【トヨタ シエンタ試乗】ミニバンの使い勝手+セダンの走りで魅力200%!

具体的に◎なのは“元気のいいデザイン”。写真をご覧いただくと、ノビノビとしたデザイナーの仕事っぷりがお分かりいただけるはず。制約ある小さいボディサイズで室内空間を広くとろうとすると、デザインは画一化する傾向にあるのですが、そんな理屈とシエンタは別モノ。ひと目見てほかとの違いが分かる個性があります。ちょっとだけ主張が強めに感じないわけではありませんが、没個性より何万倍もファン!

ヘッドライトとフロントグリル、リアのランプとバンパー、サイドプロテクターなど、ひと筆書きをモチーフにしたという連続した曲線がとっても斬新。メーカーオプションで“フレックストーン”仕様を選ぶと、エアイエローのボディカラーの場合、ひと筆書きのアクセントパーツ部がブルーメタリックになるなど、遊びココロにも突き抜け感があります。ちなみに、室内デザインのノリも外観と同様。温度差を感じさせません。

そんな大胆なデザインワークだからこそ目を惹きつけられたのが、フロントウインドウ両脇にあるAピラーです。ブラックアウトさせて存在感を薄めたにもかかわらず、そこに隠しきれない骨太な骨格のインパクトが…。まるで、ルーフから下りてきたピラーがフロントボンネット深くへズブッと潜り込んでいるようにも見えるのです。

ドライブしてみますと、“トヨタ最小ミニバン”と“元気のいいデザイン”だけでは、シエンタをいい表せていないことを痛感しました。第一印象は、ボディがシッカリしていて“塊”を走らせているかのようなイメージ。包まれ感、守られ感が強い上に、ボディがガッチリしているのでサスペンションが正しく働いている印象があり、乗り心地は極上。まるで高級セダンのようです。これには後頭部を殴られたかのような衝撃さえありました。

この高剛性ボディを実現するため、ドア開口部やリアのホイールハウス周辺のスポット溶接を、効果的に配置することで補強しているそうです。

ちなみに、シエンタの開発責任者であるチーフエンジニアの粥川 宏さんは、かつて「スープラ」や初代「LS400(セルシオ)」などのボディ設計を担当。スポーツカーやラグジュアリーセダンのボディを知り尽くしている方ですから、シエンタの乗り心地の良さにも納得です。

トヨタ最小ミニバンで90%、元気のいいデザインで10%、合計100%でシエンタの魅力をいい表せると思っていたのですが、そこへ、高級セダンを思わせる走りの良さ100%を強引にでも加えたい印象です。

つまり、シエンタの魅力は合計200%。今までのミニバンがなかなか成し得なかった、ミニバンとセダンの魅力を2台分、ギュッと詰め込んだ1台なのです!

<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッド X 2WD(7人乗り)
ボディサイズ:L3915×W1735×H1235mm
車重:1380kg
駆動方式:FF
エンジン:1496cc 直列4気筒DOHC+モーター
最高出力:74馬力/4800回転
モーター最高出力:61馬力
最大トルク:11.3kg-m/3600〜4400回転
モーター最大トルク:17.2kg-m
トランスミッション:CVT
価格:222万6763円

(文・ブンタ)

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