iPadの画面をAirPlayを使って大画面テレビに映し出すメリット

■iPadと自宅の大画面テレビの連携

テレビをAirPlay対応にするために用意すべき最もスタンダードなデバイスが、Apple純正の「AppleTV」シリーズです。元々はテレビでYouTubeやNetflix、プライムビデオなどの映像配信サービスを視聴するためのSTB(セットトップボックス)なのですが、AirPlayの受け手側となる機能も搭載しています。AirPlayはWi-Fiのネットワーク上動作する技術なので、iPadとAppleTVを同じWi-Fi上になるよう設定して連携させます。

今回は「Apple TV 4K」を使用しました。32GBモデルでアップルストアの直販価格は2万1800円から。

iPadの画面をミラーリングをするには、画面右上隅からスワイプしてコントロールセンターを表示し、「画面ミラーリング」のボタンをタップ。

▲「リビングルーム」と名付けた「Apple TV 4K」に接続

「11インチiPad Pro(第3世代)」(2021年モデル)から「Apple TV 4K」経由で65インチの4K有機ELレグザに映してみましたが、使い勝手はとても良好。画質の劣化もほとんど分からず、スイスイと動いてレスポンスの遅れはフリック操作時に少し気づく程度。「AppleTV」は2020年のtvOS 14以降、4K解像度のミラーリングに対応しているので、iPadからの画面ミラーリング・ビデオストリーミング用途でも十分実用的です。

▲iPadの画面をそのままミラーリング

▲ミラーリングした画面は4K解像度でぼやけることもなく文句なしでキレイ。後ほど出てくる別パターンで接続した際のアイコンと見比べてほしい

使い始める前は「外付けのAppleTVを使うのは切り替えが不便なのでは?」と予想していましたが、まったく問題ナシ。Wi-Fiにつながっていれば、iPadでは「AppleTV」がAirPlay対応機器として常時認識。「AppleTV」はHDMIの仕組みを利用してテレビ側の入力切り替えや電源も操作できるので、いきなりiPadから「AppleTV」にAirPlayで飛ばすと、テレビ電源オン→入力切り替えまでが全自動! 便利過ぎます。

AirPlayにはもうひとつの動作モードがあります。それがビデオストリーミング。YouTubeやプライムビデオ、AppleTV+などをiPadのアプリで再生する時に「AppleTV」を選びます。この場合、ミラーリングのようにiPadとテレビが同じ画面にはならず、iPadはリモコンのように使います。

▲手元のiPadはリモコン化

動画サービスをいろいろテストしてみたところ、YouTubeやプライム・ビデオ、AppleTV+はビデオストリーミングで連携(Netflixはテレビ側のアプリを使うようにメッセージが表示されます)、TVerは画面ミラーリングになりました。リビングのソファでリラックスして観ていたのですが、動画を探すならiPadがラク。でも実際に観るとなるとやっぱり大画面がいいですね。

▲TVerだけはミラーリングで表示

このAirPlayを使った画面ミラーリング・ビデオストリーミングですが、実は「AppleTV」シリーズ以外にも利用できる機器が存在します。

公式に少しすつ対応機器を増やしているのが、ソニー、LGの薄型テレビです。

▲AirPlayに公式対応するソニー「Sony X80Hシリーズ」

2021年発売の4K液晶テレビ、ソニーのブラビア「43X80J」を、Wi-Fiなどの基本的なセットアップを完了させると、iPadからAirPlayの接続可能として表示されました。AirPlayとの接続はスムーズです。

▲すぐにAirPlay対応デバイスとして認識

ホーム画面やブラウザ画面はサクサク動きます。が、iPadからミラーリングした映像を観ると、「AppleTV」と比べて画質劣化が生じます。これは4K解像度によるミラーリングではなく、旧来の仕様であるフルHD解像度で表示するため。

▲ソニー・ブラビアとAirPlayでミラーリング

▲ホーム画面のアイコンでも画質劣化がわかる

やはり「AppleTV」と同等という訳ではないのですが、iPadユーザーがソニーやLGのテレビを持っているなら、使い勝手としては検討の余地ありです。

また、非公式な形でAirPlay対応が進められているデバイスが「FireTV」シリーズです。アプリストアにはAirRecieverなど幾つかのAirPlay対応アプリ(その多くが有料)が公開されていて、「FireTV」をAirPlay対応にできます。実際に幾つかのアプリをテストしてみましたが、いかんせん画面ミラーリングは画質劣化がやや大きく、またプライム・ビデオなどの動画配信では停止してしまったりと、AirPlayとして完全な動作はしませんでした。ブラウザや写真などの画面表示以上の実用性は、まだまだ難しいとろです。

▲「FireTV」用アプリにもAirPlayに対応させるものがあるが、完成度は今ひとつ

以上を踏まえて考えると、iPadからAirPlayで画面を映すには、やはりApple純正の「AppleTV」シリーズがおすすめという当然の結果となりました。他社製テレビ、FireTVによる非公式対応にも期待していたのですが…。

iPadの画面をテレビに映すには、例えば「11インチiPad Pro(第3世代)」(2021年モデル)ではApple純正の「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」でHDMI端子に変換する方法もあります。とはいえ、iPadからケーブルが伸びるのはやっぱり邪魔だし、スマートとも呼べません。AirPlayを活用してワイヤレスで「AppleTV」と連携、大画面テレビも取り込んでいく姿がAppleの思い描く利用スタイルのようです。

>> テレビのAirPlay対応機器リスト

 

>> iPadで始めるAV環境最強化計画

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

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