PBを超えた実力と人気の「テンマクデザイン」を生み出したアウトドア専門店「WILD-1」の魅力を探る

■栃木という豊かなフィールドがルーツのアウトドア専門店「ワイルドワン」

1975年に創業したカンセキは、宇都宮にホームセンター1号店「カンセキ宇都宮西店」を開店して以来、地域に密着した経営を続けています。

▲栃木、群馬、茨城、福島4県にホームセンターを展開するカンセキ

そして創業から9年後の1984年にはアウトドア専門店「ワイルドワン宇都宮店(現在の宇都宮駅東店)」をオープン。現在では全国に24店舗を展開しており、日本のアウトドアシーンに欠かせない存在となっています。

ホームセンターがなぜアウトドア専門店? と思うかもしれませんが、その源流には同社の企業理念と地元栃木県があります。

▲お話を伺った株式会社カンセキ WILD-1事業部の片浦さん

「株式会社カンセキの企業理念は “生活の快適創造”です。普段の生活を充実させることはもちろんですが、それ以外にも余暇の過ごし方や趣味など日常生活以外の部分を充実させることが、より快適な生活に繋がると考えています。創業からまもなく50年を迎えますが、この理念は今でも変わっていません」そう話すのは、株式会社カンセキ ワイルドワン事業部の片浦さん。

▲まだまだアウトドア文化が一般的に知られていない1984年にワイルドワン第一号店をオープン

余暇時間の過ごし方も含めての“生活”を考えたときに、日常生活や仕事以外の部分を充実させるための専門店を経営するという選択は、同社にとってはとても自然な流れでした。

さらに、アウトドア事業には立地の影響も大きく、本拠地となる栃木には、アウトドア愛好家たちを魅了して止まない豊かなフィールドがあります。

「栃木はアウトドア好きにはもってこいの場所なんです。鬼怒川や那珂川などの清流では、釣りはもちろんカヌーやカヤックでの川下りも楽しめます。日光や那須には景観豊かな山々が広がり、夏は登山、冬はスキーやスノーボードを楽しまれる方々に非常に人気のあるエリアとなっています。そしてそれらの中でも、奥日光の存在が大きいですね」

▲メジャーどころから注目のアイテムまで、幅広い品揃えの店内

中禅寺湖を中心とした奥日光は、アウトドアの聖地とも言えるエリアです。明治時代には多くの外国人が避暑のために奥日光中禅寺湖を訪れ、夏はフライフィッシングを、冬はクロスカントリースキーを楽しんでいたとされています。そんな歴史的な背景のある栃木という土地でアウトドア専門店をオープンしたことは、自然の流れなのかもしれません。

▲ルアーフィッシングやフライフィッシングに関連する商品を幅広く取り扱っている。経験豊富なスタッフも多い

また、今でこそキャンプや登山用品などさまざまなカテゴリーの商品を取り扱っているワイルドワンですが、そのルーツは「釣り」にあるといいます。

「アメリカにホームセンターの視察に行った際、フィッシングカテゴリーの商品展開に驚いたと聞いています。しっかりとした広さの売り場が確保されており、選択肢も多い。当時の日本の釣具店と言えば、個人店がそれぞれに頑張っている状態で、本格的に幅広く取り扱っているお店がなかった。帰国後に、海外の売り場を参考にして実現したのがワイルドワンなんです」

創業時のキャッチコピーは“FISHING&OUTDOOR LIFE”。釣りが日本のアウトドアシーン初期において中心的なアクティビティであったことが伺えます。

そして現在は“快適なアウトドアライフの提案”を掲げ、釣りや登山、リバーアクティビティ、キャンプなど、さまざまなアウトドアライフスタイルの提案をしています。

「ビジネスとして考えても、1980年当時はアウトドアレジャー用品を専門に取り扱う企業が少なく、成長できるチャンスが大きかったのだと思います。現在、弊社ではホームセンター事業やアウトドア事業以外にも、買い取りと販売を行うリユース専門店や業務用食品スーパーなどの事業を運営しています」

ワイルドワン創業当時は、“アウトドア”という言葉がまだ一般的ではなかった時代。キャンプの必需品であるランタンやバーナーをはじめ、あらゆるアウトドア用品は「東京の小さな個人店に足を運ぶか、個人輸入しか購入手段がなかった」のです。

▲登山やキャンプ、釣りだけでなく、カヤックの取り扱いも。山、川、海とあらゆる領域の遊びを総合的に提案している

 

【次ページ】NBがあるからPBの良さが伝えやすくなる

この記事のタイトルとURLをコピーする