オール電気のクルマでBBQ!コンロで肉も焼けます

仕事が煮詰まると思い浮かぶのが、コレ。ほら、山奥でキャンプするのと違ってバーベキュー場なら得意先からの電話も逃さずキャッチできるし、数時間はしゃげばお開きになりますからね。

クルマで出かければお酒を飲まない理由にもなります。ストレスを発散した後は気持ちよく仕事に戻る。最高じゃないですか! こんな話をすると「だったら焼肉屋に行けばいいじゃん」と友人は言います。アホか。同じ“肉を焼いて食う”行為でも、焼肉とBBQは全然違うもの。第一、外で遊ぶから楽しいんじゃないですか。

P1000623写真のような光景を妄想しつつ、この計画には問題もいくつか。ひとつめは場所。BBQは手軽なアウトドアレジャーだけに、週末のバーベキュー場は数か月前には予約で埋まってしまうじゃないですか。結局は事前に計画を立てないとダメなんですよね。

もうひとつの問題は、火。炭火や薪を使うと後始末に時間を取らるでしょう。湿気っていると火つけにも時間がかかるので、気軽とは程遠くなってしまう…。2バーナーも火を使える場所以外はNGという制限があるので、“気軽”からはやや遠いのです。

……と、出来そうでなかなかハードルが高い“思い付きBBQ”ですが、実は目を付けているものがあるんです。それは2月に幕張メッセで開催されたジャパンキャンピングカーショー2015で日産が出展していた『究極のスマートバーベキューカー』(以下バーベキューカー)。

 

DSC_1886電気商用車であるe-NV200に電気グリルなどをフル装備。いつでもどこでも誰でも、気軽にBBQが楽しめるという夢のようなクルマです。火を一切使わないから場所を選ばない。シンクや冷蔵庫はもちろん、生ゴミを片付けるディスポーザーまでついているんです。しかも電気自動車だから使用中も排気ガスを出しません。

都心部で要予約のバーベキュー場以外でBBQがしづらいのって、ようは火とゴミの問題なわけです(あとは騒音)。バーベキューカーがあれば、気軽にBBQが楽しめるのはもちろん、BBQ周辺の諸問題も解決できちゃうんですよ。

残念ながらこのクルマはショーモデルのため市販はされていません。しかし7月某日、バーベキューカーを使ったシークレット・バーベキュー・パーティーが開催されたので、実力を確かめに行ってきました。

オール電化のバーベキューカーを体験!

当日は直前まで雨というバッドコンディション。炭や薪だと湿気でなかなか火がつかないパターンです。でも電気グリルを使うバーベキューカーなら関係ありません。スタッフは足もとの悪い中、バーベキューカーのリアゲートを開け、車内からキッチンを引き出し準備に取り掛かります。

これが日産が開発した『究極のスマートバーベキューカー』。

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BBQの準備も整い、すでにバーベキューカーはフル稼働体制に入っていますが、クルマから音は一切しません。これが電気自動車の大きなメリットです。とくに料理を楽しむときは、近くにエンジンがかかったままのクルマがいると萎えるでしょう。

この日は調理に専念するため室内の電気装備はオフになっていましたが、真夏の暑い日ならエアコンを付けておくことも可能。熱中症になりそうになったときのエスケープゾーン、そしてクルマ自体を巨大なクーラーボックスとして使うこともできるのです(その分電力消費量は多くなりますが)。

電力消費と言えば、多くの人は「走ること以外に電気を使って大丈夫?」と心配になるはず。このシークレットパーティーでe-NV200がどれくらい電気を消費したかチェックしておきましょう。

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上の写真はバーベキューカーの電気グリルを作動させた直後のもの。まだ8割くらい電気が残っています。ちなみにe-NV200の一充電走行距離は190km(JC08モード)となっていますが、メーター内には過去の走行から計算した残り走行距離が表示されます。バーベキューカーはキッチンやグリルなどの装備だけで約300kgあるので、長距離の連続走行はやや苦手と言えるでしょう。

多彩な料理ができるキッチンを装備

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BBQグリルはロティサリーチキンも楽しめる自動回転式電気グリルを採用。ブロック肉を串に刺せば、あとはその場を離れても勝手に焼いてくれるので便利! グリル用のコンセントはキッチン周りに備えられています。

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グリルの裏には串に刺した食材を刺しておける「シュラスコ」(ブラジルのバーベキュー文化)の方式が取り入れています。BBQ=鉄板で肉や野菜を焼き、最後は焼きそばという流れしか知らないあなた! このクルマがあればお洒落なBBQを簡単に楽しめますよ!

