アジを釣るポイント・ルアーを投げるポイント【アジング編】

■明るい場合はまず海を確認する

ナイトゲームや薄暗いマヅメ時が本番となるアジングですが、まだ明るい時間に釣り場に着いた時は海を観察してみるといいでしょう。

▲偏光グラスは「TLX004」(ダイワ)のフレームに「イーズブルー」(タレックス)のレンズに変更したものを使っています

何を見るかというと、まずは潮の色をチェックします。

潮の色は地域や時期によっても変わるため、一概に「この色は釣れる、この色はダメ」とはいえませんが、確実にNGなのは茶色く濁った中に千切れた海藻が舞っているような場合。

これは浅い海におきやすい「底荒れ」という状況で、高波などの影響で底まで攪拌されている状態です。このような場合は、ルアーに海藻などが絡みついて釣りがしにくく、海中には細かい泥の粒子が舞っているためアジも嫌います。

このような状況の場合はポイントを移動するのが賢明です。

また、小さな小魚が港内に入っているかもチェックしましょう。

特に釜揚げシラスの原料になるカタクチイワシの幼魚のような2~5cm程度の小型のベイトフィッシュ(エサとなる小魚)がいる場合はチャンスです。

シラスは沖から回遊してくるため、それを追ってアジも沖から入ってきている可能性があります。マヅメ時に爆釣できるのは、このようなベイトフィッシュがいる場合が多いです。

■投げるポイントはどこ?

アジングの定番ポイントは身近にある漁港ですが、ひとくちに漁港といってもさまざまなシチュエーションがあります。漁港の中でもアジが釣れやすいポイントや、ほとんどアジがいないポイントもあるため、アジングで有望となるポイントをいくつか挙げてみます。

ポイント1…港のみお筋(船の通り道)

港のみお筋は漁港でのアジングでは定番中の定番といったポイント。

港の出入り口で船の通り道になるため、船が座礁しないように水深があり、海流や干満差などで流れもおきやすく、潮通しは最高です。

潮通しが良いということは、ベイト(エサのこと)となるプランクトンや小魚も通りやすく、沖からアジも回遊してきやすいポイントです。

中型の漁船が安全に通るために、船の通り道となる船道は少なくとも水深4m以上あるので、それぐらいの水深であれば回遊してきたアジが居着くこともできます。

外からの新しい群れと、すでに居着いている群れの両方が混在するため、漁港の中でもっとも魚影が濃く、もっとも期待度の高いポイントといえるでしょう。

港の出入り口となる堤防先端に常夜灯があれば、ナイトゲームでは当然好ポイントになります。沖からの群れも集まってくるため、スレていない(スレる=攻められて警戒されている状態)アジも多く、ルアーへの反応も良好です。

常夜灯がない堤防では、ベイトフィッシュが港口を行き来するマヅメが勝負の時間帯。夕マヅメのベイトフィッシュは夜間になると大型魚に捕食されないために港内などにある浅場へと回遊し、朝マヅメになると今度は鳥などに襲われないように沖に出ていきます。

そのため、マヅメはベイトフィッシュが通るタイミングで、それをアジが狙うため、活性が上がる絶好のチャンスタイムになります。

ポイント2…漁港の隅

港内の隅の部分もアジのたまりやすいポイント。

ポイント1の漁港のみお筋では潮通しの良さが好条件でしたが、漁港の隅は条件的には真逆です。

潮通しは悪いのですが、それが吉となる場合もあります。

例えば、風が吹くとプランクトンや流れ藻などが風下側へ流されていき、港の隅に集まります。エサとなるプランクトンが集まればアジも必然的に集まるようになり、海面に流れ藻などが集まっていれば水中にカゲをつくり、アジが安心して留まれます。

特に九州など魚が多い地域では、港の外側にはブリなどの青物やアオリイカがアジを狙っているため、それらの外敵から身を守るためにアジは港内の隅によく集まります。

そのため、漁港のみお筋は好ポイントではあるものの、アジを捕食する他の魚にとっても好ポイントであるため、青物の魚影の濃いエリアではむしろ潮通しの悪い漁港の隅の方がよく釣れるケースがあるのです。

他にも、外洋が荒れ気味でも漁港の隅は穏やかなため、避難するためにベイトフィッシュが集まり、アジも集まりやすくなります。

ポイント3…スロープの段差

漁港内には船の修理・点検時や台風などの波から船を守る際に陸揚げするためのスロープ(船揚げ場、船曳場ともいいます)がありますが、このスロープはアジングでは穴場的なポイントです。

一見するとただ傾斜になっているだけだと思うかもしれませんが、スロープは潮位の下がった干潮時でも船底が海底に当たらないように、あるところでストンと深くなっています。

