【ボルボXC90 T8試乗】世界初!7人乗れるプラグイン。加速はV8エンジン級

フル充電状態のXC90 T8で街へ出ました。

このXC90から、ボルボは車内のインターフェイスを一新しています。ひと言でいえば、センターコンソールに埋め込まれたタッチパネルを多用するスタイルに。

ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD

使いやすいiPadでも、初めての人なら慣れるのに1〜2日かかっても不思議ではありませんよね。同様に、XC90の各種操作も、すぐには慣れません。発進するまでに駆け足で、30分ほどの取り扱い説明を受けました。

(北欧の国の自動車ブランドらしく)手袋をはめたままで操作できる赤外線方式のタッチパネルで走行モードを選びます。モードは「ピュア」「ハイブリッド」「セーブ」「AWD」の4つ。

ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD

「ピュア」は電気モーターでの走行を優先。「ハイブリッド」はデフォルト。効率優先でエンジンも回します。「セーブ」はエンジンを積極的に使ってバッテリー充電を重視するモード。そして「AWD」は悪路でのトラクション重視型です。

まずは「ピュア」モードをセレクトし、セレクターをドライブレンジに入れました。ちなみに、XC90の中でもT8のシフトセレクターにだけ、クリスタルガラスが使われています。おしゃれですね。

ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD

アクセルペダルを静かに踏み込んでいくと、車両重量2300kgの巨体が、電動モーターだけで音もなく、スルスルと走り出します。これが超気持ちいい!

公称値では、電気モーターだけで最長35.4km走れるとのこと。片道10kmくらいの通勤に使うのであれば、毎日、電気モーターだけで走るEVと同じ感覚で利用できるかもしれません。

万一、バッテリーが底をつくようなことになっても「ハイブリッド」モードで走ればいいだけの話。安心です。しかし、そうなる前に「ハイブリッド」を試して、考えが改まりました。

ググッとアクセルペダルを普通に踏むと、エンジンと電動モーターが駆動して、発進の軽いこと。軽いといっても車重は重いわけです。この“重いものが軽く発進する感覚”は、V8など大排気量ガソリンエンジンを積んだSUVに通じるところがあります。重いものがスワッと、瞬く間に加速する。電動モーターだけで走った場合の気持ち良さとは、また別の気持ち良さ。クセになりそうです。

ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD

大排気量にものをいわせるSUVに乗ったことのある人なら、プリミティブな歓びを思い出してニヤリとしてしまうところですが、走りのフィーリングは対照的に、洗練されています。

XC90 T8のハンドリングは、ドライバーの意図を尊重するものです。安定性が高いものの、愚直に直進安定性を高めたものではありません。割と視線を向けた方向に向かおうとするキャラクターは、個人的にウェルカムです。

ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD

XC90は基本、特殊な板状のリーフスプリングを横向きに配置する、独特のサスペンションを採用(これはこれで乗ってみたい!)していますが、今回の試乗車には、オプションのエアサスが付いていました。

全高は1760mmと1.8m近いのですが、車体が左右にぐらぐらと揺れるロールが気になるシーンは、ほとんどありません。たわみの比較的少ない21インチのタイヤ&ホイールが効いている部分もあると思います。

郊外までロングドライブに出て、最も印象的だったのはシートです。新しいXC90は従来のボルボのそれからシートデザインを一新したのですが、「インスクリプション」にはベンチレーション機能とマッサージ機能が付いています。明るい日差しの下、渋滞でも最後まで快適に過ごせました。かつてのブカッとボリュームのあった、ソファのようなシートも超好きでしたけどね…。

ボルボ XC90 T8 ツインエンジン AWD

最後になりますが、XC90は世界初の安全技術“ランオフロード・プロテクション”を搭載していますが、これを試し…てはみませんでした。

パニックブレーキや急ハンドル、車体が宙に浮くなどして道路から逸脱すると、シートベルトをあらかじめ巻き上げたり、安全装置をフルに稼動させたりして乗員を守ろうとするもの。万一の際にも万全の構えができています。

ちなみに、現在のクルマには3点式シートベルトが当たり前のように標準装備されていますが、これは1959年に、ほかならぬボルボが開発したもの。その特許を無償で世界に公開したんですよね。

安全に対する飽くなき追求。車体やインターフェイスを一新しようとも変わらぬ、ボルボの真摯な姿勢にも、やはり伸び代を感じずにはいられないのです。

<SPECIFICATIONS>
☆T8 ツインエンジン AWD インスクリプション
ボディサイズ:L4950×W1960×H1760mm
車重:2340kg
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 水冷直列4気筒 ガソリンターボ+スーパーチャージャー
トランスミッション:8速AT
エンジン最高出力:320馬力/5700回転
エンジン最大トルク:40.8kg-m/2200〜5400回転
モーター最高出力:87馬力
モーター最大トルク:24.5kg-m
価格:1009万円

(文・写真/ブンタ)

 

 

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