【BMW 118d試乗】最新ディーゼルで魅力倍増。これぞ小さな高級車だ!

前輪駆動(=FF)か、はたまた後輪駆動(=FR)か。ほとんどのドライバーにとっては、どうでもいいことかもしれません。

FR車をブランドの柱に据え続けてきたBMWでさえ「世界中のドライバーは駆動輪を意識せずに愛車を選んでいる」との結論に至ったといいます。個人的には「あ〜ぁ」ですが…。

結果、BMWがマーケットへ送り出したのは、エンジンをフロントへ横向きに搭載したFF車「2シリーズ アクティブツアラー」と「同グランツアラー」であり、FF車ベースのSUV「X1」の最新モデルです。

一般的に、エンジンをフロントへ縦向きに積むFR車は、FFのクルマに比べ、クルマ全体に占めるメカのスペースが大きくなり、リアタイヤへ駆動力を伝えるプロペラシャフトを床下に通すこともあって、車内空間が狭くなりがち。

だったら、世のすべてのクルマをFFにしちゃえば? とも思います。実際、ハンドリング性能やドライブフィーリングを含め、いまや良くできたFF車は少なくありません。

とはいえ、一部の高級乗用車やスポーツカーは、FR方式を手放すことがありません。その理由は、118dに乗れば分かります。

BMW 118d

ただならぬハンドリングフィールのスッキリ感。雑味がありません。ビールでいえば麦芽100%。クルマの解説にお酒の話はないだろう、ということであれば、蛇口から出る水道水ではなく、富士山に降った雨や雪が20年以上かけてゆっくりと湧き出てくる、富士山麓の天然水。

やや太め目のステアリングホイールをほんの少し回したところから、素直にクルマが反応します。エンジンルームを開けてみると、ステアリングシャフトの取り回しがほぼ一直線。エンジンを縦向きに積むからこそ、こういった配置が可能なのですね。

BMW 118d

しかも、駆動するのは後輪です。クルマの向きを変えるのはフロントタイヤ、クルマを前に進めるのはリアタイヤと、役割分担がハッキリしていていることも、ピュアなハンドリングに好都合なのです。

そんなFRの1シリーズに、BMW最新のディーゼルエンジンが搭載されたわけです。その良さ、乗る前からなんとなく予想できました。

ちなみに、10年近く前から、ドイツ本国で販売されるBMW車の半数以上がディーゼル仕様でした。ヨーロッパではかなり前から、ディーゼルが主流になっていたのです。

ではなぜ、今頃になって、そんなディーゼルが日本に続々と上陸しているのでしょうか?

ヨーロッパと日本とでは、ディーゼルエンジンの排ガス規制の考え方に違いがありました。でもここへきて、欧州だけではなく、日本の最新排ガス規制も同時にクリアできるほど、ディーゼルエンジン自体がクリーンに。これこそが、イマドキの欧州ディーゼル車が日本市場を目指す最大の理由です。

とはいえ最新のディーゼルは、単にクリーンなのがウリではないことがすぐに分かります。とにかくパワフル。ひとりでドライブしていたこともあって、余裕たっぷり。グーンッと加速して、定評ある8速(!)ATがトントントンとシフトアップしていくと、アッという間にスピードが乗ります。

BMW 118d

しかも、アクセルに対するエンジンのレスポンスが、とっても良いのです。これが、スッキリとしたハンドリングフィールとの統一感につながっていて、とてもGood! ハンドリングが精緻なのに、アクセルペダルを踏んだ反応がモッサリしていたら、興ざめですからね。

しかも118dは、ディーゼル特有のノイズや振動も巧みに抑えられていて、文句なしに“小さな高級車”といえます。こういう選択肢、昨今は希少になりましたね。

そういった印象のクライマックスがやってきたのは、118dを降り、とある国産FF車に乗り換えた時のこと。「あれ、こんなだったっけ?」。

まるで愛飲のミネラルウォーターをうっかり切らしてしまい、仕方なく水道水で我慢した時の切なさのよう。ごく当たり前に思っていたものでも、一度オイシイ思いを味わってしまうと、もう後戻りはできないものなのですね…。

118dなら、カーライフが美味しく潤いそうです!

BMW 118d

<SPECIFICATIONS>
☆118d Style
ボディサイズ:L4340×W1765×H1440mm
車重:1480kg
駆動方式:FR
エンジン:1995cc 直列4気筒 ディーゼル ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:150馬力/4000回転
最大トルク:32.6kg-m/1500〜3000回転
価格:365万円

(文/ブンタ、写真/グラブ)

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