機体の艤装を進めつつ約100枚のデカールを貼っていく【達人のプラモ術<F-35B ライトニングII>】

■機体の塗装

前回は機体全体をメインとなるステルスグレー(タミヤラッカー塗料「LP15」:「LP59」=5:1にて調色)で塗装しました。今回は同じく調色した色調の異なるグレー(「LP14」:「LP59」=7:1)で主翼前縁や水平、垂直尾翼の外板などを塗装していきます。

F-35BではF-35Aの初期型で見られた外板の複雑な塗り分けがないのと、多くの部分がデカールで再現されているので、作業量はさほど多くはありません。

とはいうものの、F-35BはSTOVL性能を持つステルス機ということもあって、開閉するウエポンベイのカバー、リフトファンや偏向ノズルのカバーなどなど、一般的な飛行機モデルに比べて機体を構成するパーツが多く、各パーツ単位でマスキング→塗装→マスキングを繰り返して塗装を仕上げていきます。

悩ましいのは機体色のステルスグレーです(実機のRAM塗装が実にのっぺりとした塗装)。大戦機の迷彩塗装のような退色表現や塗装のメリハリがつけ辛い色なんですね。明度が僅かに違う2色のグレーを使っての塗装&デカール機体塗装を仕上げていきますが、ロービジビリティ(低視認性)塗装ゆえにかなり地味な印象です。

しかしキットは機体外板の微妙な凹凸を持つディテールが絶妙な匙加減で再現されているので、仕上がってみるとグレーのベタ塗りといった印象はほとんどありません。またF-35Bは新鋭機ということで、塗装の退色や汚れなどもほとんど見られないので、機体表面のウエザリングも最低限に抑えています。

海軍型となるC型は艦載機ということもあり、機体塗装の汚れが目立つので模型映えしそうなのですがのですが、RAMコーティングの汚れでステルス性能に影響がないのか気になるところです。

▲垂直尾翼、テールロン(水平尾翼)をはじめ、エンジンカバーやウエポンベイカバー脚カバーなどの外装パーツ。機体に組付ける前に塗装しておく

▲胴体製作時に、サーフェイサーで潰してしまったインテークから機首サイドの明るいグレーも再度塗装し直した

▲脚カバーなどは裏面にコーションマークのデカールが付くので機体に取り付ける前に貼っておくこと。ウエポンベイの縁や脚カバー類の縁部分はウエポンベイの内部塗装で使用したMr.カラーの「316番 ホワイトFS17875米海軍機標準塗装色」で塗装

▲機体下面のエンジンカバーはなぜか左右で違うグレーで塗り分けられている

▲テールロン(水平尾翼)も2色のグレーで塗り分ける

▲機首のレドームは、機体色の2色のグレーとはまた異なるのでインストの指示に沿って調色(LP36:LP59=5:1)したグレーで塗装したのだが、機体のグレーに対してやや明るすぎるようなので再塗装するつもりだ

■ステルス性能を左右するRAM塗装

ちなみF-35では、機体素材のカーボン複合材にレーダー波吸収材を混合するという新技術を採用。さらに外部シールドライン制御と呼ばれる工法を使用して、機体各部の繋ぎ目をほとんど無くすと同時に、RAM塗料の厚みで機体の外板の継ぎ目や段差をなくすことでレーダー反射を防いでいるんですね。

しかしRAM塗装は熱や寒さに弱いためメンテナンスが大変だそうです。機体は恒温恒湿の特殊格納庫に別々に保管する必要があり、定期的に再度塗装または補修が必要だそうで、それがまた恐ろしく高額だそう。F-35Bではだいぶ改善されたらしいのですが、RAM塗装の維持費の高騰がアメリカ議会でも取り上げられるくらい問題になっているそうです。模型の塗装はそうした問題はないので、エアブラシでキッチリ仕上げていきましょう。

▲F-35Aの初期塗装では、機体の外板に合わせて複雑なRAMコーティング(塗り分け)がなされていた。発売中の「1/48 F-35A」ではデカールで再現している。この塗り分けは後期現在廃止されている。タミヤ「1/48 ロッキード マーチンF-35A ライトニングII」(9680円) 

▲史上初の艦載型ステルス戦闘機となるF-35C。空母での運用のため脚が強化され主翼が大型化、折りたたみ機能を持つ。ぜひタミヤでキット化してもらいたい。©U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Kris R. Lindstrom

 

【次ページ】脚の破損を防ぐパーツ構成はさすがタミヤ

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