[Gear Maniax #029] 超眩しい!視線外しても強烈なSUREFIREの新作ライト

G2Z-MVですが、これまでの集光系のTIRレンズやパラボラ型のリフレクターとも異なる特殊なデザインのレンズを搭載しています。口径も小さく「あまり光が飛ばなさそう」と想像される方も多いでしょう。実際G2Z-MVの光はそんなに飛びません。昨今のタクティカル系のライトやウェポンライトでは、照射角を細く絞ったスポットなモデルが主流でしたが、G2Z-MVの配光はそれと逆行するものです。しかし、G2Zはそのスタイルから分かるとおり、バリバリの“タクティカルライト”です。

「タクティカルライトっぽくない配光、全然シュアファイアらいしくない!」と疑問に思ったり、落胆された方もいらっしゃるかも知れません。しかし!然に非ず!この配光がどのような意味を持つのかその光を「実際に喰らって」確認してみました。

比較したライトは、あえてルーメンの異なるふたつをチョイス。明るさの指標としてすっかり定着したルーメンですが、「ルーメンが高いほど明るいんでしょ?」とご質問を受けると「そのとおりです」と答えるのですが、眩しさとなると話は別です。

タクティカルライトにとって眩しさは力です。照射対象の視界を瞬時に奪うだけでなく、行動を遅らせたり、抵抗の意思を喪失させる効果があります。対象を直接傷つけることなくそれらの効果が得られるアイテムは、ライトの他にありません。

ミリタリーでは不可視光がメインであり、強烈な可視光はどちらかと言えば警察等の法執行官や民生利用が主体であります。ですので、G2Z-MVも後者での利用が想定されていると思われます。

比較するライトについても、簡単にご紹介。

LED LENSER「P7R」は、18650形のリチウムイオン充電池を使用した同社初となる1000ルーメンを放つ強力なモデルです。LED LENSER製品はヘッドが前後に可動し、照射角をシームレスに調整出来るのが最大の特徴。ワイドにした時とスポットにした時では見え方も眩しさも全然違います。

同じくSUREFIREからは少し前のモデルである「EB1 BACKUP」を選択。TIRレンズを搭載した人気シリーズの一つで明るさは200ルーメンとなります。昨今の単セルコンパクトライトと比較すると「イマイチ」に思える数値ですがどうなるでしょうか。

まずは一人称での照射イメージ。

P7Rはスポットとワイドと両方撮影しました。スポットに絞った1000ルーメンのP7Rは流石に中心光の明るさが目立ちます。ワイドでは均一でフラットな配光ですが、中心部分は奥の棚を手前の棚ほど明るく照らすことが出来ません。

EB1は中心光が明るく、やんわりと周辺光も発生します。ただ、光のほとんどは中心光へと集約されます。200ルーメンという数値の割には明るいと思いますね。

最後にG2Z-MVですが、P7Rのワイドよりも若干狭いくらいの配光です。しかし、中心部分の奥の棚を照らす明るさはこちらの方が明るく感じました。近距離の光もボリューム感がありこの距離ではどこにも死角が無い配光となりました。

次は本題の「眩しさ」。

最初は直視の眩しさについてです。

照射対象の目をバッチリと捉えた瞬間と言ったらよいでしょうか。照らされる側に立った時にこのように見えます。

P7Rのスポットは流石に眩しいことこの上ないです。しかし、ワイドにする全くとは言いませんが眩しくなくなります。先に紹介した一人称の照射のときも説明しましたが中心付近の光は弱くなる傾向があり、真正面からでは逆に眩しくは感じませんでした。

特筆すべきはEB1。200ルーメンですがこの眩しさです。レンズ系、特にTIRレンズによる眩しさはルーメンにさほど関係なく実に不愉快な眩しさです。

G2Z-MVも眩しいですが、TIRと比べると少し弱く感じました。と言っても充分不快で直視し難い眩しさでした。

ルーメンと眩しさは端的に関係がありあせん。全く比例しないんですね。これは照射距離に関しても言えることですが、使用するライトの「目的、用途」に応じて多くのメーカーがそれに最適なレンズやリフレクターを組み合わせてくるのです。ルーメン数だけを見てそのライトの性能を断ずるのは残念なことだと思います。

そしてマックスビジョンの真価はこれ。「外れた時」の眩しさです。

先ほどの正面よりも2mほど横にずれた状態で、光源にレンズを向けずに正面を向いた状態での眩しさです。

LED LENSERのスポットやSUREFIREのTIRでは外れてしまうと全く眩しくありません。正確に対象を捉えなければその強力な輝度を活かすことができないのです。

LED LENSERのワイドもこの位置では結構眩しく感じましたが、G2Z-MVほどではありませんでした。P7Rのアドバンストフォーカスのワイドとはまた違った質の眩しさです。照らされる側に立つとSUREFIREの方が嫌な感じでしたね(笑)。

中心から逸れた場所に居ても光源側を見ると酷く眩しい。暗い場所では光のあるところに自然と視線がいってしまいます。真っ暗なところで急にこの閃光が現れたら驚くことでしょう。

G2Z-MVがタクティカルライトたる所以はそのボディの外観だけにあらず。近距離での広い配光と「多少外しても」リカバーできるだけの強烈な眩しさを得られるのがこのマックスビジョンの売りのようです。スポットな光を正確かつ一発で対象に照射することは思いのほか難しく、屋内などの狭い環境下では尚更難しいものになります。G2Z-MVの配光はタクティカルライトの扱いに慣れていないユーザーにもフレンドリーなものだと思いました。また、軍や警察などの官公庁用のラインは維持しつつも、新製品に関しては民生使用にシフトしつつあるSUREFIREの戦略が垣間見られました。(アカリセンター価格:1万9116円)

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(文・写真/アカリセンター・HATTA)

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