冬期クローズするキャンプ場の運営者は、冬の間なにをしているのか

■冬シーズン中にお休みのキャンプ場は、頭脳労働メイン+修繕作業が短期間

では「冬期期間中に休業しているキャンプ場は何をしているのか」ですが、これも結局はやるべきことは変わりません。

変わりませんが、より「ギュッ」としている感じです。

冬期期間で休業しているキャンプ場の多くは、山間部や寒いエリアにあります。そういう場所は、降雪も多い。雪が積もれば作業どころではなく、雪が溶ければ路面状況も悪化します。そんな状態で土木作業をしようとすれば、整地どころか荒らしてしまいます。

▲一度雪が降り積もると場所によっては春までとけずにフィールドに残る。この状態では土木作業は一切できないし、それ以外の作業も効率が一気に落ちる

雪が降らないエリアでも、ひと月やふた月も氷点下が続くエリアであれば地面が凍ります。地表から20cmから30cm、場合によっては40cmの土が凍ります。ちなみに私達のキャンプ場「-be-」のエリアでは、地表から40cmは凍ってしまいます。

「なんだ、地面が凍るだけでしょ?」と侮るなかれ。びっくりするほどなんにもできません。足で蹴ってもびくともしないのは当たり前、スコップを刺そうとすれば弾かれ、ユンボなどの重機でも地面にパワー負けします。

そんなわけで、場内通路やサイトの整備系は冬の間はできないのが必定。「-be-」を整備するにあたって「いやいや、とはいえユンボあるんだからなんかできるでしょ!」と思っていた私をぶん殴ってやりたい。

▲どれくらいの広さを取れるのかを測定したのち、「どんなキャンパーさんに」「どう過ごしてほしいか」を考えながら設計するサイト割り。キャンプ場の雰囲気に作用する大事な工程だ

その代わり頭脳労働を行うわけです。年間のスケジュールやイベント、ワークショップの組み立て、サイトにテコ入れをするならその作戦、料金の見直しやHPの手直しやリニューアル、予約システムの検討や受付手順の刷新など、頭を使ってやる仕事も大量にあります。

冬期期間中に外作業ができない分、このソフト面に集中できるのです。

そして雪解けして、暖かい気温になったら冬期休業も終わり、キャンプシーズンの幕開けとなるわけですが、オープンするためには休業期間中にできなかったフィールドの整備が必要です。

3月末から4月の上旬にかけて暖かくなったら、一気に土木作業に入るわけです。

ですが、暖かいエリアと違って猶予は少ない。雪解けが終わってから、楽しくキャンプができる良い気温になるまでの間に一気に整備作業をすすめるしかない。

▲ところどころ、というよりはいたるところに野生動物の足跡が見られる冬の「-be-」。この雪が解けたら勝負所。限られた時間で一気に場内整備をすすめる

2週間から3週間程度の限られた中で、重機をレンタルし、人手を頼んで、でも可能な限り自分たちでできる範囲は自分たちで。

私達の「-be-」はこのタイプ。ですので、もしこの記事をご覧いただいて春先に「キャンプ場整備を手伝ってもいいよ!」という方がいましたら、何卒よろしくお願いいたします! 半分本気です。

*  *  *

さて、というわけで、今回は冬のキャンプ場ってなにしてるの? という疑問にお答えするような内容でした。

冬シーズン中もなにはともあれ、キャンプ場にとっては重要な期間。冬も営業できるキャンプ場は、通常業務に加えて土木作業に頭脳労働とあくせくします。冬クローズのキャンプ場は通常営業がない代わりに頭脳労働と短期集中型の整備作業。

どちらにも一長一短があるというか、でも何にせよやっぱり大変なことです。

余談ですが、先日、お世話になっているキャンプ場オーナーがこんな話をしていました。

本当に大変なことばっかりよ。土木作業もあって、でも接客もある。何でも自分でできるようにならなきゃいけない。

土日だけ見たらキャンパーがたくさんいて順風に見えるけど、見えないところで辛いことも多い。

でも、やっぱりお客さんがワクワクした様子でキャンプ場に来て、帰りがけに「楽しかった! また来ます!」なんて言ってくれる。だから、頑張れるんだよな。

これがキャンプ場運営の醍醐味で喜びだよ。

私達の「-be-」も例にもれず、というよりも例よりも大量の作業が春先にありますが、それでもやっぱり、たくさんのキャンパーたちの笑顔が見たい!! なので、勝手に張り切っちゃいます!

▲春の雪解け水が大量に流れても大丈夫なように、管理棟前のU字溝の掃除。2年半分の土砂が溜まって大仕事。随分キレイにできたので、これで春も安心

お日様の下で大汗かきながら整備して(予定)、みなさんのご来場をワクワクしながらお待ちしています!!

それでは今回もご覧いただきありがとうございました! また次回もよろしくお願いいたします!!

「-be- 北軽井沢キャンプフィールド」
〒377-1411 群馬県吾妻郡長野原町応桑1984-160

 

>> [連載]放置キャンプ場開拓日誌

<文/山口健壱>

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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