走りの次はインテリアだ!マツダ デミオが挑むコンパクトカー革新

そして、2014年秋に登場した4代目デミオに至っては…。ダンッ、ダラララララララララ…ダンッ!(ドラムロールの音)

発表します!

えーと、なんでしたっけ?(苦笑)

ゴメンなさい。現行の4代目も、間違いなく良いクルマですよ。国産コンパクトカーとして初めてクリーンディーゼルを搭載するなど、走りの出来栄えは抜群です。でも、それを革新と呼んでいいのかどうか? 欧州コンパクトカーに肩を並べたに過ぎません。

つまり、初代から3代目までがコンパクトカーの世界にもたらしていた革新のポイント、それを探すミッションが、4代目ではまだ完了してなかったのです。

そんな悶々とした気持ちもいつしか薄れかけていたところへ、驚きの一報が。なんとマツダは「デミオで(コンパクト)クラスの概念を打ち破る」というのです。

いったい、4代目は何を革新とするのか?(ダンッ、ダラララララララララ…再びドラムロール)

新しいデミオは、コンパクトカーにインテリア革命を起こします!

インテリア? 拍子抜けされたかもしれませんが、ちょっと待ってください。デミオによってコンパクトカーのインテリア革命が本当に始まっていました。

そのカギを握るのが2台の特別仕様車。「Mid Century(ミッド・センチュリー)」と「Urban Stylish Mode(アーバン・スタイリッシュ・モード)」です。

Mid Centuryの内装は、1950年代を彷彿させるモダンファニチャーにスポーティさを融合させることで、シックなのにビビッドなもの。

Urban Stylish Modeは、海外のファッションスナップから飛び出してきたかのような、見立てと着こなしに技ありセンスを感じさせるもの。

いずれもテキスタイルにこだわっていて、近づいて見るとハッとさせられるディテールがあります。

少しだけ根本的な話に立ち返ると、ファッショナブルなのにファンクショナル、というところに、マツダらしさを感じされられます。

ドアを開けてみましょう。そこから眺めるインテリアは表情豊か。色、素材、形状がリズミカルにレイアウトされています。ところがドライバーズシートに座ると、印象が一変。インテリアを構成するものが水平方向と垂直(進行)方向へシンプルに整理されて見えるのです。

おかげで、運転中に視線を移動させても、煩わしく感じません。ただカラフルにした、とか、単にパーツの表面処理を変えた、といったのとは一線を画します。

ちなみに、ルーバーのツマミやエアコンのダイヤル、スイッチなどは、クロームシルバーでまとめるといったルールがあるようで、操作時には迷うことなく、自然とそこへ手が伸びるように配慮されています。お見事ですね。

しかし、こういったスマートなデザインコンセプトは、インテリア革命のほんの一部でしかない、としたら…。いかがでしょう?

ご存知かもしれませんが、コンパクトカーはコストの兼ね合いから、一体成形したパネルなどを多用することが一般的です。パーツ点数が少なくなると、製造のための金型代を節約できるのです。コスト削減ですね。すると、どうなるか?

Mid CenturyとUrban Stylish Modeといった特別仕様車を作ろうとしても、パーツひとつひとつが大きくなってしまい、思いどおりにデザインできない、センス良くまとめられない、といったことになってしまいがちなのです。

そこで現行のデミオは、インテリアをコーディネートする際の多様性を実現するため、内装パーツをあえて細分化する方向で設計。金型を増やす=コストを増やすという、これまでのコンパクトカーが越えられなかった壁を軽々と越えてきたのです。

内装パーツの細分化にあたっては、「どこを分けるべきか?」といった設計の初期段階からデザイナーが参画。無駄に分けず、本当に分けたいところだけがそうなっている、というわけです。脱帽ですね。

そんな努力があってこそ実現した、Mid CenturyとUrban Stylish Mode。元々、内装に秘められたアドバンテージを活かし、通常のカタログモデルには4種類のインテリアバリエーションを用意していたのですが、この革新のポイントをさらに加速させるべく投入したのが、この2台の特別仕様車、というわけなのです。

4代目デミオがもたらしたコンパクトカーのインテリア革新。どちらの特別仕様車を選ぶべきか、大いなる悩ませてくれる存在ですよ。

<SPECIFICATIONS>
☆XD Mid Century
ボディサイズ:L4060×W1695×H1500mm
車重:1130kg
駆動方式:FF
エンジン:1498cc 直4ディーゼルターボ
トランスミッション:6速AT
最高出力:105馬力/4000回転
最大トルク:25.5kg-m/1500-2500回転
価格:199万8000円

☆13S Urban Stylish Mode
ボディサイズ:L4060×W1695×H1500mm
車重:1030kg
駆動方式:FF
エンジン:1298cc 直4
トランスミッション:6速AT
最高出力:92馬力/6000回転
最大トルク:12.3kg-m/4000回転
価格:156万6000円

(文&写真/ブンタ)

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