始まりは、ただ一行に込めた企画書だった<G-SHOCK進化のカギを握る男たち①>

その歴史を改めて振り返ってみると、開発スピードの速さ、モデルの多様さに驚いてしまう。より多機能なモデルを。より過酷なフィールドに対応できるモデルを。より時刻が正確なモデルを。より魅力的な素材やデザインのG-SHOCKを。カシオの開発担当者技術者たちは、決して立ち止まることなく挑戦を続けた。そして、毎月のようにさまざまな機能やデザインのモデルが開発・発売されてきた。

おそらく愛用者のひとりひとりに「忘れられない思い出のG-SHOCK」があるはず。しかし、どのモデルよりもG-SHOCKらしい魅力が凝縮されたモデルといえば、やはりデジタル表示の液晶で樹脂製の8角形ベゼルを持つ、スクエア型のケース&ストラップを備えた初代「DW-5000C」だ。

そして2018年に誕生35周年を祝ったG-SHOCKは、この初代を筆頭にフルメタル化するなど、新しい挑戦で異次元の進化を開始している。

▲G-SHOCKの第1号モデル「DW-5000-1A」

1983年4月、約2年の開発期間を経て誕生したG-SHOCKの第1号モデル「DW-5000-1A」。通称「スクエアモデル」「オリジンモデル」。またこのデザインを継承した「DW-5600C」(1987年発売)は、映画『スピード』で主役のキアヌ・リーブスが着用していたことから「スピードモデル」と呼ばれることがある。2001年3月に復刻モデルも発売(現在はまた2018年には期間限定でこの2モデルのレストアサービスも行われた。当時の価格は1万1400円

▲「G-SHOCKの父」伊部菊雄さん。初代の設計を担当。なお企画担当は現在時計事業を率いる専務執行役員の増田裕一さん

▲当時28歳の伊部さんが書いたG-SHOCKの企画書(新技術・新商品提案書)。ただ1行「落としても壊れない丈夫な時計」とある

▲製品化の鍵になった新技術のひとつ「モジュール浮遊構造」の解説図。点接触でケースの中にモジュールが浮いている

▲初代の設計図。ブルーの部分が衝撃を吸収するゴム製のダンバー。ピンクの部分、外装剤の樹脂も衝撃吸収の役割を担う

【次ページ】フルメタル仕様になった初代モデル

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