完成した船体をジオラマベースに仮配置!【達人のプラモ術<しんかい6500>】

■船体の完成

船体の観測機器、また整体裏側には浮上する際に投棄する鉄製のバラストを取り付けて船体を完成させます。最後に垂直安定ひれと胴体両側JAMSTECのマークと「しんかい6500」のロゴのデカールを貼り、半ツヤクリアーで全体の塗装を整えて「しんかい6500」が完成しました。

▲仕上げに缶スプレーセミグロスクリアー(タミヤ缶スプレーミニTS-79)を船体全体に塗装。デカールの保護と船体の塗装を整える

悩ましいのは、「しんかい6500」が潜水調査船ということもあり、常に整備されており船体に汚れや錆などが見られません。情景模型的には、作品を際立たせるウエザリング(汚し塗装)を入れたいところなんですが、不用意に汚し塗装など入れたら、逆に不自然になってしまいます。なので今回はパネルラインやパーツ凹部へのスミ入れをおこなって船体のディテールを際立たせる程度にしておきます。

深海での調査中に謎の未確認生物に襲われて、マニピュレータで辛くも撃退、船体にダメージを受けた「しんかい6500」なんてのも模型的には面白いとは思いますが…今回はやめておきましょう(実はやりたい)。

▲完成した「しんかい6500」

▲船名とロゴマークが入ったことで、ぐっとモチベーションアップ。仕上げのオーバーコートも、ミリタリーモデル的なつや消しではなく半艶に仕上げしげたことでリアルな質感となった

▲この時点ではパネルラインへのスミ入れはまだ行っていない

 

■ジオラマベースの製作

スタイロフォームを使って製作したジオラマベースは、深海の熱水噴出孔“ブラックスモーカー”をイメージしています。

▲深海で硫化物を吹きだすブラックスモーカー。周囲にはシロウリガイなど独自の生態系が存在する ©2012 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology

今回はスタイロフォームの上からモデリングペースト(アクリル樹脂と大理石の粉末からできたパテ状下地剤)を塗りこんで、より海底らしく下地を仕上げていきます。通常のモデリングペーストとモデリングペーストエキストラコースパミス(灰色・極粗粒子砂目盛り上げ材)を使うことで、堆積物に覆われた海底を再現しています。

モデリングペーストは水性アクリル樹脂なので、厚塗りした場合乾燥に時間がかかるのが難点ですが、硬化後も削る等の加工が可能で、塗料を選びません。ジオラマ製作によく使われる素材です。

ところでブラックスモーカーが存在する海底って何色なんでしょうかね、光が届かない深海ですから、真っ暗な海底の色がよく分かりません。写真や動画見ると、ライト浮かびであがる海底は、ブラックスモーカーの噴出物のせいで茶色や赤、黄色と思いのほか派手なようです。

▲スタイロフォームのベースにモデリングペーストエキストラコースパミスを筆で塗布して24時間乾燥させた状態

▲熱水噴出孔となる岩の柱部分は通常のモデリングペーストを塗布して下地を仕上げている

▲乾燥後、グレーサーフェイサーで下地塗装

▲モデリングペースト塗布しているのでサーフェイサーの溶剤でスタイロフォームが溶けてしまうことはない

▲下地仕上がったベースに完成した「しんかい6500」を仮配置して、ジオラマのイメージを固めていく

▲イメージベースはキットのボックスアート

▲バックを暗くしてキットのLEDを点灯させると、雰囲気アリアリでテンションアップ!

*  *  *

「しんかい6500」の船体は無事完成しました! 次回は噴煙を吹き出すブラックスモーカーのジオラマを仕上げてフィニッシュを目指します。お楽しみに!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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