”ながら聴き”の新定番!軽くて長時間使えるソニー「SBH82D」【イヤホンレビュー】

■外で使っても安心安全。ただし…

そして、実際に使うにあたって思うのは、どれくらいの外の音が聴こえるのか? ですよね。

部屋の中で、スマホから音楽を飛ばしつつテストしてみると、音量を上げ過ぎなければ人と普通に会話できるぐらい自然に外の音が聞こえます。音量を下げれば、エアコンの音まで分かるほどです。

では逆に音漏れはというと、装着している僕が“普通に音楽を聴ける”レベルの音量で音楽を流していても、すぐ隣に座った人に確認してみても意外と“漏れてない”とのこと。音を鼓膜に直進的に届ける音導管の構造が良くできているのでしょう。普通に音楽も聴けて、普通に外の音も感じられる、絶妙なバランスです。

“ながら聴き”の活躍シーンは、屋外も考えられます。

実際に音楽を流しながら街中を歩いてみると、街の雑踏の音もそのまま聞こえます。音量を上げ過ぎなければ、環境音と同時に音楽も鳴っているようなイメージです。街中で音楽を聴いていたら車にぶつかりそうになりハッとした、という経験談も耳にします。屋外では“ながら聴き”が欲しいという声も理解できますからね。

電車に乗ってみても、電車の走行音も、車内アナウンスも丸々聞こえます。パブリックな場では、遮音性の高いイヤホンで音楽を聴いて没入するより、外の世界との関係を保ちつつ音楽を聴けるスタイルの方が安心ですよね。

そうなると、「SBH82D」が一番活躍するシーンはランニングなどのスポーツ用途では? と思うかもしれませんが、いくつか弱点があります。

装着感がいくら快適といっても、あくまでもネックバンド型。ランニングで体が動くと、やはり首元が気になります。また通り雨が降る直前、強風下で気づいたんですが、「SBH82D」のネックバンド部分は軽量過ぎて風で飛ばされそうになったり…。これはネックバンド型の弱点ですね。

それに、スポーツ用イヤホンは汗や雨濡れに対する“タフネス性”も求められますが、「SBH82D」は防水仕様ではありません。取扱説明書にも明記されています。そう考えると、やはりランニングなどスポーツ用途は、想定していないのかもしれません。

 

■気になる音質は?

最後に改めて自宅で音質をチェックしてみます。

「SBH82D」のサウンドの特徴は、中域に厚みがあり、開放的なヌケ感のある音と呼ぶべきところではないでしょうか。いろいろな音楽を聴き込んでみたのですが、いつも聴いている宇多田ヒカルの『あなた』は声を肉厚なバランスで聴かせてくれるし、低音のリズムの弾みも雰囲気として出ます。あいみょんの『マリーゴールド』も軽やかなタッチで、特に空間のなかに爽やかに聞こえます。低音ゴリゴリ系ではないので、BrunoMarsの『24K Magic』のようなEDM系には低音が軽いのですが、リズム感はアリ。音漏れを無視して音量を上げると低音にもエネルギーを出しつつ空間も広がり開放感のあるサウンドになるので、音楽リスニングとしての実力もなかなかです。

そして、Netflixで配信中の映画『スパイダーマン ホームカミング』を観てみると、映画の音の空間の広がり、移動感がとてもリアル。やはりオープン型のイヤホンだけあり、遠くの空間から音が鳴るような表現は得意ですね。

ソニモバで“ながら聴き”のイヤホンとなると、昨年4月に発売され大ヒットした完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo(XEA20)」を思い出しますが、この「SBH82D」のオープンイヤースタイルも技術的には同じモノがベース。昨年4月に有線タイプの「STH40D」も発売されていました。

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Xperia Ear Duo(XEA20)は、Xperiaの周辺機器的として完全ワイヤレスでAndroidスマホ専用に音声アシスタントと連携と未来的な機能を作り込みがすごかったんですよね。その分、価格も高く、完全ワイヤレスなだけにイヤホン自体が少々重く、駆動時間も短かくなっていました。

一方、この「SBH82D」は、“オープンイヤースタイル”であることを除けば、いたってフツーのワイヤレスイヤホンです。でもこれで良いんです。イヤホンなんだから音楽を快適に聴ければ。それに、XperiaやAndroid向けの機能がない分、iPhoneユーザーでも機能を全て使えます。

スポーツ用には考えられていない点は残念ですが、今後、毎日の通勤・通学や、勉強しながら、何か作業をしながら使うワイヤレスイヤホンを選ぶとしたら、価格も手頃だし“オープンイヤースタイル”を理由に必ず候補に入ってくるモデルとなるのではないでしょうか。

>> Sony

 


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(取材・文/折原一也)

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