先進的で上質なタフギア!日産「エクストレイル」【島下泰久の車事放談】

■本格4WD車の代表格が電気モーターで走るe-POWERに

実に9年ぶり! 日産エクストレイルが超久々のフルモデルチェンジを受けて生まれ変わりました。正直、「もう出ないのかな?」と思ったこともありましたが、最近勢いに乗っている感のある日産だけにこの新型、新機軸も新技術もてんこもりの1台に仕上がっているんです!

まずはデザインの話から。初代、2代目が“タフギア”という愛称の下、道具感漂うフォルムにまとめられていたのに対して、先代は今どきのSUVっぽい雰囲気になってしまって、個人的には面白くないなと思っていました。ですが新型は、またもスクエアな印象の力強いフォルムに回帰しています。

でも単に先祖返りしたわけではありません。2階建てデザインのヘッドライトやブラック基調のグリル、各部に入れられたクロームパーツなどのおかげで、雰囲気はより上質と感じられるものになっているのです。

今までエクストレイルにやや欠けていた上質、あるいは洗練といった要素を盛り込んで、実際の販売における中心価格が上がり気味だという今のこの市場の中心層に響くクルマにしてきたというわけです。

 

■発電用にしておくのが惜しいほどのエンジン

▲モーターに電力を供給するのは究極の燃焼効率を目指し、世界で初めて量産化に成功したVCターボ。圧縮比を8.0~14.0まで可変させることにより、低燃費化と高出力化、静粛性向上を実現する

そして中身も、しっかりそれに見合ったものに進化しています。今回、パワートレインはすべて電気モーターで車輪を駆動するe-POWERに。更に、発電用のエンジンには日産が世界に誇るVCターボを採用しています。負荷が小さい時には効率性に優れた高圧縮モードにして燃費を稼ぎ、パワーが欲しい時には圧縮比を下げてターボ過給の旨味を引き出すという芸当ができる、発電用にしておくのが惜しいエンジンなんです。

そして4WD車へのe-4ORCEの採用。イー・フォースと読むコレは、前後の電気モーターの出力と左右のブレーキを統合制御して、駆動力を常に最適に配分して、安定していてよく曲がり、雪道やオフロードにも強い走りを実現しています。

▲電動化技術や4WD制御技術などを統合した「e-4ORCE」は、前後2基のモーター、左右のブレーキを統合制御することで、4輪の駆動力を最適化。日常域から雪、悪路まで軽快かつ安心感のある走りを可能にする

実際に走らせてみるとこの新しいエクストレイル、見た目から抱く期待を裏切らない上質な走りっぷりを見せてくれます。なにしろ電気モーター駆動なので、発進も加速も静かで、滑らかで、そしてパワフルです。

身のこなしも、やはり品があります。ステアリングを切り込めば、クルマの向きがスッと変わって、とても軽快な所作を披露します。乗り心地はやや硬めですが、タフギアと考えればアリかなというところです。

 

■魅力満点ゆえにグレード選びが悩ましい

そんな新型エクストレイル、難しいのはグレード選びです。普段使いなら2WDで十分ですが、ガンガン遊びに行きたいという人なら、最新4WDシステムのe-4ORCEでしょう。実はシートも、2列5人乗りが中心ですが、3列7人乗りも設定されています。

▲静粛性にこだわったインテリアは、音や振動への対策を徹底。防音材や振動を抑制するインシュレーターの厚みを倍増するなど、上級セダンから乗り換えても上質と感じられる空間に仕上げている

シート地も悩ましい! 通常のファブリックに加えて、リアルレザーよりも柔らかとすら思える次世代素材のTailorFit(テイラーフィット)、まさに上質感の極みといえるタン色のナッパレザーに、エクストレイルと言えばの防水シートも用意されているんです。

タフギアであり、先進的であり、また上質でもある。色々な側面を持ち、しかもそれぞれが魅力を放っているからこその、嬉しい悩み。そう、出かける前、購入前から思い切り楽しませてくれそうな、新型エクストレイルなのでした。

>> 日産「エクストレイル」

 

>> 【島下泰久の車事放談】

<取材・文/島下泰久>

モータージャーナリスト 島下泰久
厄年はとうに過ぎたが、ギョーカイにおいてはいまだ“新進気鋭”のモータージャーナリスト。多角的な視点を持ち、さまざまな事象を自分なりに咀嚼できるまで徹底的に調べ上げた上で原稿を書く。そのため文章が分かりやすいと各方面から引っ張りだこの存在だが、睡眠時間とプライベート、メンタルは日々削られまくっている神奈川県生まれの50歳

※2022年10月6日発売「GoodsPress」11月号128-129ページの記事をもとに構成しています

 

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