焚き火台の元祖ってホント!? 一生モノとの呼び声高いスノーピーク「焚火台」人気の理由

【人気の理由②】他の追随を許さない一生モノの耐久性

簡単に使えてしかも燃えやすい、そんな「焚火台」ですが、唯一の弱点はその重さ。最小サイズの「焚火台 S」(1万1880円)で1.8kg、一番人気の「焚火台 L」(2万1120円)だと5.5kgと、数多ある焚き火台界隈でも重量級。ただ、これにもしっかりとした理由があります。

「火を扱うギアですから、熱変形をどうクリアするかが非常に重要でした。数回の使用で変形してしまうのでは、長くご愛用頂けません。目指すのは一生使える焚き火台。だからこそ、とにかく熱変形に強い構造、素材を模索しました」(林さん)

▲これ以上にない安定感で太くて重い薪を入れても安定

使用する板材の厚みを増せば熱変形に強い仕上がりになるけれど、そうなると今度は持ち運べない重量に。熱変形を最小限に収めつつ、持ち運びもできる。その絶妙なバランスを目指し、試行錯誤の末にたどり着いたのが、1.5mm厚のステンレスパネルだといいます。

▲熱変形を最小限に抑える頑丈なステンレスパネル。修理依頼は数年に1回もないとか

「1.5mm厚を少しでも下回ると、変形が顕著に現れてしまいますが、1.5mm厚だと、キャンプファイヤーのような状況での耐熱実験にも耐えられるんです。厚みを変えては実験を行い、長い試行錯誤の甲斐もあり、修理のご依頼もほぼないほどの頑強さにできました」(林さん)

ネガティブな要素でもある重量ですが、過剰とも言えるほど頑丈であることを考えれば、十分納得です。

それにしても、キャンプファイヤーみたいな実験までやったって…。

 

【人気の理由③】凸凹した地面でも安心して使用できる安定感の高さ

ここまででも十分、耐久性への並々ならぬ情熱を感じたかと思いますが、一方でまたひとつ疑問が。

使ってみるとわかりますが、少し“ガタつき"があるんです。“そこまで自信満々なのになぜガタつくの? もっとガッシリ作らなくていいの?”なんて思ってしまうんですが、これにも狙いが。

「少しガタつくような仕上がりになっているのは、安定性を高めるためなんです。安全に焚き火を楽しむためには、焚き火台が安定してくれないと困ります。そこで『焚火台』のジョイント部分にはあえて余裕を作って、地面の凸凹を吸収できるようにしています」(林さん)

どれだけきれいに整備されたフィールドでも、大なり小なり凸凹はあるもの。それに合わせてフレームが動いてくれるので、地面の状況にかかわらず安心して使用できるわけです。

また、仮に熱変形してしまった場合でも、収納時に干渉してしまわないようにする構造でもあるのだといいます。これも長く使い続けてもらうための大事なポイントだったんですね。

▲溶接方法を含め、製造工程は毎年改良を続けている。これも自社工場や国内の協力工場での製造だからこその強み

「溶接方法を見ると、大体いつ頃に製造されたものかが、なんとなくわかります。キャンプ場でのレンタル品の中に、かなり前の製造モデルが紛れ込んでいたりするとびっくりしますね」

一般キャンパーの中で溶接で製造年代の違いが分かる人、いたりします?

*  *  *

最後に、“なぜこれほどまでに耐久性を重視しているのか”と尋ねると林さんは穏やかな声でこう話してくれました。

「キャンプギアは機能的な道具であるのと同時に、情緒の蓄積を担うものでもあると感じています。たかが道具、されど道具。キャンプ道具は単なる道具ではなく、楽しかった体験や大事な思い出を次の世代に繋げる架け橋になる。だからこそ、一生モノのキャンプギアを作っていくんです」

▲煤や汚れ、焼色とともに刻まれるキャンプの思い出。これがあるからキャンプはやめられないぜ

キャンプギアが繋いでいく、世代を超えた思い出。私がキャンプ場スタッフをしていたときに、まさにそんなエピソードを話してくれたキャンパーさんがいました。一生モノのギアだからこそ生まれるロマンに、アツさを感じざるを得ない。

世代を超えて使っていける。それって実はコスパも最強なのかもしれませんね。

>> スノーピーク

>> [連載]The ORIGIN of the CAMP GEAR

<取材・文/山口健壱

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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