さらなる光沢仕上げを目指す「ボディのクリアー塗装&研ぎ出し」を解説【達人のプラモ術<ポルシェ935マルティーニ>】

■まずは砂吹き(粗吹き)

吹き付けは、ちょっと缶の距離を離して、まずボディ全体にクリアーを乗せる感じで吹きつけていきます(1~2回)。これを砂吹きとか粗吹きと言います。あえてザラっとした下地を作っておくことで、この後におこなう本塗装の塗料がしっかりと食いついて塗料がタレにくくなるワケです。

砂吹きを乾燥させたら、いよいよクリアー塗装の本番です、肩の力を抜いて参りましょう。クリアーは15センチくらいの距離でリズミカルに、塗装面が濡れてテカって見えるようにボディ全体に一気にクリアーを吹き付けていきます。素早く吹き付けることで塗装面の塗料の粒子が均一に馴染んで均一な塗装面となるんですね。吹き付け→乾燥(1時間程度)で3回塗り重ねていきます。

もしザラついているとしたら、吹き付けの距離を離しすぎている、あるいは、吹き付けの際に塗料の飛沫が塗装済みの塗装面にとんでしまっているのが原因です。

▲缶を30センチほど離して塗料を乗せる感じで吹き付けた、クリアーの本塗装の下地となる砂吹きをしたボディ。この状態で30分ほど乾燥させる

▲砂吹き2回の後、本塗装を行う。15センチ程度の距離でクリアーをボディ全体に均一に吹き付ける(表面が濡れたような感じになるように)。今回は後の作業となる砥ぎ出しを考量して、塗装→乾燥(30分程度)を3回繰り返して、クリアーをやや厚めに仕上げている

文字だとなかなかイメージしにくいですよね、以下の動画で私が缶スプレー塗装のコツを紹介していますのでそちらを見てもらうと、塗装の距離や缶を動かすスピードがイメージしやすいと思います。

 

■クリアー塗装は乾燥が大事!

クリアー塗装が完了したら、しっかりと乾燥させます。今回クリアーは砥ぎ出しを考量して厚塗りに仕上げているので、常温ならば最低でも3日(可能ならば1週間)は乾燥させる必要があります。作例は乾燥器(内部が40~45度になる)を使い24時間乾燥させています。

▲プラモデル用乾燥器…実は食器乾燥器

山善
「食器乾燥器」(9480円)
サイズ:幅41cm×奥行40.5×高さ34.5cm

以前はプラモデル専用の乾燥機(ドライブース)が発売されていましたが、現在は廃版となっており、モデラーに人気が高いのが家電メーカーの山善から発売されている食器乾燥器。サイズが手ごろなのと内部の温度があまり高くならないのでプラモデルの乾燥に最適と口コミで人気が出た乾燥器です。

 

■砥ぎ出しで光沢アップ!

クリアー塗装が完全に乾燥したら、そのままでも光沢はありますが、さらに光沢仕上げとするため、砥ぎ出し作業を行いましょう。

▼砥ぎ出しとは?

クリアー塗膜の上から研磨ペーパー(今回はスポンジ)とコンパウンドを使って、クリアー層の表面の微細な凹凸を削り塗膜を均一に仕上げること。同時にデカールの段差もなくなるのでボディ表面の光の反射が均一になってキレイな鏡面に仕上げられます。

今回は研磨スポンジを使い1000番→1500番→2000番の順番で水研ぎ、さらにコンパウンドの粗目→細目→極細→セラミックコンパウンドで砥ぎ出して仕上げています。

▲研磨スポンジ(1000番→1500番→2000番の順)でクリアーの表面を水研ぎすることで塗装面の微細な凹凸とデカールの段差を均一に均していく。パーツの凸部分は研磨することで下地が出やすいので注意しながら水砥ぎ出していく

▲研磨スポンジでの研ぎ出しが完了した状態。研磨によりクリアー塗装面のツヤが消えているが、ここからコンパウンドを使ってさらに研磨、鏡面仕上げを目指していく

▲コンパウンドは粗目→細目→仕上げ用の順番で使いボディを砥ぎ出していく。研磨時に生じるコンパウンドのカスは研磨後にぬるま湯で洗い落す

▲仕上げにはセラミックコンパウンド研磨用クロスを使いでさらに砥ぎ出して塗装面を鏡面に仕上げていく

▲ボディの研ぎ出しが完了

▲ハセガワ「セラミック コンパウンド」(1320円)。塗装面の仕上げ磨きに使用するセラミック超微粒子を含む研磨剤。光沢塗装や透明プラスチックの仕上げに最適

▲研ぎ出しのあと、ウインドウのウエザーストリップ部分の黒をセミグロスブラックで再塗装

▲フロントボンネットのキャッチピン部分にはハセガワ製フィニッシュシート(チタンフニッシュ)を貼ることで金属感を強調してみた

 

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