【クラウドファンディング】スマホで鍵をかける「スマートロック」を知りたい!

 

“スマートロック”とは鍵を電気制御するガジェット。スマホなどを使った通信技術によるコントロールで開閉を可能とします。動画でも紹介している通り、スマホでキーをシェアし、さらに特定の時間にだけ解錠するといったことが可能です。

もちろん家族でシェアすることも。スマホが超便利な合鍵の役割を果たしてくれる、このQrio Smart Lockについて、製造元であるQrio株式会社の営業企画部マネージャー・佐藤竜斗さんに話をうかがいました。
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■Qrio Smart Lockとは?


――構想から製品化までの期間を教えてください。
佐藤:約半年です。弊社(Qrio株式会社)の設立は12月12日です。SONYへプレゼン後、すぐに「やりましょう!」という話になり、合弁会社をつくる流れになりました。2014年12月から募集を開始したクラウドファンディングMakuakeでは、90日間という期間内で、目標額を大幅に超える金額が集まりました。こちらの事前予約分については、2015年8月に、最終的な調整を終えてようやく出荷することができました(初回の出荷台数は2160個)。

 

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スマホで開閉できるカギ「Qrio Smart Lock」にはQrioの刻印が入る

 

佐藤:日本国内において一般に流通しているカギの8割以上は対応しています。ブリッジ型の形状で、ドアの設置面とサムターンの接地面をあえて離した設計になっているので、段差のある錠前や隙間のないドア鍵にも使えることが、弊社の製品の強みになっています。

他社製品と比べて鍵自体の対応数はそこまで大きく変わらないのですが、ドアへの対応数が圧倒的に多いですね。高さについても、2つまでゲタッチメント(スペーサー)を履かせることで調節できます。

 

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鍵の“ツマミ”のサイズに合わせて用意されたS、M、L3種類の別パーツを本体にはめ込んで使う

取り付けるドアに合わせ、2つまで別パーツの“ゲタッチメント(スペーサー)”を追加し、取り付け位置を調整することができる

 

――ドアとの接着方法はどのように?
佐藤:専用の両面粘着シートを使用します。確かに、一度剥がすと粘着力が弱くはなりますが、テープ自体も単体で販売していく予定です。剥がすことでドアにテープが残ることを懸念される方もいらっしゃいますが、隙間に空気を入れるイメージで横にスライドさせると、きれいに剥がせます。

――スマートロックとの通信はWi-Fiや電話回線ではなく、Bluetoothなのですか?
佐藤:スマートロック本体はインターネットにつながっていない製品になります。ですからBluetooth low Energyの通信のみで鍵の開け閉めを行います。解錠施錠の記録に関しては、スマートフォンからクラウド上に履歴が蓄積される形になりますが、鍵そのものの情報はインターネット上に置いていません。

スマートフォン(アプリ内の鍵情報)とスマートロック、すなわち機器同士がペアリングしているので、ハッキングや鍵情報を複製される心配もありません。

「スマホを紛失した場合、どうすればいいのか?」とよく聞かれることもありますが、Qrio Smart Lockは家の内側に取り付ける製品のため、実は鍵穴は生きていて、既存の鍵(ディンプルキー等)でドアの開け閉めもできます。

「失くしたスマホで勝手に開けられるんじゃないの?」という問いに対しては、まず既存の鍵で解錠して頂き、スマートロックを外してください。それから、新しいスマホで再度オーナー登録をして頂きます。オーナー同士であれば、アカウントの削除が可能ですので、失くしたスマホのアカウントを削除すれば、そのスマホから解錠施錠はできません。再設置することで今まで通り、使用が可能です。

 

――他社製品では、ロック解錠時の異音が気になるという指摘もありますが。
佐藤:国内、国外の製品を比べても音は一番静かだと思います。他社製品の場合、大きな機械音が聞こえることが多いのですが、弊社のものは気になるような音は発生しません。海外製品も多く取り寄せ、参考のため使用しました。

 

スマホはもちろん、手で開閉することも可能。これまで使ってた鍵でも大丈夫


 

 


■今後の方向性について


――今後バージョンアップするなら、どういった内容になりますか?
佐藤:機能性に関しては、例えばFelicaを使って開けられないか、というお問い合わせを多く頂いています。デザインに関しては、電池の寿命を少し削っても良いので、もう少し薄くしたり、小型化できないのかというリクエストも頂いています。

また、ドアの建材メーカーとドア自体を作りましょうという動きもあります。新築など最初からドアに備え付けておいた方が見栄えもいいですし、耐久性も上がります。

さらに技術的な面で言えば、現在スマートロックの通信技術は「Bluetooth Low Energy」を採用していますが、欧米では昨今、IoTの共通規格としてBLEに代わる新しい通信規格がドンドンが出てきており、いまだデファクトが確立されていません。今後、標準化されるものが出てくると思いますが、そういった規格に対応する製品改良も行うかもしれませんね。

追加機能に関しては、アプリ及びファームウェアの更新で新機能を盛り込んでいく予定です。ソフトウェア上で、製品の改善やアップデートができる点はIoTメーカーならではだと思います。

――さらに進化したスマートロックを開発されていく予定ですか?
佐藤:まだまだ弊社自体は世間的にスマートロックの会社と認識されがちですが、元々ホームオートメーション製品の開発・製造・販売を進めていきマーケットを牽引していくというビジョンがあります。”ものづくりとインターネットの力で世の中をもっと便利に楽しくする”というモットーの下、今後も家の中や、毎日の生活にフォーカスを当て製品開発を続けていく予定です。

国内ではIoT(=Internet of Things)が「モノのインターネット」と略されてしまいますが、そもそもThingsとはモノだけじゃないという考えがQrioにあるんです。物事や事象、事柄というのも含まれると考えていて、製品同士が連動することで、人間が人間らしい生活をすることができる。

”コミュニケーション”や”愛”などに、もっと有意義に時間を割けるというのがIoTの本質だと考えています。もちろんスマートロックが普及しなければ、他製品展開も成り立たないと考えているので、まずはスマートロックの市場形成に注力していきます。

Qrioからリリースしていく予定の製品群ももちろんですが、他メーカーの製品とも連携・連動を進めていき、これまで体験したことのないようなユーザー体験を提供できればと思います。

 

【企業データ】(2015年9月時点)
会社名:Qrio株式会社
製品名:Qrio Smart Lock
価格:1万9440円(Amazonにて販売)
サービス開始時期:2015年8月
事業参加人数:約7人

(取材・文/三宅隆)

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