小さいものと冬が好きな徒歩キャンパーがセレクトしたミニマムな道具【&GPスタッフ私物ギア5選】

1. マックスペディション「Fatty Pocket Organizer」

マックスペディションはアメリカの軍用規格の設計を日常生活のニーズにあわせて最適化したパック類が得意なブランドで、ミリタリーテイストを持ちつつゴリゴリではない絶妙なさじ加減で人気となっています。

「Fatty Pocket Organizer」はMOLLEシステムに対応し、ベルクロとストラップを装備した大きく開くポーチ。単独でも、ほかのパック類に取り付けて容量アップを狙うこともできます。

「男はみんな小さいギアが好き」と主張する円道は「このポーチは中にポケットとゴム製の仕切りがいっぱいあって、キーホルダーやファスナー付きポケットなんかも備わっていて、小さなギアを管理しやすいんです」と絶賛。

たしかに小さいライトや小さなカトラリーが並ぶサマは美しいんですが、ライトやカトラリーの中にはごつい系もあるわけです。

似た長さのものがこれだけ揃うのか疑問ですし、仕切りが空いているのに入れるものが見つからないなんてこともあるわけです。反対に小さなギアをもっと入れたいのに仕切りが空いていないなんてことも。そのあたりはどう考えているのでしょうか?

「どこに何を入れようか考えるのが楽しいじゃないですか。いろいろ試して、エマージェンシーキットとナイフやカトラリー、ライト、ライターなんかを入れて“このポーチがあればなんとかなる”セットになりました。ポーチを広げるとぽっかり空いた仕切りがありますが、入れる場所が決まっているのでこの部分に入るべきものが今、キャンプサイトのどこかにある。だからちゃんと見つけてから帰ることができるんです。なくなったことがわからないまま帰ると、結局、どこからも出てこないでしょ」

使った後にいちいち仕切りに入れるが面倒な気がしますが、ひと目で把握できるのはいいですね。

 

2. 馬場長金物「多喜火鉈」

ナタとオノはキャンプのマストアイテムではないけれど、あると便利なのは間違いありません。けれども徒歩キャンパーの場合、バックパックの中に収めづらいのが正直なところ。

「そもそも薪割りは面倒であまりしたくないけど、どうしてもやらなくてはならないこともある。そんなときにこの多喜火鉈を見つけました」

「多喜火鉈」は柄と刃がほぼ同じ幅でバックパックの中に入れやすく、それでいてフルタングなのでバトニングだってできます。がんばればフェザースティックもできるでしょう。

「頑丈な刃物として持っていくのにいいかなと思って購入しました。小さくてかっこいい、このたたずまいも気に入っています」

両刃で刃の厚みは5mmと小型ながらも十分なスペック。下手なフルタングナイフより扱いやすく渋好みのキャンパーにぴったりですね。

 

3. ASOBU「HIMORI-02」

ガレージブランドが作ったステンレス製薪ばさみで、円道はクラファンでいち早く手に入れたといいます。

「テオゴニアの薪ばさみを持っていますが、使い方にコツが必要でトングのようには使えません。それにバックパックに入れにくい。HIMORIは使いやすいトングタイプではありますが、所有欲を満たす美しいデザインに仕上げているのがすばらしい。パックへも入れやすいし、バネが効いていて誰でも扱いやすいのが気に入っています」という通り、トングタイプにしては少々重いのですが、片手で楽に薪をつかめます。勝手に開くことのないよう輪っかのロックがあって、先端を上に向けると簡単にロックがはずれるのも秀逸。

「片側は穴が通っていて火吹棒の役目もありますが、正直、火吹き棒は使ってません」

いくつも機能を詰め込んだ道具よりも、機能を絞った道具のほうが使いやすいもの。HIMORIはあくまで薪バサミであり、火吹棒はおまけ。だからこそ使いやすいのかもしれません。

 

4. ナンガ「オーロラライト 750 DX」

暑い時期は都会にこもり、涼しくなった頃にキャンプ場に向かう円道にとって、寝袋は多少値が張っても確かなものを選ぶべき重要なギアです。

日本にはモンベルやイスカなど優秀な寝袋を作るブランドがいくつもあるわけで、それらの中から円道が選んだのがナンガの「オーロラライト 750 DX」。

「モンベルのシームレスダウンハガーもいいなと思っていたんですが、決め手はナンガ独自のファスナーと防水性です。薄い生地はファスナーを噛み込みやすいんですが、ナンガは特殊なパーツを取り付けており、とても動きがスムーズ。ザッと開いても引っかかることがなく、ストレスなく開け閉めできる。テントよりも高いけれど、その価値はあります。永久保証で一生モノですしね」

モンベルの寝袋に比べると少々寝袋の中で動きにくいようですが、それでも窮屈でたまらんというほどではないそう。それもそのはず、レギュラー丈は肩幅80cmまで対応するそうで肩幅だけ見れば封筒型並みですし、足元も自然な形になるようゆったりしたデザイン。さすがにあぐらをかくことはできませんが、無理なく眠れる工夫が詰められています。

「寒いときは寝袋の中で縮こまっているから、そんなに大きな伸縮は必要ないかなと思って」

唯一かわいくないのが価格ですが、防水透湿生地と良質ダウン、噛み込みにくいファスナーなど細部へのこだわりを鑑みると、冬キャンプ好きなら十分アリでしょう。

 

5. 珈琲考具「ツードリップポットPRO」

円道は世界各地のコーヒー農園を取材するほどのコーヒー好きでもあります。

「キャンプ用のケトルだと湯は放物線を描いて落ちます。でもこのドリップポットは注ぎたいところに注ぎ口を持っていけば、まっすぐ下に落とせる。狙ったところに細く注げるし水切れがいいので気持ちよくドリップできるんです。それに火にかけられるから、キャンプならほかにケトルを用意する必要はありません」

とは言え、フタがないケトルってどうなの? どんどん熱が逃げてしまいそう。

「温度低めでドリップしたいので、温度が落ちやすくそれも好み。それに広くてフラットで上にいくほど狭くなっているからバーナーに載せると素早く沸騰する。ドリップ以外にもいろいろ使えるんですよ。使った後に洗いやすいし」

そう言えば円道はキャンプで凝った料理をせず、なんならコンビニ弁当やカップラーメンでも満足するそう。軽量化を徹底するならクッカーを用意せず、素早く湯を沸かせる「ツードリップポットPRO」さえあればなんとかなるのでしょう。

>> &GPスタッフ私物ギア5選

 

<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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