カバンの街・豊岡生まれの純白の鞄「JETTER」。汚れやすい“白”ゆえに起こったゲンバの変化とは

■目立ち度抜群のディープホワイト、着こなしのポイントにも使える逸品

今回話を伺った西田社長が手がける「CREEZAN(クリーザン)」も「豊岡鞄」認定企業のバックブランドのひとつ。2015年に誕生し、地元の来日山(くりいざん)をネーミングにするなど地域愛の深いブランドです。

特に旅がテーマの「JETTER」シリーズは、飛行機で世界を飛び回るジェットセッターをイメージ。空の雲のような真っ白なビジュアルが所有欲をくすぐると話題に。ブラックやブラウンが多いなか、イタリア産のホワイトレザーを全面に使ったコレクションは、まさに抜群の存在感です。

▲コニー株式会社 代表取締役社長 西田正樹氏

OEMで培った長年の経験を活かして誕生した同シリーズについて西田さんは「“白い鞄=僕らの鞄”、JETTERでオンリーワンを目指す」と話します。さらに「自社で企画から生産・販売まで一貫で管理できることは大きな強み。さらに業界で敬遠される白をしっかり作れるノウハウは自社の力にもなります。また、汚れを気にするからこそ工場内の整理整頓とキレイにつながる。本当にいいこと尽くし」とも。

▲常務取締役 玉那覇孝二氏

サンプル作りから生産まで担当する常務取締役 玉那覇孝二氏は作り手からの目線として「白は本当に大変。手袋に白衣姿で神経を研ぎ澄ませ、通常の何倍も気を使います。ひとつひとつ丁寧に作るため、思い入れもかなり強い」と製作現場のこだわりも教えてくれました。また、「ファクトリー自体も手間をかけることが通常運転化。ステッチの幅から強度まで厳しいクオリティ管理の成果もあって、不良もほぼゼロに近い」と言い切るほどの自信をのぞかせます。

見学した工房の、整然と美しく並べられたパーツや手袋を着用し縫製を行う様子はまさにラボ。そして驚いたのが平均34〜35歳という社員の若さ。地場産業として将来の担い手を育てることも、地域の課題のひとつ。同社が積極的に若い世代を採用し、豊岡の未来も見据えていることが印象的でした。

そして気になるのが白ゆえの経年変化について。その部分に関して西田さんは、「使っているうちにいい感じに“こなれて”きます。そこが革製品のイイところ」と話します。城崎の旗艦店では2年使った「ブリーフケース」と新品を並べて展示。実際の風合いを見て、手にするかの判断をしてもらっているんだそう。

▲手前が2年使ったもので奥は新品

同社ではリペアはもちろん、有料のホワイトニングサービスも導入中。玉那覇さんによると、作業の際「いい味でてるね」の会話からお色直しが始まるとか。「カバンの奥に使っている方のドラマが見えるし、リペア後は“またいってこいよ!”って同士を送り出す気持ち」と現場の裏話も。長く愛用できるのはユーザーとしても嬉しい限り。なお、お直し時には使い込まれたからこその発見も、それを元に改良し製品の進化に繋げていると話してくれました。

カバンの街・豊岡の良さについて、玉那覇さんは「下請けや問屋が非常に近く10分後でも集まって打ち合わせができる。作りたいモノがすぐに実現へと動き出す」と言います。また西田さんも「じっくり作る人が育つ場所。技術を磨き上げるには最適な環境が整っている」とアピールしてくれました。

そんなモノ作りの聖地・豊岡で生まれる「豊岡鞄」たち。日本が誇る地場作業の底力を感じる逸品の数々との出会いを、ユーザーとして楽しんでみてはいかがでしょう。

>> CREEZAN

<写真・文/相川真由美

相川真由美|エディター、ライター。ライフスタイル系雑誌の編集アシスタントを経て、IT系週刊誌・月刊誌で約10年以上編集者として刊行にたずさわる。現在は、フリーの編集記者として国内外のテーマパークやエンタメ、ならびに観光、航空関連の取材・インタビューを中心に執筆中。

 

 

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