ノイキャンも音質も性能UP!「AirPods Pro(第2世代)」は期待通りの秀作モデルです!

■ノイキャン強度も音質もUP

まずは外見から。実はイヤホンの形状は、初代AirPods Proと変わっていないんですよね。

アンテナの入った軸(ステム)が耳から伸びる見覚えある形状そのまま。よく見るとイヤホンの背にある黒い部分の位置が変わりましたが、外からは見えません。実際に装着したイメージも同じです。

装着感を調整するシリコーン製イヤーチップは、最初に装着されている標準サイズのMと、パッケージ内にXS、S、Lの合計4サイズ。XSサイズは新規に追加されました。

イヤーチップ選びは、耳の密閉感、ノイキャン性能に関わる重要要素。僕はLサイズは耳に違和感があるので、ちょうど良いMサイズをチョイス。自分にあったサイズ選びは、イヤーチップ装着状態テストで確認できます。

iPhoneとのペアリングは、ケースを開くと近くのiPhoneに画面がポップアップするAirPodsシリーズ共通の方式なので簡単。

これは「AiPodsPro(第2世代)」の新機能ではないのですが、iOS16以降はAirPodsシリーズの設定画面はBluetoothデバイスのなかではなく、「設定」直下に移動しています。

イヤホン本体による操作は、従来どおり耳下に伸びる軸をつまむ形。長押しでノイキャン/外音取り込みを切替可能で、新たに軸の内側のタッチ部分を上下スワイプで音量操作の機能も追加されました。

本体と同じく一見同じだけど、実は機能追加があった付属の充電ケース。名前が新たに「MagSafe充電ケース」になり、MagSafe充電に対応。また「正確な場所を見つける」機能に対応したU1チップも搭載。充電ケースがスピーカー内蔵になり、ペアリング操作時などに音が出るようになっています。「探す」アプリから追跡という新機能も追加されました。

本来の機能であるバッテリー性能は、1回の充電で最大6時間再生。充電ケース併用で最大30時間です。

さて、やはり気になるのは、Appleが従来比2倍の強度になったというノイズキャンセルの性能です。

室内で使ってみると、エアコンなどのノイズはほぼ無音に。ただ屋外から聞こえる秋の虫の声は少し残りました。それと気になったのが、ノイキャンON時に感じる違和感がやや強めであること。初代AiPods Proが登場した時も同じだったのですが…。ちなみに、ノイズキャンセルの強度調整はありません。

電車の中でも、騒音低減効果が確実にアップしていることがわかります。走行時の重低音のような騒音だけでなく、ガタガタと響く中域の音にも「ノイキャンをかけて力づくで抑え込む」とでも形容したくなるような、全体的に騒音をボリュームダウンするような効果があります。ノイズキャンセル従来比2倍は、低域などの精度も向上してはいますが、中域の騒音をより消すことに注力したおかげもありそうです。

ただし、周囲の騒音が大きくなるほどノイズキャンセルが強く働き、違和感も大きくなるので要注意。ともあれ、騒音低減の強度としては初代AirPods Proよりも確実にアップしていますね。

そして外音取り込みの機能も自然さがアップしています。初代の時点でも最強と言ってもいいほど自然だったのですが、より自然でハッキリと聞こえるようになり、装着したままテレビも見られるほど。

では音質もチェックしていきます。

iPhoneに接続して宇多田ヒカル『あなた』を聴くと、相変わらずAppleらしいナチュラル系ですが音質は確実にアップ。音空間に包まれるようなサウンドで、女性ボーカルの歌声は伸びやかで、オーケストラの演奏のスケール感も優秀。メリハリの強くなった低音の再現は魅力的です。

BrunoMars『24K Magic』の男性ボーカルも空間に浮かぶ聴かせ方で、低音は重低音と呼ぶほど深くはなく、適度に膨らみを持った低音がたっぷりと空間を満たします。最高音質ではなく心地よく聴かせる、Apple流サウンドのアップデート版ですね。

ここまでの音質評価はノイズキャンセルON状態のもの。そこで外音取り込みに切り替えてみると、音の輪郭をよりシャープに立てるようになります。AndroidスマホのXperia1 Ⅳで試聴してみても音質はほぼ同じでした。

空間オーディオも体験してみました。Dolby Atmosで配信中のエド・シーラン『Shivers』を聴いてみると、空間上の離れた位置に音が浮かぶ音楽体験はやっぱり面白い!!

ちなみに「AiPods Pro(第2世代)」では、カメラで耳を測定する「パーソナライズされた空間オーディオ」機能も利用可能です。

「パーソナライズされた空間オーディオ」の状態で『Shivers』を聴き比べてみたのですが…意外にもパーソナライズしない方が個々の音の定位感がハッキリしている…。パーソナライズすると音の繋がりや包囲感を重視になるようです。

空間オーディオはApple TV+の動画配信でも有効です。

デバイスをiPad Proに切り替えて『フィンチ』で体験してみると、空間の広がりの再現はさすがに超優秀。轟音が響く雰囲気も上手く再現します。ちなみに空間オーディオはNetflix、PrimeVideo、Disney+でも使えるので、動画サブスクをサラウンドで視聴する目的で「AiPodsPro(第2世代)」を購入するのもアリだと思います。

最後にMacBook Airに接続してビデオ会議で通話マイク性能もテスト。人の声をハッキリと明瞭に拾ってマイク音質はとても優秀。ビデオ会議用にもおすすめできますね。

Appleによる3年ぶりの新作完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro(第2世代)」。見た目もサイズもほとんど変わっていませんが、H2 Appleシリコンの機能アップを全方位に感じます。ノイキャンも若干違和感が出やすいけど効果はアップしたし、音質アップも確実に実感できます。空間オーディオや通話マイク性能など、活躍するシーンが盛り沢山。

発売前に海外で噂が流れたロスレス対応がなかったのが残念ですが…今後のアップデート期待も含めて、Appleユーザーなら持っておくべき1台ですね。

>> Apple「AirPods Pro(第2世代)」

 

>> イヤホンレビュー

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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