■ナフサ不足によるホビー業界への影響(達人の私見レポート)
盛況のうちに終了した2026年の静岡ホビーショー。懸念されていた、ホルムズ海峡封鎖の影響による原油不足と、それに由来するナフサ不足といったネガティブなイメージはほとんど感じられず、来場した多くのユーザーは例年にもましてホットなホビーショーの楽しんでいたようです。

しかしながら、各方面にじわりと影響は出ている模様。5月初旬頃からネット上で「ナフサ提供不足から一部店舗で特定メーカーの塗料の溶剤が生産できなくなる」といった出どころ不明の情報が広まり、店頭において特定メーカーのツールクリーナーが品薄になっていたとか。実際、都内近郊の模型店、大手量販店を見て回りましたが、確かに品切れの店舗が多かったのは事実です。またメーカーよっては大幅な値上げも発表しています。
しかし正直なところ「溶剤がなくなる」という情報が先走りして、一部ユーザーがまとめ買い物に走ったため、店頭から消えていたという感じでした。普通に在庫ありますという店舗も多かったですね。
しかし、ホビーショー以降の5月下旬あたりになると、店頭での溶剤の品切れが目につくようになり、ジワリとナフサ不足による影響は出ているのは間違いないと思います。買い占めを懸念し、購入個数に制限を設け始めている販売店もありました。
政府は「ナフサの備蓄はある」と公言していますが、ナフサが流通してもそれが製品に反映されるまで、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。模型用塗料を販売している大手メーカーでは、原材料の調達難を受け、4月から生産調整を実施。人気の低い一部の塗料や薄め液の生産を減らし、人気の高い製品を生産するよう切り替えることで品薄に対応しています。消費者には「過度な買い占めは控えてほしい」と呼び掛けもしています(現在は生産調整は解除されています)。

5月末の時点では各メーカーともキットの生産、販売に関しては、企業努力により大きな影響は出ていません。しかしキットの素材となるポリスチレン樹脂、ABS樹脂、さらには製品の箱の印刷、ビニール袋等すべてが石油由来ということもあり、今度もナフサの供給が不安定になり価格が高騰する状況が続けば、影響が出てくるだろうとは思います。さらには物流費や生産工場での電気代といったコストも想定以上に上昇しており、これがボディブローのようにじわじわと効いてきている模様。もちろん各メーカー、現状維持の努力は続けてくれていますが、企業努力だけでは維持できない状況にきているのもまた事実です。
ホビー関連では溶剤、塗料のみならず、ジオラマでベースの製作に使用するスタイロフォーム(発砲ポリスチレン)がホームセンターなどで入手できなくなりました。もともと断熱材として住宅の内装用に使用されるものということもあり、同じくナフサ不足が直撃している建築関係が押さえているためで、ホビー用サイズでも大手の通販では10倍くらいの価格になっています。

ホビーユーザーにとっても、溶剤等の品不足、そして値上げはなかなか厳しいところがありますが、当面は成り行きを見守るしかないのが現状です。長期化の懸念もありますが、なにより品不足を煽るような不確実情報に惑わされることなく、事態の沈静化を待つしかないと思います。
>> [連載]達人のプラモ術
<写真・文/長谷川迷人 メーカーブース撮影/西田洋一>
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