【BMW 5シリーズ ツーリング試乗】プレミアムワゴンの新星。端正なルックスと抜群の使い勝手を兼備する

かつての日本においては“BMW=スポーティサルーン”という印象が強かったですが、それはもう昔の話。最近のBMWはサルーンだけでなく、コンパクトカーからクロスオーバーSUVまで、幅広いラインナップを展開しています。

とはいえ「3シリーズ」や5シリーズといったセダンは、依然としてBMWの屋台骨を支える主力モデルであり、モデルチェンジともなればその注目度は別格。メカニズムやデザインはもちろん、日本にはどのような仕様でやってくるのか…など、興味深々です。

2017年の6月末に日本デビューを果たした5シリーズ ツーリングですが、販売直後にも関わらず、充実したラインナップが上陸しています。まずは簡単に、そのバリエーションをご紹介しましょう。

●523iツーリング(ガソリン)/1998cc 直列4気筒 DOHC+ターボ
内外装トリムはスタンダード/ラグジュアリー/Mスポーツの3種類を用意
価格は650万円〜794万円

●523dツーリング(ディーゼル)/1995cc 直列4気筒 DOHC+ターボ
内外装トリムはスタンダード/ラグジュアリー/Mスポーツの3種類を用意
価格は746万円〜814万円

●530iツーリング(ガソリン)/1998cc 直列4気筒 DOHC+ターボ
内外装トリムはラグジュアリー/Mスポーツの2種類を用意
価格は812万円〜837万円

●540i xドライブ ツーリング(ガソリン)/2997cc 直列6気筒 DOHC+ターボ
内外装トリムはラグジュアリー/Mスポーツの2種類を用意
価格は1052万円〜1069万円

…といった布陣で、価格については同一グレードのセダンに対し、40万円前後のプラスになっています。

今回、テストドライブへと連れ出したのは、ラインナップの頂点である540i xドライブ ツーリングのMスポーツ仕様。エクステリアは、これまでのBMW製ツーリングの方程式に則ったデザインで、サルーンのルーフラインを延長。テールゲート部はクーペように緩やかな曲線を描くスタイルです。

そうなると気になるのが、ワゴンボディのキモとなるラゲッジスペースの実用性でしょうか。数値的には、5名乗車時で570リットル、2名乗車時は1700リットルと、先代に比べてそれぞれプラス10リットル、プラス30リットル拡大しています。

荷室後部、テールゲート側の両サイドも拡大されたようで、スポーツ用品やレジャーグッズなど、かさばる荷物も積みやすくなりましたし、フロアのボードも前後2分割とするなど、使い勝手も向上しています。

また荷室のフロア下には、取り外したトノカバーの収納場所が用意されるほか、従来モデルと同様、テールゲートのウインドウ部は独立して開閉できるようになっています。このように、ワゴンならではのユーティリティも一切手抜きナシ。この辺りもプレミアムブランドらしさを感じさせる部分でしょう。

インテリアはというと、セダンと変わらず、モダンかつ上品にまとめられています。操作系をドライバー側に向けて配置した左右非対称のダッシュボードほか、コクピットまわりの意匠はセダンと共通で、運転席に収まってしまうとリアビューミラーを見ない限り、ワゴンであることを意識することはありません。

また、レザーシートの感触やインテリアトリムの質感の良さはいうに及ばず、シフトレバーやドアノブのタッチも上質。後席の居住性もセダンに劣るところはありませんから、フォーマルな用途にもしっかり対応できそうです。

もちろん“ステアリング&レーン・コントロール・アシスト”や、“ストップ&ゴー機能付アクティブ・クルーズ・コントロール”をはじめとした運転支援システムも充実しており、部分自動運転にも対応しています。ここ1、2年でこうしたシステムを搭載するクルマが急速に増えている一方、制御に違和感を感じる車種も少なからずありますが、540i xドライブ ツーリングに関していえば、他をリードする完成度を実現しています。例えば、流れが多く、加減速を繰り返す首都高速でも動作はスムーズで、レーンキープ機能はもちろん、急な割り込みなどがあっても不自然さのない操作が行われます。

とはいえそこはBMW。それも、直列6気筒エンジン搭載モデルとなれば、自らステアリングを握り、自らの意思で加減速を行う、つまり「ドライビングを楽しみたい!」という方も多いはず。確かに、ディーゼルエンジンや小排気量ガソリンターボエンジンの進化、価格面でのアドバンテージなどを見ると、果たして6気筒モデルの立場は…という印象を抱かれるかもしれませんが、そこはさすがBMW。伸びやかでツブの細かい回転フィール、そして、6気筒エンジンならではの回転域を問わない美声など、乗り手を十分に納得させる魅力あるエンジンに仕上がっています。

ちなみに、新しい5シリーズ ツーリングは、リアに“セルフレベリング機能付エアサスペンション”を新採用しています。ラゲッジスペースに積む荷物の重さに合わせて車高を一定に保つという目的を考えると、最適なシステムではありますが、乗り心地だけでなく、ハンドリングをはじめとした動力性能への影響も気になるところです。しかし結論からいえば、ネガティブな影響は一切なく、リアシートの乗り心地もセダンと同様、実に快適。ステアリングを握るドライバーも、その操作フィールからセダン/ツーリングの違いを判別することは難しいと思います。また、40i Xドライブ ツーリングは19インチの大径タイヤを履きますが、フットワークもハンドリングもきわめて軽快に仕上がっています。

新車セールスにおいて、SUVの勢力が増している昨今ですが、5シリーズ ツーリングはセダンと変わらない快適性や動力性能、そして、SUVをしのぐユーティリティを備えています。確かに、540i Xドライブ ツーリングともなると、1000万円オーバーというプライスゆえ、簡単に手が届く存在ではありませんが、6気筒エンジンならではの快感や洗練されたドライビングフィールなどは、他では得がたい魅力といえるでしょう。

<SPECIFICATIONS>
☆540i Xドライブ ツーリング
ボディサイズ:L4950×W1870×H1500mm
車重:1900kg
駆動方式:4WD
エンジン:2997cc 直列6気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:340馬力/5500回転
最大トルク:45.9kg-m/1380~5200回転
価格:1069万円

(文&写真/村田尚之)


[関連記事]
【320d試乗】ガソリン車より静か!?BMWの新ディーゼルは静粛性がスゴイ

【ボルボ V90試乗】走りもデザインも、強力なドイツ勢と肩を並べるトップワゴン

ライダー注目!ファッション性を高めたBMW×SHOEIコラボのヘルメット


トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする