パナソニックの家電で振り返るニッポンのライフスタイル【ニッポン発の傑作モノ】

■History of Panasonic

1918年(大正7年)
松下電気器具製作所を創立

1920年(大正9年)
2灯用差込クラスター(2股ソケット)を発売

▲片方に電球を、もう一方に他の家電の電源として利用できることで人気となった

 

1927年(昭和2年)
電気アイロン「スーパーアイロン」を発売

▲従来4~5円だったアイロンを、3円50銭程度に抑えて販売。月1万台を生産した

 

1932年(昭和7年)
万能調理器を発売

▲この頃から調理家電を開発し始める。1935年には「トースタ」(パン焼き器)の第1号機を発売

 

1937年(昭和12年)
ホームドライヤーを発売

▲吹出口に電熱器を搭載した国内初のヘアードライヤーを発売。温風/涼風が切り替え可能

 

1945年(昭和20年)
木製探見電灯(懐中電灯)を発売

▲民需品の生産に制限のあった戦時。終戦後に民需生産の先駆けとなったのが懐中電灯

 

1951年(昭和26年)
丸型撹拌式洗濯機「MW-101」を発売

▲大型のドラムの中で攪拌棒をまわすというシンプルな構造の洗濯機。脱水機能は非搭載

 

1953年(昭和28年)
電気冷蔵庫の「NR-351」を発売

▲国内初の完全密閉型家庭用冷蔵庫。資本提携していた中川電機(旧 松下冷機)が生産を担当した

 

1954年(昭和29年)
角形噴流式電気洗濯機「MW-303」を発売

▲同社初の脱水用ローラー絞り機付きの洗濯機。ローラーの間に洗濯物を挟み、ハンドルを回して絞る

 

1955年(昭和30年)
電気シェーバー1号機「MS10」を発売

▲国産初の電気シェーバーで「電気カミソリ」として発売。戦前からの小型モーター技術が活かされた

 

1956年(昭和31年)

掃除機「MC-2」を発売

▲吸塵袋を内蔵した掃除機としては同社の第1号機となる「MC-2」を発売した

 

電気自動炊飯器の第1号機「EC-36」を発売

▲火加減が不要で、炊き上がるまで自動化された炊飯器。当時の炊飯器には保温機能は備えていなかった

 

1958年(昭和33年)
エアコンの第1号機ホームクーラー「W-31」を発売

▲室外機のないタイプで、壁をくり抜いて本体後方が外に出るように設置し、排気した

 

1960年(昭和35年)
日本初の電気自動皿洗い機「MR-500」を発売

▲全自動の食洗機で洗濯機ほどの大きさだった。卓上タイプが発売されるのは、8年後のことになる

 

1965年(昭和40年)
全自動洗濯機「N-7000」を発売

▲洗い・すすぎ・脱水を1つの槽で行い、注水~脱水までが自動化された全自動洗濯機の第1号

 

1966年(昭和41年)
家庭用電子レンジ「NE-700」を発売

▲それまで業務用として各社より発売されていたが、家庭用としては初の電子レンジとなる

1971年(昭和46年)
電子ジャーの「SK-200」を発売

▲保温機能(ジャー)を搭載した炊飯器。この頃は花柄などカラフルなデザインが流行していた

1973年(昭和48年)
静音型掃除機「隼 MC-8800C」を発売

▲当時の業界最小の騒音を実現したダストパック式の掃除機。CMは円谷プロが制作して話題となる

 

家庭用大型冷蔵庫「NR-450SS」を発売

▲冷蔵庫が普及した後に大型化がトレンドに。第一次オイルショック後には省エネ化が求められた

 

1977年(昭和52年)
オーブンレンジ「NE-8600」を発売

▲オーブンとレンジ機能の1台で2役となるオーブンレンジの1号機が発売された

 

1981年(昭和56年)
スチームアイロン 「NI-7300」を発売

▲水が見やすい大型透明タンクのニューカセットを採用し、注排水がしやすくなった

 

1984年(昭和59年)
パーシャルフリージング搭載冷蔵庫「NR-304CV」を発売

▲−3℃の温度帯により、食材を長期保存する「パーシャルフリージング」が初めて搭載された

1987年(昭和62年)
全自動ホームベーカリー「SD-BT2」を発売

▲自宅で簡単に焼きたてパンが食べられるという、新たな生活スタイルを提案したホームベーカリー

 

IHジャー炊飯器「にっぽん炊き SR-IH18」を発売

▲釡そのものを発熱させるIH方式を採用した世界初の炊飯器。本体を角型デザインにしたのも新しい

 

■日本ならではの文化で育まれたパナソニックの数々のプロダクト

▲これまでのパナソニックの製品について、同社コミュニケーション部の高須泰行さん(左)と、木村知世さん(中央)が語ってくれた

パナソニックの前身、松下電気器具製作所が設立されたのは1918年のこと。松下幸之助と妻・むめの、それにほどなくして、後に三洋電機を創業する井植歳男の3人でスタートした。はじめての消費者向け製品は、ソケットと家電製品とをつなげるアタッチメントプラグ。さらに、二股に分けた2灯用差込クラスター(2股ソケット)を開発。

戸井田さん「まだ各家庭に電気の供給口がいくつもない時代ですね。2股ソケットで、夜も電気の灯りの下で家事ができるようになるという画期的なものでした。家庭の奥さんとしては…夜も働かなきゃいけないのか…という感じだったかもしれません(笑)」

その後も、自転車用の砲弾型ランプ、ナショナルランプ(角型ランプ)、アイロン、万能調理器、ヘアドライヤーなどラインナップを増やしていく。日中戦争や第二次大戦中には消費者向け製品の製造が規制されていたが、終戦後には懐中電灯を皮切りに民需品の生産を開始。1950年代になると、洗濯機や冷蔵庫などを発売していく。

戸井田さん「『もはや戦後ではない』という言葉が流行ったのもこの頃です。それまで同じだった食べる部屋と寝る部屋が別々になる、団地ブームが始まります。テレビと冷蔵庫と洗濯機が三種の神器と呼ばれたのもこの頃ですね」

神武、岩戸、オリンピック景気と高度経済成長が続き、生活様式が急変していく。1960年には、電気自動皿洗い機が発売されていたのも驚きだ。

木村さん「最初の食洗機は洗濯機と同じくらいの大きさで、当時の雑誌などでは辛辣に書かれていました。毎食後の食器の手洗いの苦労から解放したいという気持ちで作ったんですけれど…」

戸井田さん「値段も高かったですからね。それでもいち早く踏み切ったのは凄いことです。消費者に夢を与えてくれたという点で貴重なチャレンジです。今は卓上サイズになったのに、普及率が約25%です。こうした、食器を洗うとか部屋を掃除するとか“元に戻す家事”は、機械化して、食事とか育児とか、クリエイティブな家事に時間を割くべきだと思うんですけどね」

高須さん「食器は手で洗おうよという意識が根強いようです。でも今は、共働き世帯が急増して、個人も企業も価値観が変わり始めています」

戸井田さん「何かきっかけがあれば普及しますよね。ヨーロッパでの普及率は70~80%といいますから、ゆくゆくは日本もそうなります。冷蔵庫も、冷凍スペースがどんどん大きくなってきました。手作りの料理じゃなきゃダメだったのが、冷凍食品も上手に使うようになったからです。家電は、日本の文化や生活スタイルの変化が顕著に反映されていますよね」

1970年以降、都市部では核家族化が進んでいく。そうした中で、炊飯器は美味しく炊けるようになり、オーブンレンジが開発され、冷蔵庫はより大容量に、より長期間の保存を可能にしてきている。

戸井田さん「ご飯を手作りしなきゃいけないという意識の強さや、和洋中を全部作るのも、日本人くらいです。家庭に常備してある調味料なども多いから、日本の冷蔵庫は細部まできめ細かく設計されています」

海外との生活様式の違いや、家電製品への要求も多いため、生活家電は、日本独自の進化を続けてきたという。

戸井田さん例えば欧米のように土足ではなく、素足で家の中を歩くので、掃除機に求められるものも違います。砂利などを吸うほどの吸引力は求められず、片栗粉のような粉を雑巾がけするようにキレイにしてもらいたい。それに本体の軽さや駆動の静かさなどがより重要視されますよね」

そうしたニーズを受けて進化してきた国内の家電製品。だが、戸井田さんが物足りなさを感じているのは、IoTへの対応だ。海外メーカーではすでにコネクテッド家電として、様々な製品がネットにつながり家電同士が連携し始めているのだとか。

戸井田さん「冷蔵庫をアマゾンのアレクサに対応させて、在庫管理にも役立たせるなど、誰にでも今すぐ役立つ機能ではないかもしれません。でも、冷蔵庫などは買ったら10年以上は使うもの。一般の消費者が気がついていない需要を、先んじて提示していってほしい製品ですよね」

特にブランド信頼度が高く、消費者に対する影響力が大きいパナソニックには、期待することも多い。

戸井田さん「新しいカテゴリーの商品は、他が作っても不安で買えないこともあります。パナソニックが作ったから買おうといって普及した家電製品は、これまでも多いです。そうした意味でも、日本の家電の未来を作るのはパナソニックだといえるでしょう。コネクテッド家電についてもそうで、他がやらないなら俺がやるというように、引っ張って欲しいと思っています」

 

インテリア&家電コーディネーター・戸井田園子さん
消費者目線で家電を見極めるスタンスで、雑誌やWeb、テレビなど広く活躍。「家電を上手に使えば、家事と仕事の両立はラクになりますよ」。AllAboutの家電ガイドを務める

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