「カギなくした?」「財布落とした?」がなくなる!どこにあるかスマホで分かります

フランスのWistiki社で開発された本製品は、クラウドファンディングサイト「MotionGallery」で販売されており、2016年夏に日本でも登場する予定。

 

今回はWistiki社の創設者三兄弟の長男、Bruno Lussato(ブリュノ・リュサト)氏に話を聞きました。

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Bruno Lussato(ブリュノ・リュサト)氏

 

まず目に留まるのはデザイン。スティック型のvoilà ! (ヴォワラ!)、カード型のhopla ! (ホップラ!)、楕円形のahā! (アッハ!)の3タイプに、それぞれカラーが4色用意されています。なんとデザインは、アサヒビール本社横の「炎のオブジェ」や、故スティーブ・ジョブズ氏のヨット設計でも知られるフィリップ・スタルク氏が手掛けています。

 

スティック型

スティック型「ヴォワラ!」

 

カード型

カード型「ホップラ!」

 

楕円形

楕円形「アッハ!」

 

「デザインを誰に担当してもらうか話し合ったときに、スタルク氏のことをインターネットで調べて、彼のアドレスを見つけました。そこに長い長い情熱的なメールを書いて送ったのですが、どうせダメだろうと思っていました」

「返事がくればラッキーぐらいに考えていたところ、すぐに電話がきまして……。その日のうちに打ち合わせをして話が進んだのです」

とブリュノ氏から驚きの話が。

続けてコンセプトについて聞くと、

「打ち合わせを重ねながら約1年半かかりました。最も気を配ったのが、デザインも最高のものですが、“材料も最高のものにしたい”ということでした。フランスのラグジュアリーブランドに供給しているような業者を選びました。みなさんご存知のルイ・ヴィトンやエルメスなどと仕事をしている会社と取引をしています」

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マグネットで泊まるフタなど、パッケージの仕上げにもこだわった

 

「メタリックな表面加工はブラッシングを施し、プラスチックの部分もブランドの香水ケースに使われている素材を選んでいます。約1年半と言いましたが、デザインに期間をかけたというよりは、スタルク氏の要望に応えられるカタチにするために、スペックを上げるために時間がかかりました。彼は完璧に穴や隙間をなくすことを主張しました。防水加工もされており、理論的には10年間は水中でも壊れない設計になっています」

パッケージデザインもスタルク氏が手掛けており、そのこだわりが非常に伝わる製品になっています。

 

Wistikiの8つの機能

さて、ここで機能についても知りたいところです。基本的には8つの機能を搭載しています。

1.呼出音:Wistikiの最も基本となる使い方。無料の専用アプリからオリジナルのベルを鳴らして、探し物を見つけられます。90デシベルの音量と100Mの通信距離で、離れた場所にあってもしっかり見つかります。

2.距離センサー:夜中や会議中など音を鳴らせないときには、アプリ上に表示されるレーダーで探し物との距離が視覚的に分かります。

 

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財布に入る「ホップラ!」

 

3.GPS表示:買い物の後にクルマをどこに止めたか思い出せないときは、地図で位置を確認できます。モジュールの改良により、Wistiki by Starckは最長3年の電池寿命を実現しました。

4.逆発信:肝心のスマートフォンが見当たらないときには、Wistikiからスマートフォンを鳴らせます。

5.電子リード:Wistikiとアプリの間のBluetooth通信が途切れると、スマートフォンにメッセージが表示されます。犬の散歩用リードのように持ち物とスマートフォンの距離を一定に保つことで、置忘れ防止に役立ちます。

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ペットに便利な「アッハ!」

 

6.逆電子リード:反対に、Wistikiが近づくとアラートを鳴らすようにも設定できます。空港のターンテーブルで荷物を待っているときなどに便利です。

7.複数ユーザー登録:一台のスマートフォンに最大10個のWistikiを登録できるだけでなく、ひとつのWistikiを複数のユーザーが管理できます。クルマのカギのように複数で使うものや、忘れ物を誰かに探して届けてもらいたいときに便利です。

8.コミュニティ:Wistikiのついた落とし物を見つけたら、アプリを介して持ち主に匿名で連絡を取ることができます。

 

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キーホルダーになる「ヴォワラ!」

 

以上が主な機能ですが、ブリュノ氏はWistikiを作るときにユーザーにとって一番何が必要だろうと考え、機能を増やしていくのではなく、絞っていく形で最終的に3つの機能を基本としました。それが「地図上でどこにあるか分かるかということ」「スマホからWistikiを鳴らせること」「Wistikiからスマホを探せること」の3つだそうです。
 

Wistiki社ができるまで

 
起業時の役割分担ですが、長男のブリュノ氏が財務・パートナー探し、次男のテオ氏が営業活動、三男のユーゴ氏が技術的な部分を担っていたとのこと。ブリュノ氏は創業前、コンサルティング業に従事しており、他の兄弟はまだ学生でした。ふたりはWistiki社を起ち上げるために覚悟を決めて学校も辞め、「全てを賭けた」というこのプロジェクト、最初は両親から反対されたそうです。そりゃあ心配ですよね。

しかし事業は軌道に乗り、フランスやヨーロッパで発売されて2年。類似製品の中ではトップのシェアを誇り数十万個が販売されています。現在は従業員数30人だそう。

使っている人からの意外なフィードバックを質問すると、「フランスにはまだ羊飼いがいて、ヤギなどの家畜一頭ずつに付けているユーザーがいてビックリしました。あと、フランスは駐車場が広いのでクルマの位置が分かるようになって便利だという声は聞きます」とコメント。

確かに動物はビックリですが、日本でも大型のモールなどで自分の車の位置を見失うことは多いですから、Wistikiが力を発揮してくれそうです。

耐久年数は3年ということで、内蔵電池が切れたら修理・交換等はなくWistiki社に製品を送付。すると、ディスカウントチケットがもらえるので、それで買い換えるという形をとっています。お知らせの音楽については、要望に答えて新たなパターンもダウンロードできるようになり、今後は子ども用のぬいぐるみに使えるような新製品を考えているとのこと。

最後に製品名の由来ですが、もともとは母親が写真を撮るときに使われる言葉(日本でいうところの「チーズ!」)である「ウィスティティ!」「ウィスティキ!」と言い間違えたのがはじまり。その言葉を気に入ったブリュノ氏らが飼っていた猫に「Wistiki(ウィスティキ)」と名付け、その猫を探すためにWistikiが作られた、というのが経緯なのです。

まるで写真を撮るときのような笑顔をもたらす、落としもの発見ガジェットが、私たちの生活をより便利にしてくれるでしょう。

 

(取材・文/三宅 隆

 

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