名店と呼ばれる所以は細部にこそ宿る!銀座「レストラン ピウ」に見る、日常と非日常の狭間

■料理、空間、サービス。細部に光る「レストラン ピウ」のこだわり

伝統料理の構成要素を一度分解し、独自の視点で再構成する料理が新佛シェフの真骨頂。たとえば柔らかく旨味濃いイチボを使う「阿蘇あか牛のビステッカ」(以下料理はすべてディナーコース「Corso piu」8200円の一例)は、おでんのように炊いた大根や、たまり醤油を使ったタスマニアのマスタードがアクセントに。大根の適度な水分が、肉料理を軽やかな食べごたえにしています。

▲「阿蘇あか牛のビステッカ」

スペシャリテである「アニョロッティーニ」は、餡を詰めたラビオリのような手打ちパスタ。新佛シェフは、多彩な肉をごちゃ混ぜにして詰める本場の味を一度分解し、3種のパスタとして再構成しました。ウサギと香味野菜の白、仔牛とポルチーニの緑、プロシュートコットとチーズの赤。個性豊かな3種が、複雑で深みある美味しさを織りなします。

▲「アニョロッティーニ」

パスタの一番人気は「冷製カルボナーラ」。卵とチーズにビネガーを加えて乳化させたソースは、さっぱりとしていながらコクがある不思議な味わいを生み出しています。どれも伝統に敬意を払いつつ、そこに独自のアイデアを加える新佛シェフらしい味です。

▲「冷製カルボナーラ」

コース全体をひとつの料理と捉え、緩急をつけた流れや食後感を意識する新佛シェフ。その全体像の構成のため、料理には時折、和のエッセンスを潜ませます。肉料理の付け合せには大根の煮物、イタリアンパセリのドレッシングにほのかに香る柚子胡椒、厨房では自家製の糠漬けまで仕込んでいるというから驚きです。

これらは流れに変化をつけるだけでなく、馴染み深い味で日常との接点をつくることで、未知なる味を親しみやすく変える効果も生んでいるのです。

ボトルで60種ほど揃えるワインは、すべてイタリア産。しっかりと酸味があり、味の輪郭が立つ銘柄を厳選しています。「単独で完成した味よりも、料理と合わせて引き立つもの」と、サービスの茅野武司氏。コース料理それぞれに合うグラスワインを提案するペアリングコースも準備されています。

ロングパスタ、ショートパスタから、具材を詰めたアニョロッティーニまで、多彩なパスタを新佛シェフが手打ち。ソースを仕立てるシェフ自らがパスタも手打ちすることで、味わい、食感、食後感などさまざまな要素がピタリとはまった極上のパスタが生まれます。

 

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