スバルワークス“STI”のエアロパーツには耐久レースマシンの開発思想が息づく

■“疲れにくい”を実現するSTIのエアロパーツ

STIが手掛けたインプレッサとフォレスターは、ボディ下部を中心に、前後左右をぐるりとエアロパーツが囲んでいました。インプレッサには、フロント、サイド、リアのアンダースポイラーを装着。

フォレスターには、フロントがリップスポイラーとサイドアンダースポイラーに分かれ、サイドの後端にはエアロガーニッシュが加わります。

実際の空力効果に定評のあるSTIのエアロパーツ群。STIでは「“疲れにくい”を実現するエアロパーツ」を謳います。風を味方につけて、走行安定性を向上させるのです。

フロントスポイラーは、正面からの空気をボディサイドに流すことで、車体下への空気の流れ込みを抑え、揚力の発生を抑制します。さらにサイドスポイラーが、車体下の空気が横方向へ逃げるのを防ぎます。こうしてエアロパーツ装着車は、ボディを路面から浮かび上がらせる力を削ぎ、逆に地面へと押し付ける(穏やかな)ダウンフォースを生み出すわけです。

STIのエアロパーツを装着すると、長距離ドライブでの疲労の元となる“修正舵”を当てる必要が減ります。高速巡航時もクルマがふわふわせず、直進性が良くなるからです。

こうした“疲れにくい”エアロパーツの発想は、モータースポーツでの経験から生まれたもの。例えば、スバルとSTIが参戦を続けているニュルブルクリンク24時間耐久レースでは、1周の“瞬発力”より、毎周、速さを持続できる“安定感”がマシンに求められます。疲れず、安心してアタックを続けられることが、勝利につながるのです。

それもあってか、会場にはSTIのフィロソフィーを体現した「WRX STI NBR 2019」が展示されていました。

フロントに搭載されるボクサーエンジンは、間もなく生産が終了する名機“EJ20”型ユニットで、1994ccの排気量からシングルスクロールターボによる過給を得て、340馬力の最高出力と47.0kgf-mの最大トルクを発生します。さらに、6速のシーケンシャルギヤボックスを介して、4輪を駆動するスーパーマシン。

今回、STIの試乗車に装着されていたエアロパーツには、そんなスーパーマシンからのノウハウが息づいているのです。スバルファンならずとも、クルマ好きならうれしくなる話ですね!

(文&写真/ダン・アオキ)


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