琺瑯、漆、有田に七宝。伝統工芸をあしらうセイコー腕時計110周年記念モデルはまさに“美の競演”だ

▲「琺瑯ダイヤル SARD017」

この6月23日に「セイコー腕時計 110周年記念限定モデル」として発売を控えているのは、日本各地の名工と力を合わせて作り上げた4モデル。まずセイコー腕時計のルーツに敬意を表して作られたのが、1913年に誕生した「ローレル」にも使われていた琺瑯技術をダイヤルに用いた「琺瑯ダイヤル SARD017」(19万8000円)。

金属にガラス様の釉薬をかけて焼き上げる琺瑯は、日本腕時計産業の黎明期を支えた特別な技術。一見なんら変わらないようでありながら、素材や技法においては常に進化を続けている琺瑯の技術は、時計製造技術とも相通じるものを感じさせます。

今回のダイヤルでは、琺瑯職人である横澤 満氏が手づから焼き上げたダイヤルを採用、色褪せることのない輝きは周年モデルにふさわしい存在感です。

▲「漆ダイヤル SARD019」

独特のあたたかみを感じさせる赤茶色が美しい「漆ダイヤル SARD019」(24万2000円)は、藩政時代の面影を今に伝える金沢の街並みを、奥行きのある色彩で表現したモデル。

自らも金沢を拠点に活動する漆芸家・田村一舟氏の監修の下、塗りと研ぎを何十回と重ねて仕上げられたダイヤル、豪奢な蒔絵技術で仕上げらえた12時のインデックスとカレンダーには、長い歴史が育んだ圧倒的な美意識が漂います。

▲「有田焼ダイヤル SARW067」

しっとりとしたツヤが特徴的なのが「有田焼ダイヤル SARW067」(24万2000円)。1616年、泉山磁石場(佐賀県・有田町)で初めて生まれたとされる有田焼。伝統工芸としてこの地に根付いた匠の技はその後400年以上にわたり受け継がれ、独自の芸術性はいまや海を越えて世界中で愛されています。

今回のモデルでは実用にかなう耐久性を実現するために、従来の4倍の強度を持つ強化磁器素材を材料に用い、さらに高精度の鋳型による鋳込み工程を経て1300℃の高温で焼成したもの。難度の高い複雑な工程は、創業190年の老舗「しん窯」の陶工・橋口博之氏の監修において製作されています。

▲「七宝ダイヤル SARW069」

海に囲まれた島国日本のアイデンティティを深い青色で体現しているのが「七宝ダイヤル SARW069」(27万5000円)。海を越えて伝来したのち、長い年月を経て独自の進化を遂げた七宝焼は、日本を代表する伝統工芸のひとつ。

尾張七宝の施釉師・戸谷航氏の手によるダイヤルは、鉛を含まない独自の釉薬を用いて800℃で複数回焼成を繰り返し、さらに精密な研磨加工を施したという手の込んだもの。つややかな釉薬越しに施された模様は、光を受けてきらめく水紋を思わせます。

ムーブメントには、「琺瑯ダイヤル」「漆ダイヤル」にはレトログラード式日付・曜日機構搭載の“キャリバー6R24”、「有田焼ダイヤル」「七宝ダイヤル」には日付表示機能搭載の“キャリバー6R27”を搭載。いずれもローマ数字とバーインデックスを交互に配した変則レイアウトを採用。装着感を重視してデザインされたシンプルなラウンド型ケースには、110年の歴史に裏付けられた使い心地へのこだわりが光ります。


また、ストラップにはLWG認証を取得済みのタンナーにおいて生産された上質なカーフレザーを使用。長くパートナーとして愛用したい、飽きのこないクラシカルな趣きは日本人ならずとも、多くの人の心を捉えそうです。

なお「琺瑯ダイヤル」「漆ダイヤル」「有田焼ダイヤル」は世界限定各1500本・うち国内300本、「七宝ダイヤル」は世界限定800本・うち国内100本の数量限定です。

>> セイコー「セイコー腕時計 110周年記念限定モデル」

<文/&GP>

 

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