このスロープの切れ目付近でアジがヒットすることが多いのです。

その理由は、スロープの浅場にはベイトが多いため。

前述のように、アジが捕食できるような小さなベイトフィッシュは夜になると浅場へと回遊しますが、浅いスロープはまさにベイトフィッシュの集まるポイント。夜にスロープをライトで照らすとおびただしいほどの小魚の群れがいることがよくあります。

切れ目より沖側は水深があるため、回遊してきたアジが留まりやすく、アジにとって食と住が一緒になっている好物件。人間の世界でいえばマンションの1階にファミレスが入っているといった感じでしょうか。

また、堤防の先端のように釣り場が狭いポイントは先行者がいると釣りができませんが、スロープは競争率が高くないため先行者がいる可能性が低く、仮に先行者がいてもスロープの幅はアジが釣れやすいポイント広いので、大人数でも同時に釣りができます。

そしてスロープ周辺にいるアジはベイトを捕食するのが目的なので活性が高く、スレていないためルアーへの反応が良いのも特徴です。

ベイトフィッシュが集まるのは夜のため、スロープ周辺はナイトゲームが基本となりますが、小難しいことをせずに表層を巻くだけでも釣れてくれることも多いため、実は入門者にもオススメのポイントといえます。

■釣るポイントはどこ?

ここまで漁港でのアジングにおけるルアーを投げるポイントを紹介してきましたが、釣り場所はどこを狙えば良いか、攻め方のちょっとしたコツなどを詳しく解説していきます。

ポイント1…堤防の先端

港の出入り口となる堤防の先端は漁港でもっとも期待度の高いポイント。

アジは周囲のどこでもいる可能性がありますが、基本となるのが堤防の正面。もっとも潮通しが良く、アジの回遊も多いポイントです。

小規模の漁港では沖向きにキャストした方がよく釣れる場合も多いです。小規模の漁港や水深のあまりないポイントでは、沖から回遊してくるアジが多数派となるためです。

波や風で多少海が荒れている場合はベイトが穏やかな港内側に集まりやすく、アジも内側に集まることがあります。また、アジを狙う青物などがいる場合も、アジは内側にいることがあります。

▲私が履いているのは4月に発売予定の「ダイワニットフィッシングシューズ DS-2101K」(ダイワ 1万4700円)です

漁港の堤防はコンクリート製で足場が良いですが、時おり水たまりができてノリが付着している場合もあります。そのようなところでは、一般的なスニーカーだと非常に滑りやすくなるため、靴底にスパイクピンのある堤防用シューズがオススメ。

ポイント2…常夜灯の周辺

常夜灯にはアジのエサが集まり、それを狙ってアジも集まってきます。

釣りの教科書的なものには明るい部分と暗い部分の境目となる「明暗部を狙え」とよく書かれます。確かに、大型魚のスズキ(シーバスとも呼ばれます)などは明暗部の暗い側に潜み、捕食するチャンスをうかがっていますが、アジの場合は明るい側に集まることが多いです。

明るい側の方がエサも多く集まり、暗い側では大型魚が狙っているかもしれないためです。

そして、明暗部は海面だけでなく水中にもあります。

明かりは水中で少しずつ弱くなり、ある水深や常夜灯から距離が離れると明かりは届かなくなります。そのラインが水中の明暗部となります。

といっても、これはあくまで基本の話。状況によっては暗い側にいたり、明かりの届かないような深さにいたりもします。そのため、明かりのド真ん中から、明暗部の周辺、そして海底周辺までと、広範囲を攻めてアジを探し出してみましょう。

ポイント3…釣れている場所、人が集まっている場所

アジが釣れていると、それを見た人がさらに集まるということがよくあります。

アジが釣れているところは群れがいる可能性が高いため、大チャンス。

特に地元の釣り人はそれをわかっているので、アジの群れがいないときには竿を出さないことも多く、逆に釣れているときは普段は釣りをあまりしない近所のおばちゃんまで晩のおかず目当てに釣りをしたりもします。

アジのポイントはネットや釣具屋さんでも調達できますが、リアルタイムでアジを探すときには釣り人の多い場所を探す方が早くて確実な場合も多いです。

他県ナンバーの車が多い場所よりも、自転車や徒歩で来ている地元の人が多い場所の方が期待度と信頼度が高いので、ご挨拶がてら釣果をたずねてみるといいでしょう。

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<文/渡邉長士 写真/須田俊哉>

渡邉長士|1981年生まれ、千葉県出身。地元の房総半島を中心に旬なターゲットを狙うプロ釣り師。海のルアーフィッシングが得意。アジをルアーで釣る“アジング”を提唱したパイオニアで、全国にブームを広めた1人。釣り具メーカー「ダイワ」「オーナーばり」と契約し、数々のアジング製品の監修、プロデュースやテレビ、雑誌などで釣りの楽しさを発信している

 

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