イタリアの世界遺産 ドロミテ渓谷で天空のワインイベント


VINO VIPは特別なワインイベントと言われます。それは、開催されるコルティーナ・ダンペッツォが特別な場所だからです。

コルティーナ・ダンペッツォはヴェネト州の北部、ベネチアから約180km北に位置する小さな街です。周囲をドロミテ渓谷の山々に囲まれ、美しい景色が眼前に広がります。

コルティーナは、冬はスキーリゾートとして、春から秋の季節には、登山やハイキング、ツーリングを楽しむ観光客に人気のスポットです。ドロミテ山塊の麓、標高1224mにありますから、とても涼しく、夏は避暑地として最高の場所です。

この特別な場所コルティーナに、イタリア全土から選び抜かれたワイナリーのみが参加でき、選ばれた人だけが招待されるという、特別なイベントがVINO VIPです。
私は、イタリア大使館貿易促進部の招待により、日本人ジャーナリストとして参加することができました。

VINO VIPでは、テーマごとのテイスティングとマスタークラスセミナーで構成されています。テイスティングは美しい山々眺めながら、というのが、ここでのお約束。

まず興味を惹かれたのが、40歳以下の若手生産者&無名なマイナーDOC(原産地呼称)のワインを集めたテイスティングで、イタリア全土から19生産者が紹介されました。

イタリアでは、それぞれの土地の地場ブドウ品種から造られるローカルなワインが数多くあります。地元で消費されることが多く、あまり外に出てこないワインだったり、マイナー産地で知名度が低かったり、というワインです。それらは生産量が少ないということもあり、なかなか表舞台には出てきにくいのが現状です。無名の若手生産者も同様で、特にマイナー産地だったりすると、なおさらです。

ですが、マイナー産地&無名若手生産者こそが、宝の山なのです。

 

▼Alessandro Fedrizzi(アレッサンドロ・フェドリズィ)


2014年にエミリア・ロマーニャ州に創業したワイナリーで、当主のアレッサンドロもとても若い!親から継いだ2代目かと思いましたが、20代の彼が自分で立ち上げたとか。

エミリア・ロマーニャ州はランブルスコの名前が知られていますが、2014年にDOCになったばかりのDOC Pignoletto (ピニョレット)のフリツァンテ(微発泡)や、黒ブドウのバルベーラ種100%の赤のフリツァンテ(DOC Colli Bolognesi)など、個性的なワインがありました。しかも、飲んでおいしい。これ大事。

 

▼DOCコッリ・ボロネージ

ボローニャの近郊のDOCコッリ・ボロネージの名前は、イタリアワインファンでなければ、なかなか耳にしないかもしれませんが、見逃すのがもったいないDOCです。

▲家族経営のワイナリー、ヴェネト州のCavvazaの4代目、兄ステファノと妹のエレーナ


赤ワインのブドウ品種がTai Rosso 100%。タイ・ロッソなんていうブドウ品種、初めて聞きました。スペインのガルナッチャと遺伝的に近い品種だそうで、イタリアでは、ヴェネト州に最も多く見られ、プーリア州やマルケ州でも栽培されています。

 

▼DOC Colli Tortonesi

▲ピエモンテ州「Cascina I Carpini」のパオロさん

ピエモンテ州は有名なワイン産地ですが、DOC Colli Tortonesiはマイナーです。バルベーラ%の赤ワインもありましたが、ピエモンテの品種Timorasso(ティモラッソ)100%の白ワインや、Albarossa(アルバロッサ)100%の赤ワインを発見!

