ホンネのビジネスマナー「これってGood? or Bad?」【身だしなみ(小物編)】

【ケース1】

クライアント先に、革ローファーで訪問。これって Good? or Bad?

Bad!

革靴だから、失礼ではないかというと、そうではありません。靴にも格付けがあります。たとえば、ローファーはたとえ革靴であっても、ヒモ付の革靴よりは格が下がるカジュアルなもの。先輩がヒモ靴なのに、自分がローファー、これはあり得ないのです。ベルトで止めるモンクストラップタイプも、ヒモ靴よりはカジュアル。タッセルシューズなど、飾りの多いものも同じく、カジュアルの範疇です。

また、最近はリュックやトートバッグを持つ方も増えていますが、これらもカジュアルなアイテムなので、ビジネスには本来不向き。会社や上司、先輩がOKなら構わないのですが、取引先への訪問がある場合は、避けたほうが無難です。もしくは通勤時のみに利用し、訪問用にビジネスバッグを別途、用意しておくのもひとつの手です。

こうした服飾小物の使い方に関しては、カジュアルとされるものでも、上司世代であれば、おしゃれのひとつとして認められることもあるでしょう。また、業界やシチュエーションによっても許容範囲は変わってきます。

とはいえ、目上の人に同行したり、会ったりする場合は、もろもろ控えめにして、基本に忠実な服装を心掛けておけば、誰に対しても失礼になりません。つまり、自分=会社という意識が大切、ということです。会社という組織に属している以上、個人ではなく、会社の代表であることを忘れてはいけません。

個人事業主であれば、自分で責任をとれますが、だからこそ個人の方は、もっとシビアに考えていらっしゃいます。

靴であれば、かかとが擦り減っていないか、キレイに磨かれているかを、ベルトであれば、ヨレヨレのものを漫然と使っていないか、などもしっかりチェック。これはむしろ、カジュアル以前の問題です。

 

【ケース2】

ギア感満載のアウトドアウォッチを着用して出社。これって Good? or Bad?

Bad!

意外に見られているのが、この腕時計。いくら機能満載のアウトドアウォッチでも、スーツにはやはりミスマッチ。統一感のない服装はある意味、マナー違反です。スーツにはドレスウォッチが基本で、そのなかでも派手な印象のゴールド系や、いかにもブランドものと分かるような個性の強すぎるものは控えるのがベター。特に若手社員は、それを守るのがスマートなマナーを身につける第一歩です。

また、最近は腕時計や筆記具を持たず、時間の確認もメモもスマートフォンで、という方も増えていますが、こうした行動を不快に思う目上の方も多いので、気をつけましょう。

ペンをスーツの胸ポケットにたくさん挿すのも、見栄えがよくありません。スーツの胸ポケットには、ポケットチーフを、ペンはペンケースに入れて携帯を。

さらに近頃のトイレは、ペーパータオルやジェットタオルが備わっていることも多いので、ハンカチを持たない方も多いようですが、もちろんこれもダメ。ビジネスシーンで必要な最低限の持ち物は常に携帯しておくことです。

 

【ケース3】

花粉症のため、会議中も訪問先でもマスクを着用。これって Good? or Bad?

Bad!

花粉症つらいですね。マスクをしたくなる気持ちはよくわかります。しかし、花粉症は、感染症ではないため、相手に感染しないように、というマナー的観点からは、本来は、つけなくても良いものです。ただし、症状がひどくて、周囲の人を不快にさせるような場合は、つけていても良いでしょう。しかし、訪問先では、はじめの挨拶時にはマスクをとってご挨拶を。その後、「花粉症がひどいので、マスクのままで失礼していいですか」とちゃんと事前に伺いをたてることが大切です。会議のときなども同様です。

一方、風邪をひいている場合は、相手にうつる場合がありますから、マスクをつけるのがマナーとなります。その場合でも、マスクをつけている理由を事前に話して、相手に理解してもらいましょう。マスクのままで話されるのを不快に思われる方もいますし、逆にマスクをつけずにくしゃみを連発されるのが嫌、という方もいらっしゃいます。
相手がいる以上、一方的に自己判断するのではなく、伺いをたてて許可をもらうことは大事です。なぜマスクをするのか、その理由をきちんと伝えれば、あなたが誤解されずに済みます。相手も理由がわかれば納得し、解ってくれて、気にならなくなります。

このように、自分から先手で心をひらいたコミュニケーションをとることで、互いにとってプラスを生み出すことが思いやりのマナーです。真心マナーは、ウインーウインの関係を生み出すのです。

 

【ケース4】

喫煙室での、タバコ休憩。これって Good? or Bad?

Good!

喫煙室があって、それが認められている会社であれば、 Bad! ではありません。
ただし非喫煙者から見れば、まるで仕事をさぼっているかのように思われることもあるので、頻繁に行くのは避けたほうが無難。

さらに気をつけるべきが、におい。喫煙室から戻ってきた時のタバコのにおいに関して、周りの人は敏感に感じ取ります。消臭剤などを利用するなどして相手への配慮を忘れないことです。

タバコのにおい以外にも、汗のにおいや口臭など、人はにおいを感じやすいもの。特に夏には汗をかきやすくなりますから、汗かきの人は、消臭機能付きのインナーを活用したり、替えの下着を用意しておくこと、携帯用の制汗剤、消臭剤を準備しておくことも大切で、口臭対策も同様です。

実はこのにおい対策、意外にできていない方が多いのです。
相手に不快感を与えないための身だしなみのマナーとして、これからも決して忘れることなく、実践しましょう。清潔な自分でいることが、良い仕事にもつながります。

西出ひろ子さん

マナーコンサルタント・美道家。ヒロコマナーグループ代表。ウイズ株式会社代表取締役社長。HIROKO ROSE株式会社代表取締役社長。一般社団法人マナー教育推進協会代表理事。”マナーの賢人” として「ソロモン流」(テレビ東京)や「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日)などのドキュメンタリー番組でも報道される。28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)など著書多数。

>> ヒロコマナーグループ


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(取材・文/原口りう子 イラスト/中根ゆたか)

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