老舗プラスチック製品メーカーが作る「トランクカーゴ」がキャンプ収納のド定番になった理由

【理由1】車載時も安定、使い勝手も◎、あるようでなかったモジュールシステム

トランクカーゴの一番の特徴は、なんといってもスタッキング可能な独自のモジュールシステム。これが、あるようで実は無かった、目からウロコの機能なんです。

蓋の天板がフラットで、外周部を囲むように凸形状が施されているので、ボックスを重ねたときに横滑りしにくく、安定感バッチリ。車に積載する際も積み込みやすくなり、何より荷崩れの心配も減って、キャンプの移動中も安心というわけです。

▲蓋の外周部に施された凸で上のボックスがしっかりフィット。車載時も荷崩れの心配がなく安心

このモジュールシステムをデザインするに至った経緯を聞いてみたところ、どうやら岡村さんのキャンプ体験から生まれたアイデアなんだとか。

「よく趣味でキャンプに出かけるのですが、その時に『積み重ねて運べたら便利だよなぁ』と思っていました。しかし、それまでの屋外使用されるような収納ボックスは同じサイズで使用することがほとんど。ボックスの上にボックスを置くことはできるけど、違うサイズのボックスをしっかりと積み重ねることができなかったんです。これは不便だなと」

▲スタッキングしたボックスをより強力に固定するためのベルトループもデザインされている

ちょうど、トランクカーゴとしてキャンプ用にリデザインを考えていた時期で、「キャンパーたちがテーブル代わりにも使用する話を聞いて、最初に天板をフラットにする構想がありました。せっかくフラットにするなら、ボックス同士がしっかりスタックする構造にしよう!」ということで、現行の天板デザインになったとか。

▲豊富なサイズ展開でキャンパーを選ばない使い勝手を生み出すモジュールシステム

さらに、このシステムの肝はサイズ展開にもあります。テントやコット、組み立て式のテーブルなどキャンプの大物ギアをだいたいなんでも入れられる50Lサイズと70Lサイズに加え、何かと便利な22Lと30Lもラインナップ。

▲50L(写真下)と50LのLOWタイプ(写真上)。もちろんスタッキング可能

それだけでなく底浅でより使い勝手の良いLOWタイプも用意。元々は30L、50L、70Lの3サイズでの展開だったところ、モジュールシステム構想の中で22LとLOWタイプを追加しサイズを増やしたことで、使い勝手が向上しただけでなく、キャンプ中の見栄えや自宅での収納時の見栄えもアップ。「キャンパーの皆様の反響がすごく大きく、 “リスのトランクカーゴ” と認知いただけるようになったきっかけのひとつでした」(岡村さん)

▲70Lには30Lを2つ、50Lには22Lを2つ組み合わせるとぴったりスタッキングが可能

個人的にはLOWタイプは本当に便利。道具をカテゴリで分けたいときに従来の深型だと、ギアがボックス内で荷崩れしてしまってごちゃごちゃになりがち。浅型だと深さがないので、ギアを積み重ねることなくきれいに収納できるし、何がどこに入っているかがひと目でわかるのでキャンプ中も非常に快適なんです。

▲個人的にはLOWタイプが「よく出してくれた!!」と咽び泣くほど使いやすい

そんなサイズ展開についても、岡村さんの実体験が生きているとか。

「焚き火が大好きで、よく焚き火だけをしにいくのですが、その時に深型ボックスだとすごく不便だったんです。日が暮れて、よし焚き火だ!というときに、ファイヤースターターをうっかりボックス内に取り落としてしまったんです。もちろんボックスの中は暗闇。ライトをつけて探すのも大変でしたし、なによりきれいに整頓したボックスがぐちゃぐちゃに。これは不便だなと」

その時に、LOWタイプを作りたいと考え始めたのだとか。

▲20Lサイズはソロ・デュオ用のテントやタープ、チェアに寝袋と、小型なのに縦積みでしっかり収納できる

このように開発者自身の「不便だな」を片っ端から解消する形でトランクカーゴはリブートされています。そりゃあキャンパーの痒いところに手が届くわけだ。

 

【理由2】キャンパーたちの“アソビ”がきっかけで大幅アップデート

モジュールシステムの話で少し出てきましたが、実はこのアップデート、在野のキャンパーたちのとの、ある“アソビ”が大元にあるんだそう。

ソロキャンプを楽しむ私の友人Kは「SNSで“テーブルボードDIY”を見て、買うのを決めたんだよね。元々使っていた収納ボックスも悪くは無かったんだけど、荷物も減らせたし、自分の好みのテーブル天板をDIYしたら愛着も湧いて大満足」と言います。

そう、キャンパーたちの“アソビ”とは、蓋を使ったテーブルDIYです。

岡村さんは「SNSなどでキャンパーの皆様が、“蓋を利用したテーブルボードのDIY”を知りました。私達では想像もつかない活用法を見て驚きました。そこで、テーブルとしてももっと使いやすく、アップデートをしよう」と思ったそうです。

▲キャンパーたちに愛された「テーブルボードDIY」。自分で作るから愛着が湧くし、本当に良いアソビだと思う

このキャンパーたちのテーブルボードDIYをきっかけに天板をよりフラットに再設計するリニューアルが決まりました。愛用ユーザーたちがいなければ、そもそもトランクカーゴのアップデートは起こらなかったかも。

ちなみに、天板をテーブル化する商品「テーブルボード」を2023年に発売しているトランクカーゴ。にもかかわらず、まさかのテーブルDIY用の型紙データを公開してるんです。…え?

▲トランクカーゴHPには型紙どころか懇切丁寧に作り方を解説する記事まで掲載

「DIYを楽しみたい人には、より良いテーブルボードを自作してもらいたいのでいっそのことテーブルの型紙を公開してしまって、皆様に楽しんで頂こうと」

説明されても太っ腹すぎない? と思わずにはいられませんが、この辺りの対応もトランクカーゴ人気の理由のひとつでしょう。

 

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