン)

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

 

 

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