【2026 COFFEE GEAR】
口の細いケトルから、ゆっくりと湯を注ぐ。淹れる人のこだわりがつまったこの儀式を経て、おいしいコーヒーは生まれる。定番ドリッパー「V60」で知られるHARIOにその魅力を尋ねた。
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コーヒー豆を焙煎し、グラインダーで挽く。出来上がったコーヒー粉に湯を通すための道具が、ドリッパーだ。昭和からある昔ながらの喫茶店では、湯で濾す道具として綿布=ネルが使われてきた。だが、匂いが残るため洗剤で洗うことができず管理が難しいため、現在では使い捨てのペーパーフィルターが主流だ。自宅でコーヒーを淹れる際も、もちろんこれが必須となる。
基本の淹れ方は、次の通り。まず湯を沸かし、ペーパーフィルターをドリッパーにセット。ここに湯を少量注いでフィルターを濡らし、ペーパーの紙臭さを取り除くと同時にドリッパーに貼り付ける。その後、サーバーやカップに溜まったお湯は捨てる。
次にコーヒー粉をセット。軽くトントンと叩いて表面を平らにしたら、1回目の注湯だ。中心から外側へ円を描くように、コーヒー粉全体が湿る程度に湯を注ぐ。30秒ほど蒸らし、コーヒー粉のガスを抜く。この時、粉が膨らんでくるのが新鮮な証拠とされている。
この「蒸らし」の工程が終わったら、中心からゆっくりと外側へ円を描くように再び湯を注ぐ。液面が下がってきたら、これまでと同様に残りの湯を注いで完成だ。
豆の種類や挽き方、飲む人の好みによって湯の温度や湯を注ぐスピードは異なり、ここがまさに、ドリッパーでコーヒーを淹れる際の手間であり楽しさ。そしてドリッパーには、素材や形状が異なるさまざまな商品が存在している。
中でも、そのど真ん中に位置づけられるのが、HARIOの「V60」シリーズだ。そのきっかけは、2010年にロンドンで開催されたワールドバリスタチャンピオンシップ。世界中からバリスタが集い味を競うこの大会で、アメリカのマイケルフィリップスが「V60」を使用し優勝したことにある。大会後、彼は使い方の動画をネット公開し、アメリカ全土に流布。これを受け、逆輸入される形で日本でも広まったという経緯があるのだ。
もともと「V60」は2005年から発売されていたが、日本で広く認知されるようになったのは、この出来事があった後の2011年頃である。
ドリッパー自体の歴史はさらに古く、円錐式と呼ばれるコーノの製品は60年以上前からのロングセラー。また、台形をしており下部に小さな穴がひとつだけ開いているメリタのドリッパーも、定番として長く愛されてきた商品だ。
プラスチック、陶器、ガラス、ステンレスやチタンといった金属など、素材もさまざま。用途や好みによって自分だけのドリッパーと出会って欲しい。そして自分だけの最高の一杯を模索し続けることこそが、コーヒーの楽しさ、奥深さと言えるだろう。
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