「iPhone 14」にはない機能が付いた「iPhone 14 Pro/14 Pro Max」は買いか?

■「常時表示」は慣れたら癖になる

iPhone 14 Pro/14 Pro Maxで注目したいのは、ディスプレイとカメラの進化です。ディスプレイは、常時表示に対応したほか、横長のパンチホール型TrueDepthカメラを採用。これに連動するDynamic IslandなるUIも追加されています。

iPhone 14 Pro Max

▲「iPhone 14 Pro Max」は6.7インチ(対角)のオールスクリーンOLEDディスプレイ(Super Retina XDRディスプレイ)を搭載。解像度は2796 x 1290ピクセル解像度で、画素蜜度は460ppi。最大120Hzのアダプティブリフレッシュレートを持つProMotionテクノロジーをサポートする。TureDepthカメラシステムはパンチホール型に変わった

まず常時表示に対応したディスプレイでは、ロック画面のままで時刻表示やウィジェットなどの情報を確認できます。Apple製品では、2019年発売の「Apple Watch Series 5」からApple Watchの一部機種が常時表示に対応していたので、ウォッチから逆輸入した技術ということになるのでしょうか。

市場全体を見渡すと、Always on Display(AOD)という概念自体は随分と昔からあったものですので、驚きはさほどありません。筆者が触れてきたAndroidのなかだと2014年発売のNexus 6がすでに「アンビエント表示」に対応していたのが印象に残っていますし、ノキア端末など有機ELディスプレイの源流を辿ればさらに数年遡ることになるでしょう。最近では、新機能として取り上げられることも少ないくらい当たり前に存在する機能です。

iPhone 14 Pro Maxの常時表示

▲設定で「常にオン」を有効にしてあるiPhone 14 Pro Maxのスリープ画面

とはいえ、そんな機能についにiPhoneも対応したかと思うと感慨深いところ。実際にiPhone 14 Proシリーズの常時表示を確認してみると、一部の文字や通知だけが表示されるのではなく、背景がうっすらと起動しており、そこに時刻やウィジェット、通知などが見やすく表示されているのが分かります。

デスクのスタンドに立てかければ、置き時計の代わりにはなりますし、設定したタイマーの残り時間もロック画面のまま確認できます。常時表示中の画面輝度も十分あるので、室内なら文字の視認性はバッチリ。無くて困る機能ではありませんが、常時表示に慣れたら常時表示なしのiPhoneには戻れなさそうだなぁ、とは感じます。

常時表示中のタイマー

▲例えば、タイマーをセットするとロック画面にはこう表示された

常時表示といえば電池消費が気になるところですが、iPhone 14 Proシリーズのディスプレイでは、リフレッシュレートを最小1Hz(=1秒間に1回切り替え)まで下げることで、バッテリー消費を押さえる仕組みになっています。ただし、それでも常時表示によってバッテリー消費は多少増えてしまうもの。バッテリー残量が気になる場面では、「低電力モード」をオンにすることで、常時表示も無効になるので、これを利用すると良いでしょう。また、普段から常時表示が不要という場合には、「設定」アプリの「画面表示と明るさ」から「常にオン」のスイッチをオフにしておけば、同機能を無効にできます。

「常にオン」の設定画面

▲「停電力モード」や「常にオン」のスイッチで無効化も可能だ

ちなみに、これまでのロック画面に親しんでいた身としては、画面を起動したり、使用後に画面を暗くしたりしようとして、ついついサイドボタンを押してしまうこともありました。しかし、数日使えば慣れたので、違和感があるのは最初だけでしょう。

 

■Dynamic Islandは新しい体験

パンチホール型になったTrueDepthカメラシステム(以降、「インカメラ」と呼びます)は、従来のノッチと比べて、なんだか自己主張が強めです。ディスプレイを隠している面積は狭くなったのですが、カメラの位置でいうと中央に僅かに寄ってきたのが原因でしょうか。Dynamic IslandによってUIと連動させることで違和感は少なくなっていますが、これまで以上にインカメラ部分に視線が行くようになったので、通常使用時についつい意識してしまいます。

iPhone 14 Pro Maxのインカメラ

▲ノッチ型が良いか、パンチホール型が良いかは、好みによるかもしれない

とはいえ、インカメラが普段邪魔になるか、というと別にそんなこともありません。シネスコ比率で映画を視聴するならともかく、YouTubeやAmazon Primeビデオなどでストリーミング再生を楽しむ分には、横持ちでもほぼ影響はありませんでした。全画面表示に切り替えると、まぁ「インカメラがそこにある」という認識は否めないですが、従来のノッチと比べて悪目立ちするといった感じもありません。むしろ、Appleの紹介通り、表示領域は増えているので、従来より隠れているところが減ったことの恩恵の方が大きいと思います。

iPhone 14 Pro Maxでの視聴画面

▲今までのノッチに慣れているiPhoneユーザーならば、動画視聴中にインカメラが邪魔に感じることはまずないだろう

インカメラに連動して、一部のアプリは利用中にDynamic Islandとして表示されます。例えば、Podcastを再生していると、サムネイル画像と再生中を表す波形などが表示されます。そして、この部分をタップすると、起動中のアプリ画面に遷移します。長押しすると、ウィジェットのようなショートカット操作も可能です。ちなみに、Apple純正アプリ以外でも、特定のAPIを活用したアプリはDynamic Islandに対応します。

Dynamic Islandの画面例

▲Dynamic Islandの例。「TV」アプリ(左)と「ボイスメモ」アプリ(右)のパターン

ただし、「Dynamic Islandはユーザーにとって重要か?」と考えると、正直悩ましいところ。これはあくまでもパンチホール型になったインカメラを画面に馴染ませるためのデザインであって、ユーザーに恩恵がある場面は限られそうです。例えば、録音アプリを起動しているときには、Dynamic Islandに波形が表示されるので、アプリを起動せずとも正しく録音が行われていることが確認できます。長押しすれば、録音の停止操作も行えます。

Dynamic Island

▲Dynamic Islandからの操作は手軽だが、なくても困らないレベルではある

とはいえ、こうした操作はアプリ画面の切り替えで行っても、そこまで負担ではありませんでした。また、楽曲のコントロールなら従来もコントロールセンターから行えましたし、Dynamic Islandも結局画面上部に触れないと操作できないUIなので、再生・停止を行うまでの操作手順数も変わりません。

そんな理由もあって、“大きな感動”はなかったなというのが正直なところ。それでも、たまに「あら便利」とは思えるくらい。デザインとしてのアイデアと新しさはあり、iPhone 14 Proシリーズを象徴する特徴でもありますが、Proシリーズへの買い替えのモチベーションにするには、実はそこまで強い要素ではないかもしれません。

 

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