ティモラッソの白ワインは骨格がしっかりとしています。ミネラル感があり、フレッシュさもあり、塩味も感じます。パオロさんの話では、ティモラッソは20~30年長期熟成させることができるブドウ品種だそうです。25年くらい前までは生産が多かったそうですが、若くてフレッシュなワインが好まれるようになってきたので、だんだんと排除されるようになり、生産者も少なくなったといいます。

アルバロッサも地場ブドウで、バルベーラとネッビオロの交配品種。酸がしっかりあり、塩味、うまみがあり、おいしい。アルコール15%もあるのに、まったく感じません。

 

▼DOCG Piave Malanotte

▲ヴェネト州ピアーヴェのワイナリー「Cecchetto」(チェケット)からやってきたサラさんとお母さま

トレヴィーゾ県の地場品種黒ブドウRaboso(ラボーソ)の生産者です。ラボーソ100%で造ったDOCG Piave Malanotte(ピアーヴェ・マラノッテ)のワインを紹介してくれました。色素が濃く、酸、タンニンも高い品種ですが、ベリー類やスミレ、タバコ、黒コショウなどの豊かなアロマを持つワインになります。酸がちゃんとあり、こっくりしておいしいワインでした。

 

▼Nicola Biasi

トレンティーノのオーガニック生産者「Nicola Biasi」(ニコラ・ビアージ)が紹介していた「Vin de la Neu 2015 IGT Vigneti delle Dolomiti」は、うまみがしっかりあり、心地よい苦みがあるワインでした。

病気に強いPIWI交配品種Johanniter(ヨハニター)100%の白ワインで、親はリースリングとピノ・グリージョ。標高1000mで栽培しています。

 

▼Grosjean


ヴァッレ・ダオスタ州の「Grosjean」(グロージャン)はオーガニックの生産者です。イタリア20州で最も人口が少ないアオスタでは、DOCはDOC Vallée d’Aosteひとつのみ。

地場ブドウであるPetite Arvine(プチ・アルヴィン)100%の白ワインと、Cornalin (コルナリン)100%の赤ワインがありました。

白ワインはアロマティックで、フルーツの甘み、果皮からのタンニン、を感じます。
赤ワインは果実味がふっくらして、まろやか。じゅわっとうまい!

 

▼Montalbera


「Montalbera」(モンタルベラ)は、ピエモンテ州の南東部モンフェラート地方の地場品種Ruchè(ルケ)にこだわる生産者で、いくつものルケのワインを造っています。

ピエモンテというと、日本ではバローロやバルバレスコといったワインが有名で、もちろん、それらも素晴らしいワインですが、各地方には、地元ならではのブドウ品種のワインがあります。それらを発掘すると、よりイタリアワインの楽しみ方が広がります。

 

 

■高級リゾートホテルやドロミテ山塊の山の上も会場に

若手&マイナー産地をテーマにしたテイスティングは、コルティーナの街中の高級リゾートホテル「Hotel Savoia」で開催されました。

ドロミテ山塊の山の上も会場になりました。初日の夜は、ケーブルカーを乗り継ぎ、標高3200m超の高さまでGO!

眼下に広がる素晴らしい景色を眺めながら、TOFANA(トファーナ)山頂へ。夜に「La Notte delle Stelle」(星の夜)と名付けられたBBQイベントが開催されました。

まずは、第一会場の山頂レストラン「RISTORANTE COL DRUSCIÈ 1778」へ。

第一会場では、スプマンテと白ワインが前菜料理とともにサービスされました。景色と約20種類のワインを楽しんだら、ケーブルカーの途中駅に隣接する第二会場のレストラン「Rifugio Faloria」(2123 m)へ。

「Rifugio Faloria」では56ワイナリーの赤ワインがずらりと並びました。

赤ワインに合わせたのは、さまざまな肉のBBQ。肉の塊がビッグで豪快!

肉を食べ、ワインを飲み、また肉を食べ…

地場品種のワインを中心に、興味惹かれたワインをあれこれチョイス。かなり飲んだ気がしましたが、いい飲み方をしたせいか、翌朝はスッキリ目覚めました(笑)。

なお、このBBQテイスティングをはじめ、一般客でも参加費を払えば試飲会への参加が可能なイベントもあります。ちなみに、このBBQの一般参加費は80ユーロ、先述した若手生産者の試飲会は15ユーロ。

【次ページ】イタリアワイン界を代表する人物のセレクトはさすがのひと言!

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