グランドセイコー、シチズン、カシオら“熟成の国産”時計5選【2019年まとめ②】

1.高い機能性と美を結集した珠玉の逸品

グランドセイコー
「SBGK007」(75万円)

グランドセイコーに使用されるムーブメントとしては2012年以来となる自社製手巻きムーブメント「キャリバー9S63」が誕生。このムーブメントを搭載した「SBGK007」は、薄型ムーブメントの特徴を生かして、ケースや風防を柔らかなフォルムにデザイン。時計自体にエレガントな雰囲気が増し、本格的なドレスウォッチとしても楽しめるだろう。

なお、パワーリザーブを約72時間(3日間)確保しており、その残量をパワーリザーブで表示。ゼンマイトルクが安定しているので精度も高い。まさに美と技の共演である。手巻き、SSケース、ケース径39㎜。

2.桁違いの高精度を実現した年差±1秒の世界

シチズン
「ザ・シチズン」(180万円)

一般的なクォーツ時計に使われる音叉型水晶振動子の32,768Hzという周波数を使って正確な一秒を割り出し、時を刻むクオーツ式時計は、機械式時計に比べて圧倒的に高精度である。しかしシチズンは、更なる高精度を目指した。創業100周年である2018年に発表したムーブメントCal.0100は、なんと8,388,608Hzという周波数を実現。

温度変化に対しての安定性に優れるATカット型の水晶振動子を採用しており、さらにセンサーで内部温度を計測し、温度変化による誤差も補正することで、年差±1秒という驚異的な高精度を実現した。2019年はこのムーブメントを時計に搭載。純粋な1秒を表現するために、すらりと針が伸びた端正なデザインでまとめている。世界限定100本。光発電クオーツ、18KWGケース、ケース径37.5㎜。

3.ライフスタイルを変えるIoTウォッチ

シチズン
「エコ・ドライブ リィイバー」(4万5000円)

スマートウォッチはすっかり市民権を得ており、IT・電器企業から多くのモデルが発売されている。しかし大きな液晶画面を使用するという制約があるため、デザインの差別化はかなり難しいし、OSの制約もあるため機能面でも大差ない。それゆえ“便利なデジタルデバイス”という領域に止まっているのも事実だ。

その点「エコ・ドライブ リィイバー」は、存在自体がユニーク。スマートフォンとリンクするアナログ式のスマートウォッチであり、しかもIoTプラットフォーム「Riiiver」を通じて、様々なデバイスやサービスと繫がることができる。つまり正確な時間を知るだけでなく、IoT生活を楽しむ入口になる時計なのだ。光発電クオーツ、SSケース、ケース径43.2㎜。

4.新たな耐衝撃システムによる新素材採用が楽しい

G-SHOCK
「MTG-B1000XBD」(13万5000円)

 

肉厚な樹脂を使うことで衝撃を軽減させていたG-SHOCKだが、メタルケース化の際には新しい耐衝撃構造を考案することで、タフさと存在感の両立を実現させた。この耐衝撃性能×外装素材の組み合わせは、2019年に新たにカーボンケースという新技術に到達した。

頑強であるだけでなく、軽さというメリットのあるカーボンをケース素材に用いるのは、高級スポーツウォッチでもよく見られるスタイル。しかも「MTG-B1000XBD」ではカーボンファイバーシートとグラスファイバーシートを積層させた特殊素材を使用しており、サイドから見ると縞模様が楽しい。クオーツ、カーボン×メタルケース、ケース径51.7㎜。

5.薄さを追求したエレガントな一本

オシアナス
「OCW-S5000E-1AJF」(18万円)

 

カシオの高精度技術は、常に機能を追加してきた。世界6局対応の電波時計やGPS衛星で、世界中で正確な時刻情報をキャッチ。そしてBluetoothを使ってスマホ連動し、時刻情報だけでなく操作性向上にも力を入れた。しかし機能を盛り込めば、時計は大きく厚くなる。そこで新たな進化として“薄型”を目指した。

思い切ってGPS機能を外すことで省スぺース化し、ケース厚は9.5㎜に。オシアナスのエレガントな個性を、更に強調させることに成功している。もちろん高精度機能は、電波時計とスマホ連動の兼用で十分なレベルであり、機能とデザインの両方でメリットを享受できる。クオーツ、Tiケース、ケース径42.3㎜。

>> [特集]2019年まとめ

(文/篠田哲生)

時計ジャーナリスト・篠田哲生(しのだ てつお)

男性誌の編集者を経て独立。コンプリケーションウォッチからカジュアルモデルまで、多彩なジャンルに造詣が深く、専門誌からファッション誌まで幅広い媒体で執筆。時計学校を修了した実践派でもあり、時計関連の講演も行う。

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