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肉が焼き終わったら今度は魚を焼きます。炭火と違い火力調整が簡単にできるので、初心者でもいろいろな料理が楽しめるのです。

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僕がこのバーベキューカーでいいなと思ったのは、グリル以外にキッチンもついていること。設備の整ったバーベキュー場ならいざ知らず、河原などでBBQをやろうとすると、水道設備がなくて困ることって多いんですよ。僕らがグリルで肉を焼いている間、素敵な女性がキッチンで下準備をしてくれていたら最高だと思いません? いろいろな妄想が膨らみます。ちなみにキッチン周りには調理器具や食器などが収納可能。

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バーベキューカーはカーサイドタープも搭載。ファミリーや少人数の仲間と楽しむ場合だと、別途ヘキサタープやシェードを設置しなくても大丈夫でしょう。このクルマをプロデュースしたのは日本バーベキュー協会。バーベキューを知り尽くした人たちが手掛けたモデルだけに、かゆい所に手が届く装備が満載なんですよね。

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キッチンの裏には椅子などをしまえる場所や、ディスポーザーなどを設置。BBQを楽しんで出たゴミもきちんと持ち帰れるから楽です。BBQのゴミ問題が解消されれば、もっと気軽に楽しめる場所も増えるはずなんですよ。火を使わないので片付けに時間がかからないのも◎!

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このシークレット・パーティーには全部で20人以上が参加したため、バーベキューカー以外に普通のBBQグリルを使いました。でも日本バーベキュー協会の下城民夫さんによると、これこそが正しいBBQのスタイルなのだとか。バーベキュー最大の楽しみは気の合う仲間と外で上手い料理を囲み語らうこと。

日本はBBQ=炭というイメージがあるが、そこにこだわると本来の目的である楽しい時間を犠牲にしてしまうこともあるという。使えるものは何でも使い、とことん楽しむ。実際、欧米のBBQパーティーでは火も使えば電気グリルも使うそう。なるほど、一理ありです!

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使えるものは何でも使う!といえば、この日は天候が悪かったため使えませんでしたが、バーベキューカーにはソーラーパネルも備わっています。これでグリルの電気を賄うことでe-NV200の電力消費を抑え、航続距離を伸ばすことができるのです。

 

電気の容量は余裕。ソーラーパネルの出番もナシ

3時間以上続いた楽しい宴も終了。さて、バーベキューカーの残り電力は……?

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まだ6割ほど電気が残っています! これならパーティー会場から最寄りの給電スポットまで楽勝。電気自動車は途中の充電なしに遠出はまだ難しいですが、うまく充電スケジュールを組めばかなり快適でアウトドアでもいろいろ楽しめる移動手段になります。

 

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ちなみに今回のパーティーはキャンピングカーショー2015の後、このバーベキューカーに新しい装備をつけるためのクラウドファンディングに出資した人向けのものでした(つまり、僕も投資したのです)。

このクラウドファンディングにはさまざまなリターンがついていて、もし2500万円出資すると、その人のためだけにバーベキューカーをオーダーメイドで製作! というものもありました。クルマはワンオフ製作になるためこの金額もいたしかたないところ。

ただ、もしバーベキューカーが市販化されたら、価格はぐんと下がって決して手の届かないものではなくなるはず。そんな日が来るのを心待ちにしています。だって、本気で便利なんですから!

(文・写真/高橋 満<BRIDGE MAN> 写真/&GP編集部)

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