もうすぐデビューから55年。人気衰えぬオールドジムニーの歴史を振り返る

■第1世代(LJ10型) 軽最強クロカン伝説はここから始まった!

初代ジムニーが登場したのは1970年4月。ただ、歴史はさらに数年前に遡ります。神奈川県に本社があったホープ自動車がホープスター ON型4WDという4軽SUVを販売します。しかし本格的な量産化にはいたらず、ホープスター ON型4WDは1年経たずに生産が終了してしまいました。

ホープ自動車は鈴木自動車(現・スズキ)に製造権の売却を打診。「売れなくて生産中止になったものを買うわけない」という意見が多勢でしたが、アメリカ帰りだった常務取締役の鈴木修氏(現・相談役)は4WD車の可能性に惹かれ、購入を決断したと言われています。

1970年4月、スズキはON型4WDに大幅改良を加えてジムニーとして販売開始。カタログには「自然に挑戦する男のくるま」「男の相棒 ジムニー」というキャッチコピーが掲げられました。カタログの写真には山の中での橋梁工事や送電線の鉄塔工事の現場、雪国での郵便配達などで使われるジムニー以外に、スポーツハンティングや渓流釣りを楽しむオーナーの姿も掲載され、デビュー時からレジャーユースを念頭に置いていたことがわかります。

ボディは幌タイプのみの設定で、フロントウインドウは前倒しが可能。ボディカラーはサンダーイエロー、アルベールグリーン、クラレンスベージュの3色が用意されました。

【Specifications】
サイズ:全長2995mm×全幅1295mm×全高1670mm
ホイールベース:1930mm
車両重量:600kg
エンジン:2サイクル空冷2気筒
排気量:359cc
最高出力:25ps/6000rpm
最大トルク:3.4kg-m/5000rpm
トランスミッション:4速MT

■第1世代(LJ20型) 水冷エンジン搭載で信頼性アップ

LJ20型はジムニーが産声を上げた2年後の1972年5月に登場。空冷エンジンから温水式ヒーターがついた水冷エンジンに変更されたことで最高出力が28psにアップ。快適性と信頼性が高まりました。水冷エンジンを搭載したLJ20型はメキシコで開催される「メキシカン1000」という過酷なラリーに最も排気量が小さいモデルとして参戦。34時間無事故で完走しました。

デザイン面ではLJ10型のグリルが横スリットだったのに対し、LJ20型は縦スリットに変更されています。スペアタイヤは室内内に収められています。そして幌タイプに加えてバンタイプがラインナップに加わりました。寒冷地での使用にバンタイプは大活躍します。

1973年11月に登場した2型はフロントの車幅灯とウインカーが分離され、スペアタイヤを背面式に変更。1975年12月に登場した3型は排ガス対策が施されたエンジンを搭載しています。

中古車サイトを見るとLJ10型はさすがに掲載されていないものの、LJ20型はごく僅かではありますが中古車が流通しています。

【Specifications】(幌タイプ)
サイズ:全長2995mm×全幅1295mm×全高1670mm
ホイールベース:1930mm
車両重量:625kg
エンジン:2サイクル水冷2気筒
排気量:359cc
最高出力:28ps/5500rpm
最大トルク:3.8kg-m/5000rpm
トランスミッション:4速MT

■第1世代(SJ10型) 新規格に対応して550ccエンジンを搭載

1976年(昭和51年)1月、軽自動車規格が改定されてボディサイズが大きくなるとともに排気量が550ccに引き上げられました。1976年5月に登場したSJ10型は軽自動車の新規格に対応したモデルです。エンジンが550ccの3気筒になったことで、車名もジムニー55と名付けられました。ただ、この時点ではまだ全幅が新規格には対応していません。

このエンジンはLJ20型に搭載された360cc2気筒エンジンのL50型に1気筒追加したもので、トルクが大幅に向上。当時のカタログには「余裕の3気筒」と書かれています。登坂力は最大39.7度を誇りました。

ボディバリエーションはLJ20型同様に幌タイプとバンが用意されました。幌モデルは窓部分がファスナー式になり、窓だけを開閉できるようになりました。

カタログをめくった最初のページには背景にショーウインドウがあるおしゃれな街並みで4人の男女がSJ10型の前で談笑する写真が使われています。写真内には「ヒルサイドテラス」「BIGI」「TOM’S SANDWICH」と書かれたプレートが写っていることから、代官山で撮影されたものと思われます。タフなオフロードモデルとしてだけでなく、若者のライフスタイルにもマッチするモデルであることをアピールしたのでしょう。

1977年2月に登場した2型は新規格に対応したボディになり、トレッドも拡大されています。フロントフェンダーが大型化されたことで見た目の迫力も増しました。そしてボンネットのフロント部分に4本のスリットが入れられています。

SJ10は中古車市場で人気が高く、状態により100万円台から300万円台で取引されています。

【Specifications】(幌タイプ)
サイズ:全長3170mm×全幅1295mm×全高1845mm
ホイールベース:1930mm
車両重量:675kg
エンジン:2サイクル水冷3気筒
排気量:539cc
最高出力:26ps/4500rpm
最大トルク:5.3kg-m/3000rpm
トランスミッション:4速MT

■第1世代(SJ20型) 輸出仕様を日本でも発売

超小型ながら抜群のオフロード走破性を誇るジムニーは、海外での需要も見込めるモデルでした。そこでスズキはSJ10に800cc 4気筒エンジンを積んだ仕様を海外展開。これがヒットしてスズキの名前が世界に知れわたります。このモデルはジムニー8として日本でも発売されました。

幌タイプとバンに加えて、海外ではピックアップも用意されました。

【Specifications】(幌タイプ)
サイズ:全長3170mm×全幅1395mm×全高1845mm
ホイールベース:1930mm
車両重量:715kg
エンジン:4サイクル水冷4気筒
排気量:797cc
最高出力:41ps/5500rpm
最大トルク:6.1kg-m/3500rpm
トランスミッション:4速MT

【次ページ】モダンなデザインに生まれ変わった第2世代!

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