2017年8月21日、世紀天体ショー“皆既日食”をアメリカで体験!

■日食により「史上最悪の渋滞」が発生!? 現地でまともに動けるのか

今回は皆既日食体験以外にも用事を絡めたので、まずはロサンゼルス経由でラスベガスにイン。ラスベガスは皆既日食帯(皆既日食を観測できるエリア)からかなり離れていますが、テレビでは日食のニュースがバンバン流れています。

「ポートランドでは日食の間、公共駐車場の屋根をクローズ」

「アメリカ史上最悪の渋滞の恐れ」

「日食に続き、渋滞の悪夢がオレゴンを襲う」

「皆既日食による生産性損失は6億9400万ドル(約760億円)に」

「空が急に暗くなっても慌ててブレーキを踏まないようドライバーに注意喚起」

皆既日食がアメリカ大陸を横断する形で起こるのは、1918年以来、実に99年ぶりの出来事。そのためアメリカ中がお祭り騒ぎです。オレゴン州だけで約100万人が訪れると言われていて、いったいどのような状況になるのか誰も予想できません。ネガティブなニュースが多いのもそのためでしょう。

そんな中、同じく日食体験のためにアメリカに入りキャンプしている友人からLINEが。

「小さな町に一気に人が流れ込んできたから、あちこちで軽くガソリンパニックが起きてるぞ。動くときはこまめに給油してタンクを常に満タンにしておけ」

…なんだか大変なことになりそうです。

 

■8月19日(土) どこで皆既日食を体験するべきか、激しく悩む…

ラスベガスからオレゴン州ポートランドにイン。空港はEclipse Tシャツを着たツーリストでごった返しています。

▲空港のレンタカーもツーリストでごった返していました。慌ただしく動くスタッフから「あのあたりから好きなの選んで」と言われたので、お言葉に甘えて車内でゆったり寝られるダッジグランドキャラバンをチョイス

皆既日食は皆既日食帯(皆既日食の通り道)の中に入らないと観られません。ポートランドはギリギリ帯の中に入っていないため(食の最大が99.2%)、ここからどこに移動するかが勝負です。候補はふたつ。ポートランドの南部に位置するセイラムか、マウントフッドを超えたところにある人口約6000人の小さな町、マドラスです。

マドラスはワームスプリングスリザベーションという文字の下、Y字の道があるあたりです。セイラムはポートランドから1時間ほど、マドラスはポートランドから3時間弱という距離にあります

天気予報を確認すると、セイラムはやや雲が多いものの、どちらも問題なさそうです。

▲セイラムの8月21日の天気予報

▲マドラスの8月21日の天気予報

皆既日食は皆既日食帯の中に入らないと観られませんが、逆に言えば皆既日食帯の中に入ればどこでも観ることができます。そこでどういう場所を観測ポイントに選ぶかは、皆既日食をどのように体験したいかで変わってくると言えるでしょう。

皆既日食は月が太陽をすっぽりと覆い隠す現象です。月に隠れた太陽を見るだけなら、太陽が見える場所なら街中などどこで観測しても構わないと思います。しかし皆既日食は地球にもっとも大きな影響を与える太陽が隠れるため、皆既状態になるとさまざまな現象が起こります。しかもどんな現象が起こるかは観測場所の気象条件等により変わってきます。それゆえ皆既日食は「もっとも壮大な天文現象」と呼ばれるのです。私がこの原稿で皆既日食を「体験」と表現する理由もここにあります。皆既日食による変化を感じるためには、周囲に遮るものが極力ない広い場所がいい。

その意味で、広大な農場が広がり視界を遮るものが何もないマドラスはベストポイントと言えそうです。ただ、それゆえにマドラスは世界中の皆既日食観測ツアーが集結し、アメリカ国内からも多数の人が訪れることが予想されていました。ここで連日ニュースで流れていた「アメリカ史上最悪の渋滞」が頭をよぎります。

私は皆既日食の翌朝にはアメリカをたたなければならなかったので、ポートランドに近いセイラムで開けた場所を探し、セイラム最大の公園であるミント=ブラウン・アイランド・パークに向かうことにしました。

【次ページ】8月20日(日) 皆既日食前日

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