メタリック色の塗装は下地処理で仕上がりが決まる!【達人のプラモ術<宇宙船アーク号>】

■映画のラストシーンを再現

展示ベースはそのままでもよくできているのですが、もうひとひねり欲しいかなということでレール基部を自作。さらに映画のラストシーンを再現するため、建築模型等で使われるプライザー製の1/350のフィギュアを使い、惑星べラスの衝突を警告したヘンドロン博士とアーク号建造の費用を出した億万長者のスタントンを再現。あと車イスを自作してみました(このシーンは映画を見てチェック!)。

フィギュアを追加することでアーク号の大きさがよく分かるのと、ぐっと臨場感が出てくるのでオススメです。

▲映画のラストシーンの再現するためにカタパルトレールの基部にプラ板を貼り込んで、フィギュアを配置するベースを自作。次回鉄骨なども配することで臨場感を盛り上げる予定

▲レール上にはアーク号の打ち上げ用のエンジン付きランチャーが再現されている

▲インスト(説明書)ではシルバーと塗装指示されていたがDVDでこのシーンを確認したらランチャーのフレームは赤だった

▲市販されている1/350の汎用フィギュアを使って、ヘンドロン博士と億万長者のスタントンを自作。あと欠かせない車イスを自作してみた。1/350ともなるとフィギュアのサイズは3ミリ程になる

▲塗装したベースにアーク号を乗せてみた

▲それなりに劇中の雰囲気は出たと思う。完成が楽しみだ

 

■現実はSFを追い越していく!

SF映画の世界では、50年代以降すっかり廃れてしまった白銀色のロケットですが、現実はSFを追い越してセンス・オブ・ワンダーなロケット型宇宙船を復活させてくれました。

かのイーロン・マスクが興したアメリカのスペースX社が開発中の「スターシップ」は、古き良きSFに登場するスタイル宇宙船そのまんまというか、銀色に輝く砲弾型の機体後部には大きな翼があり、機体先端にも小さな翼を装備した、あえて言うならアナクロなデザインのリアル宇宙船なんですね。

多段式ロケットのように打ち上げの際に機体を切り離して、先端のカプセルだけが地球に帰還するこれまでのロケットと比べてスターシップが大きく異なるのは、機体は上段のスターシップと下段のスーパー・ヘビーと分かれてはいますが、どちらも再使用が可能で、打ち上げた時のスタイルのまま上昇、そして垂直に着陸することが可能となっていることです。

これまでのSN8、SN9(SNはSerial Numberの略)といったテスト機の飛行試験では着陸時に爆発という結果でしたが、2021年3月に実施された試験機SN10によるテスト飛行おいて、目標高度10kmへの到達。着陸地点への制御された降下後にソフトランディングが成し遂げられました。ただし、着陸から数分後にSN10は爆発、最終的に機体は失われてしまいました。原因は、やや速い速度でタッチダウン(着陸)したため、どこかが損傷して燃料のメタンと思われるガスが漏れ、それに引火したためと言われています。

爆発して失われたものの、機体の着陸という試験の本来の目的は達成されたことでスターシップの開発は大きな進展を果たしたとイーロン・マスクは語っています。白銀色のロケットが垂直に降りてくる姿は、まさにセンス・オブ・ワンダーの実現でありました。

SN10着陸の様子はYouTubeで見られます。

©SpaceX

 

■宇宙船プラモデルあれこれ

SF映画に登場する流線形の宇宙船デザインを駆逐してしまった、スタンリー・キューブリック監督の傑作『20001年宇宙の旅』に登場するXD-1ディスカバリー号。

特徴的なデザインは精子をモチーフにしたものだそうです。シネラマの大スクリーン上で真空の宇宙空間を音もなく進んでいくディスカバリー号の映像には衝撃を受けました。慣性飛行だからエンジンは沈黙、観る者をぞくぞくさせるリアルさがありましたね。そして続編の『2010年宇宙の旅』(85年公開)ではエンジンに点火した姿を見せてくれました。

余談になりますが原作者アーサー・C・クラークは『2001年宇宙の旅』より『2010年宇宙の旅』の方がお気に入りだったそうです。

ディスカバリー号は撮影後にプロップモデルが廃棄されてしまったこともあり、モデル化に際しては謎も多いそうなのですが、2000年代以降プラモが次々と登場しました。現在メビウスモデルが発売している1/144モデルは完成後のサイズが全長は1メートル! 我が家はなぜかキットが2つあります(笑)。参考価格3万5200円。ディテールアップ用のエッチングパーツ等も発売されています。ちなみにメビウスモデルからはお手軽な1/350スケール(それでも全長43cm)も発売されており、こちらは価格1万659円です。

そして海洋堂から1/10スケール!ディスカバリー号(受注製作モデル)も出ております。達人も欲しいのではありますが、お値段130万円!

次回はアーク号ジオラマの完成編をお送りします。お楽しみに!

 

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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