世界唯一のスターバックス自社農園で知ったコーヒーが直面する課題[コスタリカコーヒーツアー前編]

■コーヒーの2050年問題

ハシエンダ アルサシアの責任者であるビクターさんは、その目的を「コーヒー産業を支援するため」と話してくれました。

▲Victor Trejosさん。ハシエンダ・アルサシアのマネージャーでパートナーのひとり。「コーヒーのテーマパークができたのかと思ったよ(笑)」と開設された当時のことを話してくれた

世界でいまコーヒーを作っている農家の97%が小規模農家だそう。もちろんコスタリカも例に漏れず小規模なコーヒー農家が多い。ちなみにコスタリカのコーヒー農園の平均農地面積はわずか3~5ヘクタール。ハシエンダ・アルサシアでは、そのような小規模農家を支援する活動をしているといいます。

「以前のコスタリカでのコーヒー収穫量は、1ヘクタールあたり20ファネガ(コスタリカでは重さではなく容量でコーヒーの収穫量を計ります)でした。今はようやく平均38ファネガになりました。これを60まで引き上げたい。そのための研究や開発を行っています」

▲1ファネガはこの容器ふたつ分

「私はアグロノミスト(農学者)であると同時にコーヒー農家出身でもあります。地元コスタリカのコーヒー農家の状況を、そして生活をなんとかしたい。そのためにはお手本が必要です。だから、ここで研究した結果は、そのまま近隣の農家に提供しているんです」

1本の木から少しでも多くのコーヒーチェリーが採れれば、小規模な農家でも収入は上がる。そうすることで、生活も豊かになり、コーヒー農家を続けられるというわけです。

▲研究開発の拠点となる農園部分は広大だ。元々はスターバックスにもコーヒー豆を卸している農場だったが、オーナーの事情により廃業。そこを買い取り、自社農園にした

▲農園では数多くの品種を栽培。病気に強い品種や収穫量の多い品種を掛け合わせるといった研究などが行われている

ところでコーヒーの2050年問題って聞いたことありますか? 実は恥ずかしながら、この問題ついてはハシエンダ アルサシアに行くまで知りませんでした。いま地球は温暖化が進んでいます。このまま続くと、2050年にはアラビカ種(コーヒー豆生産の6割弱を占めている品種)の生産量が、いまの50%にまで落ち込むと言われています。これが2050年問題です。

温暖化によって引き起こされる品質の低下、そして“さび病”といった病害による収穫量の低下、これらによって経済的に厳しくなったコーヒー農家は廃業してしまう。このような世界中のコーヒー生産地で起こっている問題を乗り越えるべく日々コーヒーを研究しているのがハシエンダ アルサシアなんです。

▲コーヒーが飲めなくなるのは困る…

この問題は、当然ながらスターバックスだけの問題ではなく、世界中のコーヒー農家、そしてその先にいるコーヒー好きたちにとっても大問題。

その問題を乗り越えるためにビクターさんたちは、気候変動に強い品種、病害に強い品種を作るべく、ハシエンダ アルサシアで研究を続けています。

「ここで開発した品種や栽培方法などはすべて無償で提供しています。そのことを多くの人に知ってほしいのです」

▲ハシエンダ アルサシアのビジターセンターは、予約をすれば誰でも訪れることができる

そして、これらの取り組みには、“C.A.F.E. プラクティス”という認証基準がベースにあるといいます。この認証基準とはいったいなんなのか。これによりコーヒーはどうなるのか。そしてスターバックスにとって“C.A.F.E. プラクティス”とはなんなのか。それは翌日、2日目に訪れた小規模コーヒー農家で聞いた話から見えてきたんです。

>> コスタリカコーヒーツアー後編

 

>> スターバックス コーヒー

>> ハシエンダ アルサシア(英語)


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(取材・文/&GP編集部 円道秀和 写真/田口陽介)

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