20年以上愛され続ける名機がリニューアル!“王道かつ定番”なフォアウィンズ「COMPACT CAMP STOVE」

■変更点は3つ!ディテールをブラッシュアップで使い勝手がより向上

発売から20余年と経過するなかで、細かい調整が幾多も入ったであろうジュニアコンパクトバーナー。その高い完成度ゆえ長年愛され続けている同製品の何がどう変更になったのか、気になるところ。

▲COMPACT CAMP STOVE(左)とジュニアコンパクトバーナー(右)

フォアウィンズ 正木さんは「手前味噌ではありますが、正直なところ『ジュニアコンパクトバーナー』はシングルバーナーとしてかなり完成されている商品で、なかなかこれ以上を目指すのは難しいというのはありました。今回のリニューアルでは、これまでの高い完成度はそのままに、細部のブラッシュアップで今のキャンプシーンにあったデザインを目指しました」と話します。

▲新ケース(左)と旧ケース(右)。素材感もよく見た目もスマートに

ひと目で分かる変更点としては、収納ケースの素材と形状の変更です。まず使用素材について、樹脂製からよりクッション性の高いEVA素材に変更されています。

これまでの樹脂製ケースはパッキングのしやすさもあって多くのキャンパーに支持されてきましたが、一方で内部のクッション性が低く、収納時の保護力が気になるところでした。

他には、燃料調整バルブの素材が変更に。

▲幅広・細長なバルブへ変更になり、バーナー使用中の火力調整も行いやすくなった

これまでの樹脂パーツから、ステンレス素材の“今風”のバルブに変更。つまみが薄く長くなったことで、クッカーを載せている際の火力調整や再点火の際の操作性も向上しています。操作性の向上だけでなく、よりスマートなビジュアルになった点も好評なようです。

▲点火装置側面部の印字も変更点。「Iwatani」からブランド名の「FORE WINDS」に

 

■安全なバーナーの選び方とバーナーとカセットボンベの“あの話”も聞いてみた

ガスのプロフェッショナルに取材をする機会もそうそうないので、安全なバーナーの選び方を聞いてみました。

正木さんによれば「カートリッジ式のガスこんろは、国の定めた技術基準に適合した商品でなければ販売できず、適合している商品には“PS LPG”のマークが記載されます。他にも日本工業規格のJIS規格による基準も定められています。日本国内で流通している以上は、必ずこれらの基準をクリアした記載があるはずです」とのこと。

▲「COMPACT CAMP STOVE」のPS LPGマーク

なので、基本的に日本国内で流通しているバーナー類は通常使用する限りは原則として安全性に問題はないと言えるでしょう。ただ、「大手通販サイトで販売されている格安バーナーは日本の安全基準に達していないから購入してはいけない」といった噂もSNS上で見受けられます。いずれにせよ、PS LPGマークが記載されてることを必ず確認してから購入しましょう。

また、カセットボンベに限らずOD缶でも話題に挙がる「バーナーとガス缶のメーカーが違っても使えるけど使っちゃいけない」問題についても少し聞いてみました。

「あくまでカセットボンベというのは、カセットこんろの部品という立ち位置で、カセットこんろの検査はそのメーカーのカセットボンベでのみ行うんです。なので、器具とガス缶でメーカーが異なる状態で使用した際に、問題が起こる可能性を否定できず、メーカーとしても安全性を確保できないのです」(フォアウィンズ 正木さん)

なんだかんだ使えてしまえたり価格の部分もあったりと、「分かっちゃいても使ってしまう」なんてこともあります。ですが、なにか起きた時に自分だけでなく周囲のキャンパーを危険に晒してしまう可能性もあります。必ずカセットボンベとメーカーは合わせて使用しましょう。

*  *  *

コンパクトながら火力十分、安定感のある「COMPACT CAMP STOVE」。発売から20年以上にわたって愛され続けているシングルバーナーの王道「ジュニアコンパクトバーナー」の魂を引き継いだこのギアが、これから長い年月をかけてたくさんのキャンパーに愛用されていくことでしょう。

▲前身であるジュニアコンパクトバーナーとケース。オレンジ色のケースの人がいたらその人は古参キャンパーかも?

実際「ジュニアコンパクトバーナー」を20年ほど前に購入して以来、同じものを使い続けているキャンパーさん何人かに出会ったことがあります。「メインは他のバーナーだけど、なんだかんだ便利でいつも持っていくんだよ」なんて笑って話すベテランキャンパーを取材の中で思い出しました。

※「COMPACT CAMP STOVE」「ジュニアコンパクトバーナー」のガスの接続口にはゴム部品が使われています。ゴム部品は使用の頻度にかかわらず経年劣化していきます。製造後10年を目安に買い替えを検討しましょう

余談ですが、みなさんは同社のアウトドア向けカセットこんろと家庭用カセットこんろをしっかり見比べてみたことはありますか?

これが結構面白くて、そもそもバーナーヘッドの形状も構造も違うし、火の出方もまるっきり違う。

▲「カセットフータフまるJr.」の風防。単純そうに見えてしっかりと作り込まれており歴史ある企業の妙を感じざるを得ない

「言っても風防がついてるだけじゃん」とよく見もせず思っていましたが、その風防には強い風は遮って適量の空気が流れ込む仕組みにちゃんとなっていたりと、まじまじと見てみると興味深い発見も。

使い慣れたキャンプギアも視点を変えて眺めてみると新しい発見があり、それが故にその道具がより好きになるなんてこともしばしば。この機会に、あなたのど定番ギアを改めて手にとってみたら新しいキャンプ道具沼が見えてくるかも?

>> FORE WINDS「COMPACT CAMP STOVE」

 

>> [連載]The ORIGIN of the CAMP GEAR

<取材・文/山口健壱

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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