【実験】最大220Mbpsの「WiMAX 2+」は速いのか?

この2モデル、それぞれ220Mbpsを実現する仕組みが違うんです。W01では、ふたつの周波数を束ねる「キャリアアグリケーション(以下、CA)」という技術が採用されています。一方、WX01では、基地局とルーター本体それぞれに4本のアンテナを搭載し、複数のデータを同時に送受信する「4×4 MIMO」という技術が使われています。

どちらを選ぶべきか? 購入を考えている人にとっては、じつに悩ましい端末です。というわけで、実際に、どれくらいの速度が出るのか? 使っていて不満に感じることはないのか? それを確認するべく、この2モデルを使い比べてみました。

●キャリアアグリケーションで最大220Mbpsを実現する「W01」

「W01」はWiMAX 2+のCAに対応していることが売りですが、残念ながら、まだ東京ではCAを利用できません。郊外から徐々にエリア化が進められており、関東の1都3県では、4月末日現在、埼玉県の飯能市の一部が対応しているのみ。今後、埼玉県、千葉県、神奈川県で対応エリアを拡張していく予定とのこと。東京などの都市部で、220Mbpsが利用できるようになるまでには、もう少し待つ必要がありそうです。

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筆者がW01を使ってみたのは東京都内だけなので、WiMAX 2+での最高速度は110Mbps。新宿、渋谷、品川、六本木、自由が丘など数か所で通信速度を測ってみたところ、概ね10〜20Mbpsといった結果でした。ウェブやメールの利用には十分で、「YouTube」の再生にも支障はない印象。今後、CAに対応すると、アプリのダウンロードなども、よりスピーディーに行えるようになるのではないかと期待できます。

なお、W01は、通信モードを「ハイスピードプラスエリア」に切り替えると、下り最大75Mbpsの「au 4G LTE」も利用できます。au 4G LTEは「プラチナバンド」と呼ばれる800MHzを利用するLTEで、全国の広範なエリアでつながることが利点。これに切り替えてみたところ、より高速で通信できるケースが多く、場所によっては30Mbpsを超える速度が得られました。ただし、この「ハイスピードプラスエリア」を使うと、月額1005円(税抜)の追加料金が発生し、WiWAX 2+とau 4G LTEのトータルで月間7GBまでというデータ通信量の上限が発生します。

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⚫︎SPEC
サイズ:約W120×H59×D10mm
質量:約113g
同時接続台数:最大10台
接続通信時間:最大約8時間(WiMAX 2+)、最大7時間20分(LTE)
連続待受時間:約730時間、約36時間(クイックアクセスモード設定時)
カラー:ホワイト、ブルー

●4本のアンテナを使って最大220Mbpsを実現する「WX01」

4×4 MIMOに対応する「WX01」は、この端末が発売される以前から、基地局のアンテナ増設が進められており、全国で220Mbpsサービスが利用できることが利点。というわけで、東京都内でも驚くようなスピードが出るのでは!? と期待して使ってみました。

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実際にiPhoneやiPadとWi-Fiで接続した使用感としては、速度に不満を感じることはなく、ウェブはサクサクと見られました。でも、驚くほど速いって感じではありませんでした。速度を計測してみたところ、安定して得られる速度は10〜20Mbps程度で、場所によっては30〜40Mbpsくらい出るといった程度。基地局からの距離や、トラフィックの混雑状況など、環境によって、速度にかなりの差が生じるように感じました。まぁ、それでも十分に速いんですけどね。

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なお、WX01は、au 4G LTEには対応していませんが、下り最大40MbpsのWiMAXに対応しています。WiMAX 2+に対応していないエリアでは、自動的にWiMAXに切り替わる仕組み。W01よりも軽いことや、USBやBluetoothでの接続に対応していることも利点です。

⚫︎SPEC
サイズ:約W109×H66×D9mm
質量:約97g
同時接続台数:10台(Wi-Fi)、1台(USB)、7台(Bluetooth)
接続通信時間:約400分(WiMAX 2+/4×4MIMO)、約520分(WiMAX 2+/2×2MIMO)、約680分(WiMAX)
連続待受時間:約400時間(休止状態/リモート起動あり)、約650時間(休止状態/リモート起動なし)、約35時間(ウェイティング時)
カラー:ホワイト、ブルー

●果たして、どちらを選ぶべきか?

実際に使い比べた印象としては、初めてモバイルWi-Fiルーターの使う人には、タッチパネルで簡単に設定ができるW01が適していると思います。追加料金はかかりますが、au 4G LTEに対応しているのも心強い。出張や旅行でもフル活用できるはずです。来年には、東京でも最大220MbpsのCAが利用できるようになるでしょうし、長く使うことを考えている人にも安心です。

「少しでも速いほうがいい!」「すぐに220Mbpsで使いたい!」という速度重視派の方には、WX01がいいでしょう。当面は、W01よりも高速で利用できる場所が多いですし、UQコミュニケーションズは来年以降、CAと4×4 MIMOの両方を組み合わせた最大440Mbpsの導入も予告しているので、次に、それに乗り換えることも視野に入れておくといいでしょう。au 4G LTEに対応していないことを「追加料金が発生する心配はない」という経済的なメリットとして捉えることもできそうです。

冒頭で、「月額4380円(税抜)でほぼ使い放題」と書きましたが、これは「UQ Flat ツープラスギガ放題」という新プランを契約した場合で、2年契約で月額4880円(税抜)の基本使用料が最大25か月間は500円割引になるからです。なお、新規契約の場合は、購入後最大3か月間は月額3696円(税抜)で利用できます。

月額のデータ通信量は無制限ですが、3日間で3GBまでという制限があり、超過した場合は最大700kbps程度に減速されます。他の携帯電話事業者などが設定している速度制限は128kbpsなので、700kbpsは非常に良心的と言えるでしょう。ウェブやメールはほぼ支障なく利用できる速度ですからね。

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端末の実質価格は、どちらも2800円(税抜)。安いです。有線LAN端子を備えたクレードル付きでも4800円(税抜)とお手頃です。スマホでテザリングを多用する人や、スマホとタブレットの2台持ちで、トータルの通信料を節約したい人は、導入を検討する価値がありそうですよ!

(文/村元正剛)

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