【クルマ初モノ図鑑④】安全装備~ブレーキ機能向上時代から自動制御へと進化

■世界初の車間距離調整機能付きクルーズコントロール ~三菱ディアマンテ(1995年)

高速道路の巡航時、アクセルペダルを踏まなくても一定速度で走り続けるクルーズコントロール。現在では前方をレーダーやカメラでセンシングし、速度調整しながら一定の車間距離を保って走行できるようになっています。これを初搭載したのが'95年にフルモデルチェンジしたディアマンテ。ルームミラーに内蔵した小型カメラで先行車を認識すると同時に、レーザーレーダーで先行車との距離を計測。車速に応じで車間距離を自動制御する画期的なシステムでした。またディアマンテは、日本初となるタイヤ空気圧低下警報や強い衝撃が車体に加わったときに自動でドアロックを解除し乗員の脱出を促す機能も装備していました。

 

■世界初のSRSカーテンシールドエアバッグを搭載 ~トヨタプログレ(1998年)

5ナンバーサイズのボディにセルシオに匹敵する豪華さを盛りこんだ小さな高級車、プログレ。モデルとしては1代限りでしたが、9年以上に渡り生産され、現在でも中古車市場でマニアックな人気を誇るモデルです。プログレは前席デュアルエアバッグとサイドエアバッグが標準装備で、3L車には側方からの衝突の際にガラス面を覆うように展開し乗員の頭部への衝撃を和らげるカーテンシールドエアバッグも標準装備されていました(2.5Lはオプション)。このカーテンシールドエアバッグ、プログレでは前席のみの対応でしたが、現在は後部座席まで一気に展開するようになっています。

 

■世界初のステレオカメラ方式のドライバー支援システム ~スバルレガシィランカスター(1999年)

今やスバルの代名詞ともなっているステレオカメラ方式の運転支援システム「アイサイト」。スバルは古くからステレオカメラ方式にこだわり、すでに'89年には開発をスタートさせていたと言います。そして'99年5月、現在のアウトバックの前身モデルとなるレガシィランカスターにADA(アクティブドライビングアシスト)をオプション設定しました。このときのステレオカメラは、車線を逸脱しそうになったり前車に近づきすぎたたりしたときに警告するというものでした(車間距離制御クルーズコントロールも搭載)。そしてADAはその能力を進化させ、2008年にアイサイト(EyeSight)としてレガシィアウトバックに搭載。最新のアイサイトver.3はステレオカメラのカラー化により、歩行者や自転車の識別はもちろん、前車のブレーキランプも認識しています。

 

■世界初の車線逸脱防止システム ~日産シーマ(2001年)

カメラで高速道路の車線を認識し、ウインカーを出さずに車線を逸脱しそうになると警報を出し、同時にステアリングを自動で修正するレーンキープサポートシステムを世界初採用したシーマ。対応は高速道路の直線路のみでしたが、それでも画期的な機能でした。シーマには、車間自動制御システム(レーダークルーズコントロール)も備わり、レーンキープアシストと協調制御することで、高速道路での自動追従が可能になったのです。ちなみに現在では多くのモデルで採用されているドアミラーウインカーを国内初採用したのもシーマになります。

 

■単一の安全装備から、複数の制御機能を協調させる時代に

紹介した安全装備は、その後改良を重ね、デビューしたときよりも性能は大幅に向上し、多くのクルマに採用されています。また現在は、単一の機能を働かせるだけでなく、複数の機能を協調させながら安全性を高める時代になっています。たとえば日産のプロパイロットというシステムは「車線逸脱防止システム」「車間自動制御システム」などを協調制御し、高速道路単一車線においてドライバーに代わってアクセル、ブレーキ、ステアリング操作を行います。今後は車両周囲の状況をより高精度にセンシングする技術、不測の事態を予知すると同時に危険と判断しそれを回避する技術、クルマが周囲の車両やインフラとつながってさまざまな情報を取得する技術が出てくるでしょう。その先に、私たちが思い描く自動運転が実現する社会が待っているはずです。

 


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(文/高橋 満<ブリッジマン>)

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